325話 樽になりきり
不審船がエンルージュの地に近づいてることをフェアリーガードに知らされた私たちはその不審船が飛んできている方向に向かっていた。
「不審船は何処だぁ!!」
「もう……場所すら聞かずに飛び出すなんて……」
「頭で考えるより体で考える方が速いからな!!」
「……この方が自警団のリーダーだなんて思えませんね……」
「何だとぉ!?」
「はいはい、早く不審船の場所に行くよ!」
私は二人をなだめつつ、荒れないようにしていた。そして街の端を通り抜け、下に向かっていると一隻の船が静かにエンルージュの街に接岸しようとしていた。
「あれか?」
「あの船が不審船ですね、一気に攻めますか?」
「攻めてもいいね」
「やっぱそうか!なら行くぞ!」
自警団のリーダーは私の意見を聞いてから真っ先に船に特攻を始めた。
「……仕方ない。私たちも行きましょう。幸いにもまだまだ船は遠いので裏切者のエンルージュに見つかる可能性は少ないです」
「そっか、そっちの対策もしないといけないんだっけ」
「ええ、ここからは私が陣頭指揮を執りますので瑞希さんは敵の拘束を」
「分かった、だけどこの距離から外に飛んでいっても裏切者のエンルージュにばれないかな……」
「それはただ見つからないように祈るしかないです」
(運まかせって事かぁ……)
私は裏切者のエンルージュにバレないように祈りつつ、ルーピンは全速力で不審船に飛んでいった。どんどんと土地が離れていき、後ろを見るとあっという間に土地が小さくなっていった。
「早く船に降りたたないと……」
「そうですね。ですが到着するまでまだまだかかると思います」
「そんなぁ」
数分後、私とルーピンが船に降り立ち、先に到着した自警団のリーダーが開けた穴に入った。
「敵は何処に居るんだ?俺がこの船の中を探しに探したがいなかったぞ?」
「隠れてるって事なのね」
「隠れ……ああ、多分そうだ!」
(とてもバカっぽいなぁ……まぁそれがこの人のいい所なのかもしれないけど)
私とルーピンも船の中を探索し始めたが自警団のリーダーの言う通り人の姿が見当たらなかった。
(人が居ない……隠れてるわけでもないのならどこに?)
「仕方ないです、とりあえずこの樽の中に隠れましょう。そして接岸して数分が経ったら樽から出て裏切者と人間を捕らえよう」
「そうしようか」
私は樽を持ってくると自警団のリーダーにかぶせた。
「わっ!?」
「ほら樽になりきって」
「樽になりきれってなんだよ!?」
「じっとするんだよ~」
私たちは一時樽になりきることになり、接岸して数分後に裏切者のエンルージュと人間を一網打尽にする作戦をとることになった。さてさてこの作戦は吉と出るか凶と出るか……
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