302話 戦闘の傷跡
私と黒い鎧のエンルージュは一旦外に出るとロンが居る方向に歩いて行った。
「御気分は……」
「大丈夫だ。そしてこれから童らは外に出て人間が何処に住まうのか調査をする」
「それって女王様が調査しに行く……と言う事ですか?」
「今現在の戦闘部隊の兵士たちは負傷をしている、ならば童が自ら向かわなくてはいかないからな」
そのことを聞いたルーピンと妹のエンルージュは少し驚いている様子だった。
「ルーピンとハルモニーはどうするのだ?」
「……私は女王様について行きます、一人で置いてはいけませんから」
「私も絶対行く!」
「分かった、なら今すぐ遠征の準備を始めるか。そなたらは少しだけ待っていてくれ」
「どこで待ってればいいの?」
「そうだな……城の入り口で待っていてくれ。迎えに行く」
「入り口で待ってればいいのね。分かった」
私とロンは黒い鎧のエンルージュに言われた通り、入り口でエンルージュたちを待つのだった。だがあの妹のエンルージュの名前が会話の中でこっそり出ていたのに私は気が付いた。
(あのエンルージュの名前、ハルモニーって言うのかぁ……)
「瑞希さん、エンルージュは翼を使って飛んでいきますが……瑞希さんはどうなるんでしょうか?」
「……確かに。飛べないからどう移動したらいいのか分からないね」
「ええ、もしかしたら瑞希さんは置いてけぼりを食らう可能性がありますね」
ロンは私が置いてけぼりになる可能性を言ってなんだか冷や汗をかき始めた。
「……置いてけぼり嫌だなぁ」
「そうですね。万が一置いてけぼりになりそうでしたら私が連れていきます」
「ありがとうね~」
そして数分後、エンルージュたちがこっちに飛んできて近くに着地していった。
「待ったか?」
「うん、なんだかんだで待ったよ」
「少しだけ待っていてくれ。ルーピンと妹が来るまでな」
私とロンは一旦黒い鎧のエンルージュと会話をして他のエンルージュが来るまで待った。
「遅いな」
「鎧を着るのに手間取ってると思うんだけど……その鎧って実際のところ役に立ってるの?」
「敵が来ないから役に立たないと思っているのか?」
「そんなことを聞いたわけじゃないんだ、ただその鎧って使う機会あるのって聞きたいだけ」
「そういう事か。敵が来ないから鎧を着る意味がないと思うだろう。だがエンルージュの文化でな、決闘があるのだ。それで鎧は必須級の装備なんだ」
「決闘……もしかしてその片手剣で……」
「こいつで戦ったら最悪死ぬかもしれないからな、木の棒で戦うんだ」
決闘についての話をしていると上からルーピンとハルモニーが降りてきた。
「何を話してたの?」
「決闘についての話だ。文化については話してもいいだろう」
「そうですね。それでは行きましょうか」
「ああ、人間が住んでいる場所の目星は付かないが……飛び回っていればいずれ分かるだろう」
黒い鎧のエンルージュはそう言いながら私の胴体を掴んだ。
「どうしたの?」
「そなたは人間だ。もちろん飛べないからな、持って飛ぶことにしよう」
黒い鎧のエンルージュは翼をはばたかせ、私の体は徐々に浮き始めた。
「すっげぇ……」
「あまり暴れないでくれ。姿勢が崩れるとすぐに墜落する」
ロンは地力で飛べると伝えたのか地面から飛び降り、龍の姿になった。
「よし、人間が住む土地に向かうぞ!!」
「分かりました女王様~」
「うへっ……この感じ素早く動く系だぁ~」
こうして私たちはこの世界の人間が住む場所を探し始めるのだった。だがその地は私たちの性格と異なり、明らかに人間の負の面が集まったような場所だった。
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