284話 宇宙の様子
馬車に揺られる事数時間、私たちはやっと家に帰ってきた。そしてロンはやるべきことを終えたと言い残して世界樹に帰ると伝えてくれた。
「では、私はこの辺りで世界樹に帰るとします」
「分かった。ありがとうね」
「それでは、また会えることを期待しています」
ロンは私に向かってそう言うと龍の姿になり、世界樹のある方向に飛んでいった。
(ドラゴニアンと龍人族の違い、何となく分かったなぁ)
「瑞希、ルナに帰るから一緒に来て」
「分かった。ラビィたちを集めてくるから少しだけ待ってて」
私は家の中にいるラビィを呼びに行った。するとラビィたちは私を待っていたかのように玄関の前に座っていた。
「……どうしたの?」
「帰りたくない……」
「うん」
「ハチミツちょうだい!!」
(少し余計な事を言ってるラビィがいたけど連れていくかぁ……)
「ルナに帰るから外に来てくれない?きちんとこっちに戻ってこれる魔法、ルナの巫女は必死に覚えてたよ」
「……ほんと?」
「本当だ」
私の言葉を聞くとラビィたちはぞろぞろと私の後を追ってきていた。
「連れてきたよ、後はマーチャに空気のバブルをつけてもらうだけかな」
「私は封宝玉を使う準備をする。待ってるぞ」
私は最後にやるべきことを行うべく、マーチャの元に向かった。
「マーチャ、ルナに行くから空気のバブルを作ってほしい~」
「分かったのじゃ。じゃが儂の頼みごとを受けてくれ欲しいのじゃ」
「何を頼みたいの?」
「ルナの石を採って来てほしいのじゃ。記念にとっておきたいのじゃ」
「分かったけど……私の分も持って帰ってくるから」
マーチャはルナの石が気になっているようで取って来てほしいと私に頼んだ。そして空気のバブルを付与してもらった私はルナの巫女の元に戻った。
「来たか。もうルナに戻る準備は終えた」
「私は空気のバブルを付与してもらったから、向こうに行っても空気がないとかで死なないから大丈夫だよ~」
「ならルナに帰ろう」
ルナの巫女は封宝玉が入ったランタンを天高く掲げた。するとランタンは光を放ち、私たちを包み込んだ。
(まるで転移魔法のような光だな……)
そして数十秒光に包まれたのち、広がった光景は私がこの世界に来る前、子供の時にプラネタリウムで見た光景とそっくりの景色だった。そして地面は灰色で月と比べても同じ感じだった。
「す……すっげぇ……」
(宇宙だ……それに周りには星が……)
私は無意識に手を伸ばしていた。
「宇宙に飛び出していきたいのか?」
「いいや、ただただここから見える星があるなんて思わなかった」
「人間はここに来れないからな。そもそも宇宙に飛び出せない生物だから仕方ないぞ」
ラビィたちはやっと故郷に帰ってきたと言わんばかりに急いで洞窟に入っていった。
「いいや、人間はいつか宇宙に飛び出せるような技術を手にすると私は思ってる」
「そんなバカバカしい話、実現できないと思うのだが」
「実現できる。だって私はここに来る前の世界で、ロケットを打ち上げて宇宙に行ってる人を映像越しで見てるから」
私は転生前の世界でロケットを使って宇宙に向かった人をテレビ越しに見ていた。それを聞いたルナの巫女は少しだけ笑った。
「まぁ、その技術のレベルになるまで数千年、数万年かかるんだろうな」
「ははは……」
「あとこれを記念に持っていってくれ。向こうで採掘しようとしてもここにしかない鉱物だから採掘できない物だ」
ルナの巫女は真っ白な金属を渡してくれた。
「これは?」
「ラビィスチール。ラビィたちが必死に月兎鉄を掘って精錬した金属だ。軽さに硬さ、靭性や耐摩耗性。後はここに来るだけで安価に入手できるという夢の素材だ」
「……こんなもの私たちに教えていいの?」
「どうせこのラビィスチールを悪用しようと思っていないだろう?」
ルナの巫女はそう言いながら私を笑った。そして私はこっそりルナの石をこっそり拾った。
「まぁ一応これを渡したら目の色を変えそうな人が一人いるけど……」
「それじゃ、転移魔法で戻れるか試してみようか」
「だね」
私は転移魔法を使い、ルナと家を往復できるか確かめることにした。すると私の周りに光が集まってきた。
「行けそうな感覚があるぞぉ」
(でも高度制限があるって言うのは知ってる……まさか上空に飛ぶとかないよな?)
「空中に出たらどうしようかな」
「それは任せて、地上に安全に落ちれるようにする」
ルナの巫女はそう言うと私の隣に近づき、体にくっついた。そして魔法が発動し、光が数十秒まとわりついたのち、目の前に見えたのは家だった。
「……戻ってこれた」
「ああ、つまりこれでルナとここの往復手段が確保できたという事だ。つまり私も同じく往復できるという事だな」
ルナの巫女は私から離れると転移魔法を使いだした。
「とりあえずはこれでお別れだ」
「そうだね。とりあえずルナで元気に暮らしてね」
「ああ、いつでもルナに来てもいいぞ」
ルナの巫女はそう言って転移魔法の光に消えていったのだった。
「……さて、もう少しだけやるべきことが残ってるか」
私は残りのやるべきことを消化するために家の中に入っていったのだった。だがこのラビィスチールは何かに使えそうだなと思い、じっくりと見るのだった。
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