スライムの森
全て私の妄想の話です
北へ北へ走っていくと、遠くに森が見えた。
「あれはなんて森だ?」
ムスファがくれたのは魔物辞典だけではなかった。
魔物辞典には地図も挟まれていた。それを見ると、その森にはこう書かれている。
「スライムの森」
さらに、そこから魔物が現れるとも記されていた。
どんな魔物が現れるのか。
闇王――サーシャは少し楽しみになった。
森へ入ると、すぐに魔物が姿を現した。
小さく青い楕円形の体をした半透明の生き物だった。
その魔物は体当たりを仕掛けてくる。
闇王は軽々とかわした。
しかし魔物はまた向かってくる。
かわす。
また向かってくる。
かわす。
その繰り返しだった。
魔物辞典を開く。
「レベルFスライム」
「か弱いのか」
攻撃を避け、スライムを飛び越え、その場を後にしてさらに北へ向かう。
しばらく進んだ時だった。
今度は大きな赤いスライムと、大きな黄色いスライムが現れた。
向かってくる二体をかわした瞬間、闇王は少し驚く。
赤いスライムは火を吐き、黄色いスライムは雷を放ってきたのだ。
「うわっ」
慌てて避ける。
そして剣を一振りした。
二体のスライムは真っ二つになる。
すると、シュワシュワと光を放ちながら消えていった。
「なんなのだ?」
魔物辞典を確認する。
赤い方はレベルEファイアスライム。
黄色い方はレベルEサンダースライムだった。
辞典によれば、魔物が光りながら消えるのは、光の神のもとへ帰るかららしい。
「ふむ」
闇王は納得したように頷いた。
さらに森を進む。
今度は大きく青く、まるで氷のように硬そうなスライムが四体現れた。
何か飛ばしてくると予想し、距離を取る。
すると、
ピュッ、ピュッ――。
白い液体が飛んできた。
「やはり飛ばしてきたか」
それを避ける。
液体が落ちた場所を見ると、草むらが凍りついていた。
魔物辞典にはレベルEアイススライムと書かれている。
「そのままの名前ではないか」
そう思った瞬間、再び白い液体が飛んできた。
闇王は避けながら接近し、一体を斬る。
また避けて斬る。
それを繰り返し、四体すべてを倒した。
そして再び走り出す。
次に現れたのは、宝石のように輝くスライムと、異常な速度で動く白いスライム数匹、それにファイアスライムだった。
白いスライムは少し厄介だった。
いつものように避けてから攻撃すると、その攻撃をかわしてしまうのだ。
そこで先にファイアスライムと宝石のスライムを倒す。
その後、白いスライムの動きを見切り、一体ずつ斬り伏せた。
魔物辞典を見る。
宝石のスライムはレベルDダイアスライム。
非常に硬く厄介だと書かれていた。
「全然硬くなかったのだが」
そう呟きながら白いスライムの項目を見る。
こちらはダッシュスライムというらしい。
さらに進むと、開けた場所へ出た。
そこには大量のスライムたちが待ち構えていた。
今まで倒してきた種類ばかりだったが、その中にはレベルDジェムスライムも混ざっている。
ドロドロした体を持つそのスライムは、斬りつけても切れなかった。
「なるほど」
闇王は考える。
そして剣で突き刺した。
すると他の魔物と同じように、シュワシュワと光りながら消えていった。
しかし問題は数だった。
倒しても倒しても終わらない。
気付けば完全に囲まれていた。
体当たり。
ジャンプ攻撃。
氷の液体。
炎。
雷。
次々と襲いかかってくる。
さすがの闇王も避けきれなくなった。
そこで巨大な剣を盾代わりに使う。
攻撃を受け止めると、そのまま大きく剣を振り抜いた。
一撃で周囲のスライムたちが吹き飛ぶ。
そして光となって消えていった。
戦いを終えた闇王は再び走り出す。
森の奥では、これまで現れたスライムたちが何度も襲ってきた。
だが先ほどの大群との戦いを経験した後では、もはや相手にならない。
雑作もなく倒しながら進んでいく。
やがて森の終わりが見えてきた。
「これで終わりか」
その時だった。
空から巨大な影が降ってくる。
ドゴォォンッ!!
地面が揺れた。
現れたのは、人間の大人五人分ほどもある巨大なスライムだった。
しかも体は虹色に輝いている。
大きいにもかかわらず動きは素早い。
さらに硬い。
そして今まで出会ったスライムたちの技をすべて使ってきた。
炎。
雷。
氷。
しかも威力も量も桁違いだった。
闇王はひたすらかわす。
追いつかれてもかわす。
また追いつかれてもかわす。
その繰り返し。
やがて飽きた。
「もうよい」
闇王は立ち止まる。
飛んできた攻撃を剣で受け止めた。
そして巨大なスライムが目の前まで迫った瞬間―
一閃。
巨大な体が真っ二つになる。
スライムはシュワシュワと光りながら消えていった。
魔物辞典を開く。
「レベルCキングスライム」
しかも出現率は非常に低いと書かれていた。
「出てきたではないか」
闇王は辞典に文句を言った。
森を抜ける。
その先には広大な草原が広がっていた。
しばらく走っていると、遠くに街が見えてくる。
闇王はそのまま街へ向かって走り続けた。




