307話 工業の拠点
私は鉄をエンルージュの世界に持ってくるために一旦元の世界に戻ることにした。
「とりあえず一旦鉄を持ってくるから待ってて」
「分かった、待っているぞ」
私は転移魔法を発動させ、一瞬にして元の世界に戻ってきた。
(さてと、鉄を持っていける分だけ持っていこうか)
「ヴァイス~鉄貰うね~……ってなんじゃこれ!?」
私はヴァイスがいる場所に向かった、だがそこにあったのはなんだかすごい立派で資材倉庫が併設されている工房だった。
「……ヴァイス」
「マーチャに建ててもらった。便利でいろいろな物が作れるようになったぞ」
「そうなんだ……とっても立派だね……」
(さらっと快適な温度だし……ほんとどれだけいい工房を建ててもらったのよ)
私は工房の中に入っていき、周りを見ると明らかに機能性重視の構造をしていて一階は炉の置き場になっていた。
「ここは炉がいっぱいあるのね」
「ああ、ここで出来た物は隣の棟の資材倉庫に置く、そして二階は住居スペースだ。炉の熱で一年中ポカポカの床暖房だ」
「燃えないの?」
「大丈夫だ、木の床に見えて鉄板が入っている。早々燃えない」
そしてヴァイスは私を地下に招き、電気をつけると加工設備が部屋の端にあり、またしても資材倉庫に通する扉があった。
「ここは上で作った物をここで加工する場所だ。まぁ便利になった」
「私がいない間にこんな……」
「まぁな。それでどうしてここに来たんだ?」
「鉄がたらふくほしいんだ。今の在庫ってどれぐらいある?」
「こっちに来たら分かると思うけどなぁ」
私はヴァイスに連れられて資材倉庫に足を運んだ。
「凄い、資材ごとに貯蔵する場所が分けられてるのね」
「分けておかないと何が何だか分からなくなるからな、仕方ない。それで鉄なんだよな?」
「うん、出来れば精錬してある鉄がいいね」
「分かった。これでいいか?」
ヴァイスは鉄のインゴットの場所を指さした。
「それでいいかな。とりあえず無くならない程度に持っていくよ」
「持っていっていいぞ。まぁ無くなったら無くなったで瑞希を連れて採掘しに行くけどな」
(私を連れていくのか……まぁ仕方ないよね)
私は手押し車を持ってきて鉄を手押し車の荷台に一杯乗せた。だが鉄はまだまだ在庫があって採掘はまだまだしなくてもよさそうだ。
「それじゃ、行ってくるよ。ありがとうね~」
「ああ、どこに行くのか分からないが行ってら」
私は転移魔法でエンルージュの世界に戻り、大量の鉄のインゴットをアルパイトに渡すのだった。そして鉄の生命体を生み出している最中にまたしても人間の襲撃が始まってしまうのだった。
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