323話 音速の銀翼
私と彼女は一旦翼を装着してフェアリーガードを外に出し、飛行させることにした。
「とりあえずこの周りを飛んでみろ」
「なんだか元気がみなぎってるような感じがするんだけど……」
「そうだな、だが実際はどう動くかは分からないから気は抜けない」
フェアリーガードは翼を大きく広げ、土煙を上げながら上空に飛びあがった。
「うっ……速すぎる!!]
「速すぎるせいかなんだか歪んで見えるね……」
「あたいや王国の奴らもこんな速くは飛べない……凄いぞ」
あまりに速すぎるせいか通りがかったエンルージュに衝突してしまった。
「ぎゃぁぁぁ!!!」
「……速すぎるのもダメかな?」
「いや、あれはあいつが周りを見ずに近づいたから向こうが悪い、そうに決まっている」
「そうなのかなぁ?」
フェアリーガードは今まで感じたことのない加速度を楽しんでいるようで目にも止まらない速さで私と彼女の周りを飛び回っていた。
「それでこいつは街の見回りをさせるという事だな」
「うん、あなたたちじゃ体力が持たないからね、こういうのはフェアリーガードにさせてあげたらいいの」
「そうだな。よし行ってこい!」
彼女の命令を受けたフェアリーガードはノータイムで下に向かい、私と彼女が下を向くとフェアリーガードがもうすでに白い点になっており、笑えてくるような速さで飛んでいた。
「これは……ふふっ」
「何かおかしい事でもあったか?」
「いや……こんな……こんな速さで飛んでるなんて……ひっ」
「一体どうしたんだか、あたいはそろそろ帰るからね」
「ありがとうね~」
(さてと、長く待たせてるロンたちの元に戻ろうか)
私は転移魔法でロンがいる自警団の建物に戻った。だが私が出ていく前と後でなんだか雰囲気が違った。
「……みんな?」
「ああ……おかえり……瑞希さん」
「遅すぎて暇すぎて死にそうだ……」
「なんだか……その……ごめん」
私は自然とごめんの三文字が出ていた。
「それでなんだけどさ、長時間飛行できるような物が出来上がったんだ」
「……どんなものが出来たんだ?」
私が自警団のリーダーにフェアリーガードの事を話そうとするとルーピンがせき込んだ。
「んっ……瑞希さん、その事は話さないでください。少しややこしくなります」
「そうなのか?」
「……つまんね、これだから王国の奴らは隠蔽体勢だと言われるんだよなぁ」
「言ってはいけない事もたくさんあるのです。それで私だけにこっそり教えてください」
「いいけどさぁ……」
私はルーピンにしてきたことを伝えた。
「フェアリーガードに飛行能力をつけた。今はこの下を周回して密航してる船が無いか探してる」
「……分かりました。何か異変があれば私に」
「ああ、とりあえず黙っておくよ」
「全部聞こえてるぞ。というか地獄耳だと言う事を知らないのか?」
自警団のリーダーはゆっくりとこっちに近づいてくると私の耳元に向かって囁いた。
「こんな声量でも俺には聞こえている。フェアリーガードとはなんだ?」
(地獄耳だったのか……分からなかった!!)
王城のエンルージュしか知らなかったフェアリーガードの存在を自警団のリーダーに知られてしまい、一気に私とルーピンは少しだけ形勢が傾いたことに気が付いた。そしてこの形勢を逆転させるためにどういう一手を打てばいいのか私には分からなかった。
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