285話 異界の穴
私は家に入っていき、私を待っている人に向かって歩いて行った。
「それで、あなたたちはこれからどうするの?」
「……さぁな。少なくともこいつは長距離移動したくなさそうだ」
シャルフシーセンと眠っているヒナは私を待っていた。
「ヒナはこっちで預かるとしてあなたはどうするの?」
「私か?そうだな……世界を回ってみるとしようか。それか街にこっそり過ごしてパイを焼くか……」
「夢多いね」
「とりあえず外に出て考える、それじゃまたな」
シャルフシーセンはそう言って家から出ていった。
「……自分勝手だなぁ」
(あとはヒナだけか……運んで空き部屋に入れとくか)
私はヒナを持ち上げ、空き部屋に運んで行った。
「……ん?」
「おはよう、眠ってたから空き部屋に入れて眠らせようと思ってたんだ」
「たのむ」
ヒナはそう言い残して再び眠った。
(もしかしてここに居座る気だなぁ……まぁいいんだけどね)
「さてと、後はこのラビィスチールをヴァイスに見せに行こうかな」
私は一旦家の外に出てヴァイスの元を訪れた。
「ヴァイス、これ見てくれない?」
「その物質は一体何なんだ?手に持たせてくれ」
「いいけど……悪用はしないよね?」
「しないと約束する。だから早く見せてくれ」
私はラビィスチールをヴァイスに渡し、何か悪用しないか監視した。
「軽いな。そして硬い……これは何処で手に入れたんだ?」
「ルナにあるんだ。だけど精錬方法が分からないからね」
「……行ってみてもいいんだけどな……どうしようか」
ヴァイスはラビィスチールを気に入ったことによって大量に欲しいなと言った。
「これを使えばいろいろな物が作れそうだな」
「そう言うと思ったよ。まぁ……これがあるのはルナだから空気が無い場所で活動することになる。つまり私たちじゃいけないと言う事だね」
「……どうしたらいいんだ?」
「空気さえあればルナで活動ができると言っておく」
ヴァイスは私の言葉を聞くと何かの設計図を書き始めた。
「それは?」
「ルナで活動できるような服だ。空気さえあればいいんだろう?」
「……実際マーチャに頼めば空気のバブルを付与してもらえるんだよね」
「なら今すぐマーチャに頼んで空気のバブルを付与してもらおう。そしてルナに飛ぼう!!」
「……分かったけどさぁ、その……あくなき探究心はどうしたらいいの?」
「さぁ」
私とヴァイスはルナに向かうためにマーチャにバブルを付与してもらうのだった。だがこの動きの裏で世界樹ではとんでもないことが起きてしまっていた。
パキッ
世界樹の根元、それは管理人でも数か月に一度しか訪れない深層で異変の種が芽吹き始めたのだった。
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