311話 人一人の通路の戦い方
アルパイトは片手剣を握り、飛行艇の内部に入っていった。私はアルパイトの後を追いかけつつサポートをする役目に回った。
(飛行艇の中はとても狭いんだなぁ……一人通れるか通れないかの通路なのにアルパイトはすらすら前に進んでる……凄い)
「瑞希、少し遅れているぞ」
「アルパイトがスラスラ行き過ぎるだけなんだよ……少しだけペース落として」
「速いか?」
(遠くなったらサポートできないじゃないか)
私とアルパイトの距離が少し開いた時、急に横のドアが勢いよく開き、人間が現れた。
「エンルージュと……人間だ!?」
「人間で悪かったね、でもあなた達とは違う!」
私は条件反射で魔法を放とうとした、だがここは閉鎖空間かつ近距離。自爆してしまう事に気が付いた。
(閉鎖空間に近距離、仕方ない。折れないでほしいなぁ)
「えいっ!!」
エーテルロジックスタッフを思いっきり握り、力一杯に振り降ろした。当然ここは飛行艇、廊下は一人しか通れない狭さ。人間は私のフルスイングの餌食となる。
「ゴッバァ!!」
「うわぁ!!頭が凹んだ!」
「よそ見厳禁だ」
「ぎゃぁぁぁ!!!」
私が打撃で人間の頭をへこませ、それに気を取られた人間はアルパイトの片手剣に斬られた。
「その杖、とても頑丈だな」
「狭い場所で戦うとなると魔法は使えないからね、こういった打撃もお手の物なんだよ」
「一発で決められたら強いな」
アルパイトは私のエーテルロジックスタッフとアルパイトが持つ片手剣を見比べていた。
「射程の差かだな」
「でもアルパイトの素早さも結構強いと思うんだけどなぁ」
「褒めても何も出ないぞ。ほら早く奥に行くぞ」
再び飛行艇の中を進んでいくことになり、開きそうになったドアは私のエーテルロジックスタッフで先制攻撃をしてドアを開閉できなくしていった。
「ほいドーン!!」
「ぎゃぁっ!!」
「……大きな物音を立てるんじゃないぞ」
「でも敵が出てこなくなってるじゃん。結果オーライって事で」
「はぁ……」
私のやり方にアルパイトはため息を吐きつつも少しだけありがたいと感じているのか少しだけ足取りが軽くなっていた。そして飛行艇の中を探索していて少し気になる点があった。
(そういえばこの飛行艇のドアは木で作られてるけど穴がこっそり空けられているドアがあった……虫に食われたのだろうか)
「ここにトップの奴が居ると思ったが……見当外れだったのか?」
「それはまだ分からない、と思うよ?」
「ここまで探索をして重要そうなドアは無かった。という事はここに重要ポストの奴は居なかったという事だ」
「……私気になってたことがあるんだけど、いい?」
「気になっていた事?」
「あのドア、よく見てほしいんだ」
私は穴があけられているドアを指さした。
「虫食いじゃないのか?」
「重要ポストが乗る飛行艇だったら虫食いがあった時点で交換してると思うんだ。という事は……」
私は爆発魔法を軽めにエーテルロジックスタッフに溜めた。
「とりあえず爆破してみるって事でいいんじゃない?」
私は軽めの爆発魔法を穴あきのドアに当てた。そして私の目論見通りにドアが木っ端みじんになり、中の様子が筒抜けになった。
「お……お前ら!!何つっ立ってる!!行け行け!!」
「わぁ、私の違和感が当たった」
「……そうだな、勘は賞賛に値するかもな」
アルパイトは片手剣を握りながら前に突撃していった。奴らは成果を上げたい一心なのか一人しか通れない通路でつっかえていた。
「人間ってのは成果に執着するのか。愚かだ」
アルパイトは一瞬にして護衛の4人の腹を捌いた。
「……これで護衛は居なくなったよな。その部屋の狭さだとお前合わせて5人が限界だろう」
「ひっ……」
遅れて私がアルパイトの背後に辿り着いた。
「どうして人間が後ろに……」
「人間というのはゲロ以下のような奴らばかりだと思った、だが童は見つけた。瑞希のような人間をな」
私はこっそり目の前の人間の四肢を束縛魔法を使って拘束した。
「なっ……なんだその魔術!!」
(この世界の人間は魔法という概念が無いのか?まだこの世界について知らないからそういうところは分からないなぁ)
「さぁね、でもあなたには使えない物ってのは確かだよね」
「……さぁ、拷問の時間だ。どうして童らの国に攻めてきているのか……そして……」
アルパイトの雰囲気が一気に変わり、いつものの雰囲気から王国の元首のような雰囲気に変わった。
「どうしてお前らの国の貴族は同胞の羽根を身に着けているか……」
(私でもわかる……一言でも言葉を話せば私でも死ぬ!!)
あまりの圧に私も圧倒され、死の危機すら感じていた。そしてアルパイトは私を置いてけぼりにして拷問を始めるのだった。
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