245話 いたずら幽霊
世界樹に向かっている私たち、川沿いを歩いていると木を見つけたのだった。
「距離が離れてるのに大きく見えてるね」
「大木なのじゃ」
「……あれを切るのは少し気が引けるな」
「儂な、思いついたのじゃ。植物を成長させる魔法を使ってあの大木の周りに木を生やせるのではと」
「出来るかもしれないな。とにかく大木に向かうか」
私たちは遠くに見えてる大木に向かって歩き始めた。すると大木の周りに近づけば近づくほど肌寒くなっていき、どこかから見られているような感じになった。
(何だか不思議な感覚だ。どこかから見られているような感じがあるがこの肌寒さ……これ絶対幽霊でしょ)
「なんだか不気味なのじゃ」
「この大木の下に死体でも埋まってるのか?」
「さぁ……でも独特な臭いが漂ってるから死体、埋まってるかもしれないね」
私がそう言うとマーチャとリーベは心から震え上がったようで二人で体をくっつけていた。
「ひぃぃ!!魔王は幽霊得意でしょ!?」
「魔王の儂でも幽霊の類は怖いのじゃ!!」
(リーベの反応は予想していたけどマーチャがビビるなんてなぁ……あれでも魔王なのか)
「マーチャ、幽霊を見えるようにする魔法ってあるの?」
「あるのじゃ、じゃがどうして見えるようにするのじゃ!?」
「少し興味があるんだ、幽霊がどんな格好をしているのか」
マーチャは私の願いを叶えようと木に向かって魔法をかけた。すると木の周りにいた幽霊が私たちの目の前に現れた。
「ひぃぃぃい!!!」
「やっぱり怖いのじゃぁぁ!!」
「……ばぁ」
「ギャァァァァ!!」
「オバァァァ!!」
幽霊は二人の反応が楽しいようで勝手に驚かせていた。
(何だか幽霊もノリがよさそうで助かったなぁ)
「ねぇ、あなたはどうしてここにいるの?」
私は幽霊に話しかけた、すると幽霊はこっちに気が付いたのか私に対して驚かせようとしていた。
「ばぁ」
「……怖いね」
「はぁ!?なんだよその反応は!あの二人の方が楽しかったぞ!?」
「何に怒ってるのか分からないんだけど……でもこれだけはわかるかも。あなたは驚かせるのが好きだよね?」
私は幽霊を軽くあしらった。すると私の反応に満足できなかった幽霊は再びマーチャとリーベの方向に振りむき、そして驚かせた。
「ドギャァン」
「ギャァァ!!」
「ボギャァァァ!!」
「ねぇ!どうしてここで幽霊をしてるの!?」
私はそろそろ堪忍袋の緒が切れそうになっていて幽霊に少し強めの口調で呼びかけた。
「……ねぇ、今強めの口調で言ったの?」
「ああ、あなたが私の事を無視するからね」
幽霊は鼻息を漏らしながら私の至近距離に近づき、後少し動けば唇が当たる程度まで顔を近づけてきた。ここで私の変なスイッチが無意識に入り、強気な発言が出てきた。
「へぇ、死んでまで私を追いつめてくれるの?」
「お前の趣味や嗜好は知らないが鼻息、当たってるぞ」
私と幽霊の雰囲気は他人から見れば一触即発の光景だった。
「瑞希……一体どうしたのじゃ……」
「ああ、瑞希らしくないぞ」
「らしくないか、それって今までの私の事を見ての事だよね」
「そうだ……」
「人はある時に強く行かなければならない、こういう時のような状況はな!」
私は幽霊がいる方向に歩を進め、幽霊と体がぶつかっていった。
「へぇ……いいじゃないの知らない人間」
「やる時はやる女なんだから、本気にさせたことを後悔して」
私は目の色を変え、幽霊の顔を掴んだ。そして私は勢いのまま幽霊とキスをした。
「ッッッン!?」
「のじゃっ!?瑞希と幽霊がキスをしよったのじゃ!?」
「カーッ、卑しい女……いや卑しい瑞希だぞ!?」
数秒唇を重ね続け、ふと我に返った私は頭の中の思考が思いっきり止まった。
(あれ……今どういう状況!?どうしてこうなってるの!?)
「っパァ……ハァ……」
私は幽霊の顔を押しのけ、キスを止めた。すると幽霊はその場にへたり込み、手を心臓に当てていた。私も顔が赤くなり、周りの湿度が少しだけ上がったような気がした。
「はぁ……はぁ……クッ……知らない人間め……」
(今さっきの感情は何だったんだ……?とても気持ちよかった気がするし変な気持ちだった……もう一回してみたい気がするけど……何だろうこの感覚……)
「瑞希!戻ってくるのじゃ!」
「そうだ、一旦冷静になれ!」
私は新たな扉を開きかけていたがマーチャとリーベが呼び戻してくれた。だがこの胸のざわつきは一生残るような気がしていた。
「……ラック……今の感情って何なの?」
私はラックに今の感情のことを聞くために呼び出した。
「久しぶり~派手にやってたね~」
「見てたの?」
「ああ、ぶちゅちゅーってさ、ほんと良い物を見せてもらったよぉ~」
私はラックの煽りに負け、ラックの胴体を握った。
「グエーッ」
「……ムカついたから握っただけ、私は悪くない」
「うぅ~……とりあえず今の感情は恥ずかしいとか気持ちよかったとかの感情がぐちゃぐちゃになってると思うよ~それじゃじゃーねー」
ラックは私にそう言い、逃げるように消えていった。
「瑞希、今のは何だったんだ?」
「私が転生してくる時についてきた神なんだ。今はあんなふうに嚙み終わったガムのような扱いだけど」
「神なのかあれで……」
「とりあえず……深呼吸して落ち着くか」
私は深呼吸して落ち着くことにし、一旦地べたに座っている幽霊にどうしてここに居るのか聞くのだった。
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