316話 メシマズ種族
私はルーピンに連れられて街の人にロンの居場所を尋ねていた。
「数人のエンルージュに聞いても手掛かりはなしかぁ」
「仕方ないですよ、この街は広いんですからこの地域に来ていなければ知らないっていうのは当然ですよ」
「……別の場所で探してみようか」
私とルーピンは別の場所でロンを探すことになり、移動を始めた。だが移動するついでに飯屋を探し始めた。
(さすがにお腹が空いてきた。スイーツばかりだと飽きてくるからさすがにまともな食事をしてみたいなぁ)
「ねぇ、スイーツ以外の食事ってこの場所にあるの?」
「スイーツ以外の食事ですか……難しいですよ」
「何が難しいの?」
「……恥ずかしながらエンルージュは根っからの料理音痴なのです。ですがスイーツを作る腕はピカイチなので国民食がスイーツになってしまっているのです」
「そうなんだ……」
(だから私とロンをがっかりさせまいとスイーツを毎日出していたのか……)
私はエンルージュたちがこっそりおもてなしをしていたのかと今気が付いた。そして街中を歩いていると飲食店は本当にスイーツ店だけ並んでいた。
「普通の食べ物は食べたいと思います、ですが同胞の料理の腕がお粗末な物なので……」
「私人間だから簡単な料理だったら作ってあげるけど」
「……ならお言葉に甘えてもいいですか?」
「いいよ~」
そんな会話をしていると真正面からロンが歩いてきていた。
「普通の食べ物ってどんなものなのでしょう……か……」
「……瑞希さん、どうなさいました?」
「いたじゃん……ロン……」
「げっ!王国の!!」
幸運か不幸か分からないが、その場に私とロン、ルーピンに恐らく徒党の奴が一斉に集まってしまった。
「こらぁ!!瑞希の連れをどこに連れて行く気だぁ!!」
「逃げるぞ!」
「あっ!まってロン!」
「助けてください瑞希さん~」
徒党はロンの手を引いて逃げ始め、私とルーピンは徒党を追い始めた。
「これって一体どういう状況なのよ」
「誘拐だろうな。だが周りの人の目がなんか変です」
(確かに周りの目が私たちに向いている。通常だと徒党の方に注目が行くはずだが……)
すると一般の国民が私たちの目の前に立ちはだかり、私とルーピンの事を通せんぼしてきた。
「わっ!?」
「通しなさい!」
「ってどこを触ってるの!!バカヤロー!」
私は体をいやらしく触ってくるエンルージュの頭に肘を打ち込んだ。だが壁は厚く、徒党とロンは消えてしまった。
「……消えましたね」
「ああ、こいつは私の体を揉みしだいてきたから処罰してくれ」
「……検討しておきます」
私とルーピンは徒党を取り逃がし、ロンが徒党によって連れ去られていったのだった。一体あの徒党は何者なのか、私とルーピンはまだ知る由もなかった。
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