304話 牢屋に封印されてた技術
この世界の人間から攻撃を受けた私たちは一旦城に戻ることになり、これからどうするのかを話し合うのだった。
「ねぇ、アルパイトはいったい何を見たの?」
「女王様に呼び捨てなんて……」
「よせルーピン。人間にはあの距離の物を見るなんてことは出来ない。だから聞いてきた、そうだろ?」
「そう、一体何を見たのか教えてほしいんだ」
ルーピンはため息をつき、やれやれという感じを醸し出していた。
「兵士の後ろにいた奴に気が付いていたか?」
「確か白い何かに身を包んでたね」
「それは見えていたのか、なら話は早いな。あの白い何かは童ら、同胞の羽根だろう。だがどういうルートで手に入れたのだ?」
「羽根……ってまさかこの翼の!?」
私はアルパイトの翼に触れた。
「そうだ。だが奴らがどうして羽根を大量につけていたのか……分からない」
「何故だろうね~」
(もしかしてエンルージュを誘拐して羽根を捥ぎっているのか?だとしたら行方不明になってるエンルージュがいるはず……)
「ねぇ、行方不明になってるエンルージュは居る?」
「知る限りではないな。だが知っている情報は城によくいるエンルージュのみ、城の下にある街の情報は欠けている」
アルパイトがそう言うとルーピンはそれじゃんという雰囲気を出していた。
「ルーピン、言いたいことがあるのなら言ったらどうだ?」
「失礼しました。今すぐ民間のエンルージュたちに行方不明になっているエンルージュが居ないか確認してきます」
ルーピンはそう言うと上空に飛びあがり、下に向かって飛んでいった。
「これからどうするの?」
「人間は童らに対して敵対の意思を見せ、この城にも攻めてきた。奴らが思っている事を例えるなら童らを素材としか見ていないと言う事だ」
アルパイトはそう言うと城に向かって歩き出した。
「だがそなたらは別世界の人間だ。どうしてここまで性格が違うんだろうな」
「……それは分からない。でもこれだけは今までの経験でわかる。統治している王が腐っていれば国民も腐ると」
私はこの光景にどこか既視感があった。私が転生してきて最初の問題事、ウンエントリヒ王国とオルドヌング王国の戦争と構図はほとんど一緒だった。
「なるほど、つまりあの街を統治している奴の頭が煮えたぎっている、もしくは腐っていると言うのか」
「そうだね」
「……分かった。ここは一度奴らに粛清しようか。ハルモニーとそこの龍になる奴はルーピンが帰ってきた時のためにここに残っておいてくれ。童と瑞希は少しだけこの場を離れる」
「分かったよ!でもおやつはたんまりと用意して!」
「検討しておく。行くぞ」
私は半ば強引にアルパイトに連れられる形で城に入っていき、明らかに人気のない場所に案内された。
「今から何処に行くの?」
「牢獄だ。秩序を乱そうとした、もしくは乱した奴らが収監されている。傍を離れるな」
(牢獄……秩序を乱そうとしたエンルージュが居るのか。案外一枚岩じゃないのね)
「どんなことをして囚われたのか気になるけど……にしても頑丈な檻に収監してるのね」
「これぐらい封じ込めておかないと脱獄してしまう。だが一日に数十回姿を確認しておかないといけないからこんな形になってしまっている」
牢獄の形は入り口と窓は鉄格子、それ以外の場所がレンガで囲まれていて食事の穴だけがぽっかりと開いていた。
「頼りたい技術を持っているエンルージュがここに居るからな、仕方なく囚人を協力させないといけない」
そして私とアルパイトは目当てのエンルージュが収監されている牢屋の前に辿り着き、交渉を始めるのだった。そしてその知恵と力は私からしてみればエンルージュの戦力になると確信するほどに有能なことに気がつくのだった。
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