329話 悲観する時間はまだ無い
エンルージュの戦闘部隊が洞穴に到着するまでの間、私は壁にももたれかかるように座っていた。そして私に課された{LUCK}は一体何なのかを今一度考えていた。
(なんで……私はあんな事を……何が幸運なんだよ……全然不幸じゃないか……)
「……瑞希さん、気持ちはわかりますが……ほら……そんな姿を見せないでください」
ロンが励まそうと私に声をかけてくれているが何も分かってないと勝手に思ってしまっていた。
「私の……私にかけられたこの呪い、ロンには分からないくせに!!」
「……すいません、瑞希さんが言っている呪いというのが分からないのですが……」
「分かってないじゃないか!!私は……私は……」
感情に任せて言葉を吠えている私はとても醜い獣だなと思えてくるほどになってきていた。そして言葉を吠えれば吠えるほど気持ちがどんどんと落ち込んでいくような感じがあった。
(とても……重苦しい……どうしてこんなことに……)
「瑞希さん!少しいいですか!!」
ロンはさすがに私の姿が見苦しかったのか私の手を握った。
「私たちはこのいつ死ぬか分からない世界で生きてるんです、今死ぬか、長く生きて死ぬかの違いなんです。だから……今を悲観する時間なんてまだ無いんですよ」
「……なんだよそれ」
「立ってください、あなたがまだやるべき使命は残ってます、ほら!」
「……面倒だなぁ」
弱音を吐いている私を必死にロンは引っ張っていてどこに連れていくのか分からなかった。
「ねぇ……どこに連れていくの?」
「外、とりあえず気持ちを落ち着かせないといけないですからね」
「……どうして?」
「絶景を見たら気分は落ち着きますからね、実際私も空から地上を見た時の景色は誰にも譲れないほどに気に入ってますので」
「……そうなんだ」
ロンは私を座らせ、雲が流れる様子を見始めた。
「……なんでだろう」
「どうかしたの?」
「……どうして私はあの時調子乗って人間を……電気で焼いたんだろう?」
「……それは私にもわからないです、でも瑞希さんは衰弱しきったエンルージュを見て本気になったと思うんだ」
「確かに衰弱しきった顔を見て……はぁ」
私はため息を吐いた。
「まぁ……そうかもしれない。命を弄んでまで何をしたかったのか」
「あっ、来ましたね。とりあえず今から衰弱しきったエンルージュを救助していくので手伝ってください」
「……分かった。とりあえず今は……救えるだけ救おう……」
私はロンの手助けで立ち上がり、洞穴の奥に向かっていったのだった。そして衰弱しきったエンルージュをとにかく回復させてから何故衰弱したのかを聞くのだった。
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