305話 無人機に恋した異端者
訳ありのエンルージュが囚われている牢獄の廊下を私はアルパイトに連れられて歩いていた。数分歩き続けるとなんだか疑問に思ってきたことがあった。
「ねぇ、囚人の声とか物音が聞こえないんだけど……私とアルパイトとの会話の声は響いてるのにね」
「口枷に四肢の自由を奪っているからな、音は必然的に鳴らない」
そしてとある牢屋の前に辿り着き、アルパイトが牢屋の鍵を開けた。
「交渉しに来た。起きているか?」
「声出せないから……」
「そうだったな。なら外すまで」
アルパイトは口枷を外し、顎をクイッと上げた。
「……何?」
(とても幼い姿だなぁ……)
「交渉をしに来た。ここから{はい}か{いいえ}しか言うな」
何だかアルパイトの声に怒りとわずかな焦りがあり、私からしてみれば一刻も早くこの事を納めたいという気持ちが感じられた。
「まず質問に答えろ。童らに手を貸さないか?」
「なんで?あたいをここに封じ込めてるのにそんな図々しい事を言うのね」
「{はい}か{いいえ}しか言うなと言ったはずだ」
アルパイトは囚人の腕を踏みつけた。私からしてみればアルパイトは明らかに焦っているように見えた。
「アルパイト、ちょっといいかな」
「どうかしたのか?」
「私からあなたを見たら明らかに焦ってるように見えたの。焦ったら本質的な何かを見失って間違った結論を出してしまうから……余計なおせっかいだと思うけど一応ね」
「本質的な何か……それは一体なんだ?」
「感じてみればわかると思うよ」
私はアルパイトに遠まわしに落ち着けと伝えた。うまく伝わってくれていればいいのだが……
「もう一度問う。童らに協力しないか?」
「だからどうしてそんな図々しい事を言うの!?というか何故あたいはここに囚われてるのか、理由を言ってくれよ!」
「……くっ……」
アルパイトは囚人を押さえつけたいと思っていたが私の言葉が効いているのかぐっとこらえ、囚人が疑問に思っている事を伝えた。
「何故囚われているかを教えてやる。お前は童らの理解の範疇を越えている鉄の生命体を生み出す。もし野放しにしておけば鉄の生命体は増えていき、王国が壊される危険性があるから捕らえた」
「鉄の生命体ね……たしかにあたいはこっそりそいつを生み出していた。だが生命体ではない事を教えたい」
(鉄の生命体……どういう物なのかな)
私は囚人が言う鉄の生命体という物に興味を持った私は少しだけ質問をしてみた。
「ねぇ、鉄の生命体ってどんなものなの?」
「あっ、瑞希、話しかけないほうがいい」
「鉄の生命体はね~私が指示しなくても勝手に移動したりするんだ~」
(なんだか渚のような物を作っていそうだなぁ)
私は目の前にいる思考が何だか渚のような感じだなぁとしみじみ感じた。
「話は大丈夫か?」
「ごめんねアルパイト、なんだか知り合いと目の前の囚人と重ねちゃった」
「なら童の番じゃな。率直に言う。その技術が欲しい」
アルパイトが言ったのは鉄の生命体を生み出す力が欲しいという名目の勧誘だった。
「それってあたいを勧誘してるって事?冗談じゃないの?」
「もし拒否をするのなら一生牢屋の中だな」
「……強制的だな」
「どうだ?」
「まぁ……体を動かせるのならいいかもな」
「その拘束具は窮屈か?」
「ああ、思ったより窮屈すぎて体の筋肉が無くなりそうだ」
アルパイトは囚人の拘束具を解き、無理やり立たせた。
「足細いな」
「筋肉が無くなりそうだと言ったよ」
「……後でたらふく食べないといけないな」
こうしてアルパイトは鉄の生命体を生み出すと言われる技術を持つ囚人を仲間にしたアルパイト、この後は栄養を取らせるために私と同じようにスイーツ漬けになるのだった。
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