270話 力強すぎて砕
馬車に揺られる事数時間、私たちはやっと封宝玉が存在している国に辿り着いた。
「この国の中に封宝玉があるのね」
「とっとと奪還して帰ろう」
「そうですね。行きましょう」
私たちは馬車を適当な場所に停め、国の中を歩いて行った。
「ねぇ、封宝玉の詳しい場所は分かる?」
「微かに分かる、こっちだ」
ルナの巫女は封宝玉の反応がある方向に向かって歩き出した。だが歩き出したのは良いのだが……ルナの巫女はいきなり家の壁にぶつかった。
「いでっ」
「大丈夫!?」
「ああ……だがどうしてここに壁が……」
「もしかして封宝玉の気配を見ている時は壁とかの障害物が見えないの?」
「そうだ……恥ずかしながらな」
ルナの巫女は壁にぶつかったからなのか、おでこを抑えていた。だがもっと大事な怪我が私たちからでも見えた。
「鼻血出てるよ」
「……本当か」
「ああ」
ルナの巫女は鼻血を拭き、再び歩き出した。だが数秒も経たないうちに壁にぶつかってしまった。
「あだっ」
「……定期的に場所さえ教えてくれたら連れて行ってあげるから……ね?」
「分かった。ほら早く」
ルナの巫女は私の手をつなぎ、ぐっと腕を引いてきた。
「場所は今向いている方向にあるのね?」
「そう、頼んだ」
「みんな、行こう」
私たちは封宝玉がある場所に向かって歩き始め、ルナの巫女は封宝玉の場所を探知していった。
(こうしてみるとルナの巫女、小さいなぁ……)
「小さいと思ったのか?」
「ああ、なんだかこうしてみると可愛らしいなって」
私が可愛らしいと言うとルナの巫女のうさ耳はピクッとしていた。
「ばか……」
「ふふっ、言葉は嘘をついていても耳は正直なのね」
そしてルナの巫女は顔を赤らめ、この事を忘れさせようとして封宝玉の場所を素早く伝え始めた。
「こっちにある!」
「うんうん、それで?」
「こっち!」
(何だか指示が早くなったなぁ)
そして私たちはルナの巫女に導かれるまま、とある家の前に辿り着いた。
「この先に封宝玉の反応がある」
「分かった……突撃するか」
私は魔法を溜め、ロンがドアを雷で弾き飛ばした。
「やぁぁっ!」
「……静かだ」
「そうだな……何だこれ」
私たちは家の中に入っていき、部屋の中の状況を確認した。
「これは……死体か?」
「強い力で人かどうか分かりませんね……」
私たちが見つけたのはぐちゃぐちゃになった肉塊だけだった。そして封宝玉はこの場になかった。
「ねぇ、封宝玉は何処にあるの?」
「ここから持ち出されたのか……?」
「恐らくそうでしょう。それでもみ合いになってこうなったのかと」
私たちは肉塊になった何かを眺めながら封宝玉の行方は何処に行ったのか……考えるのだった。
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