241話 フェンリルとオオカミ
シルヴィアスはオオカミやフェンリルたちに命令を笛で出した。
{ピィィィィィッ!!}
「多分これで探してくれるはず」
「確かにオオカミやフェンリルが散らばっていってるのじゃ……シルヴィアス、もしかしてモフモフが好きなのか?」
「まぁね~」
周りから一瞬にしてオオカミやフェンリルが消え、不審者の捜索が始まった。
「さて、見つかるまでここで待つとしますか」
「見つかるまでと言っているのじゃが……どれぐらいかかりそうなのじゃ?」
「捜索の規模に比例するけどね~大体10分ぐらいかも」
(10分、早いのか遅いのか分からないや)
そして私たちは森の中で少しだけ休憩することになり、倒木の上に腰かけた。
「シルヴィアスってなんだかんだでオオカミを扱う事に長けてるよね」
「躾をしっかりしたからね~今となっては犬のように扱えるの」
「とても凄いのじゃ……」
「オオカミを従えることって難しいの?」
「とても難しいのじゃ。だってあ奴らは野生の本能が研ぎ澄まされてるから人に懐くことは絶対にないのじゃ。じゃがシルヴィアスは懐かせたのじゃ!!」
「つまり不可能なことを可能にしてしまったってこと?」
「そう言うことになるのじゃ……とても恐ろしいのじゃ」
マーチャは何故かオオカミを従えることを恐ろしい事と言った。何故だろうか?
「マーチャ、どうして恐ろしい事って言ったの?」
「そうじゃな……一つ言えることは数が集まれば強者ですら持たないと言う事をな」
「……つまりオオカミの大群が押し寄せたらマーチャでも無事じゃすまないって言うこと?」
「そう言うことになるのじゃ」
(マーチャでも数の暴力には勝てないのかな……)
その時オオカミの遠吠えが少し遠くから聞こえてきた。
「アウゥゥゥゥゥ!!!」
「おっ、遠吠えが聞こえたのじゃ」
「どうやら仲間に知らせてるらしいね。不審者を見つけたと」
「無事に捕らえてくると良いのだけど……」
オオカミの遠吠えが聞こえてから数分後、何かを引きずる音が徐々に大きくなってきていた。それと同時にマーチャは何処からオオカミが来るのかと周りを見ていた。
「あそこから来るかもしれないね……」
「あっちから来るのじゃ?」
「大丈夫、襲わないようにしつけてあるから魔王様、安心して」
そしてオオカミは不審者の腕を噛みながら引きずってきた。当然不審者からは血が出ていて命には届かないほどに手加減されてるようだ。
「ありがと、戻っていいよ」
「ワウッ!」
シルヴィアスがそう言うとオオカミは遠吠えをして仲間に狩りの終わりを伝えた。
「ワウゥゥゥゥゥ!!!」
「……そういえば遠吠えの声が違ったけど何か意味があるのかな」
「今のはオオカミの遠吠え、そして不審者を発見した時の遠吠えはフェンリルかな」
「分かるの?」
「とても分かりやすい、そしてフェンリルが手柄をあげると思っただろう?」
「そう思ったのじゃ」
「実はフェンリルは捕らえるのが苦手で索敵が得意なんだ。逆にオオカミは索敵が苦手で捕らえるのが得意なんだ」
「へぇ……そんな役割があるのね」
「初耳なのじゃ」
私とマーチャはシルヴィアスにオオカミとフェンリルの役割を教え込まれ、またしてもオオカミとフェンリルに詳しくなってしまった。そしてこの不審者の処遇はいったいどのようにして裁くかを私たちで決めるのだった。
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