268話 人間もどき
私たちは謎の敵からの敵襲を受け、戦闘モードに切り替わった。
「アイススピア!!」
「……当たりましたけど全然効いていなさそうですね」
「本体は別にいると言う事だな」
(本体は別に……ネオプラズマのようなことをしているのか?)
私は地面を見た、だがなんともないように見えたので地面に降り立った。
(違和感はない。もしかして草むらで触手をカモフラージュしているのか)
「……ロン!この一帯に雷を!」
「分かりました……ですがせめて馬車に」
私は馬車に飛び乗り、ロンが雷を放つところを見守った。
「はぁぁ!!」
ビシャァァッと音が周りに木霊し、そして草むらに隠れていた触手が一つの地点に向かって這っていった。
「一点に集まっていってます、瑞希さん頼みました」
「分かった!アイススピア!」
私は触手が集まっていった先にアイススピアを打ち込んだ。すると事件性のある悲鳴と共に手が草むらから出てきた。
「ギャーーーッ!!!」
「……何かいたのか?」
「敵だろう。だが明らかに事件性のある悲鳴だったぞ」
「一旦見てみましょうか……気になりますし」
私たちは悲鳴が聞こえた場所に向かい、何が居るのかと確認した。そこに居たのは尻にアイススピアが不幸にも突き刺さった人だった。
「人……だね」
「人だな」
「化け物ですね」
私とルナの巫女は人と見えていたがロンからしてみれば化け物だと言った。
「化け物?こいつが?」
「ええ、ですがやる気が無いのとアイススピアが突き刺さってしまってるから動いていない……と言うか動きたくないと言う事でしょう」
「どうしたらいいのかな」
「……仕方ありませんね。抜いてあげましょう」
ロンは渋々尻に刺さってしまってるアイススピアを勢いよく引き抜こうとした。だが思ったより深く突き刺さってるのか、もしくはわざとじらしているのか分からないが、ロンはアイススピアを抜くのに苦労していた。
「これ……抜けない……」
「おっ……ふぅ……んっ」
「おいおいおいおいおい」
「ロン、それ以上触るのやめてあげて。さすがに私たち見てられないから」
「そうですか?」
「お゛」
ロンはアイススピアを回していて明らかに煽っていた。そして私は無理やりロンをはねのけ、アイススピアを一気に引っこ抜いた。
「お゛っ」
「ほら、もう抜いたから気を楽にしてもいいぞ」
「……対物魔法を覚えているのか。降参だ」
目の前の人は何故か急に降参と言った。だが私たちが戦っていたのはミミズのような触手だったはずだ。
「何を言ってるの?」
「さっき戦ってたのは私だ……だからもう降参だ」
「最初から私は分かってました。触手がこの人型になったことを」
「知ってた!?」
「ええ、その体はあなた自身の神経毒、その神経毒を吸った人は体を少女の体と誤認させる……ですよね?」
ロンは私とルナの巫女に神経毒をこっそり吸わされていて目の前にいる人の事を少女だと誤認させていると丁寧に説明してくれた。
「それで背中から生えてるこの触手、首に刺したら神経系を乗っ取れるんですよね?」
「その通りだ。そこまで知ってるとは」
「ええ、何だって私は世界樹の管理人ですから」
(何だか意思疎通は出来る感じの人だな)
その時、ロンは私が考えてなかったことをを言い出した。
「ついてきてくれませんか?あなたの力が必要なので」
「……え?」
「急にそれを言ってくるのか?道中で神経ハックをして操るかもしれないぞ?」
「その時は私の雷で元に戻す。そしてあなたは私の神経を乗っ取れないですものね」
ロンは首元を見せながらそう言った。私はロンの首元をじっと見ると細かい鱗がびっしりとくっついていた。
「……そうか、ならついて行くだけついて行く」
「なら早くここを離れよう。敵が見ていたらすぐ襲ってくるからな」
ロンはだらんとしている人を拾い上げ、馬車の荷台に放り込んだ。
「それでは行きましょうか」
「……あいつを連れて行ってもいいのか?」
「ええ、あの人は人生だるすぎて動きたくもないでしょうし」
「分かった、とりあえず変な動きをしたら止めてね」
「分かりました。それでは目的地に向かいましょうか」
私とルナの巫女は馬車の荷台に乗り込み、ロンは操縦しようとした。だが馬はまだぐっすり寝ていてまだまだ進めなさそうだった。そして馬が起き上がるまで私たちは休憩として荷台に集まって話をするのだった。
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