240話 年齢に沿った精神性
私はラビィたちを家の中に連れ込み、不審者の目に映らないようにした。
(不審者が誰なのか判明するまで外に出さないことが最適解かな……でも少しだけ狭いから申し訳ない気持ちがあるなぁ……)
「少しだけあっちに居ようか」
「わーい」
「つまらなさそう?」
「……ん」
人の言葉を話せるようになったラビィたちは私が指定した場所に走っていった。その光景は子供そのものだった。
(さて、マーチャに頼んで不審者を追跡していくか)
私はマーチャを呼び、不審者がどこに行ったかを聞いた。
「マーチャ、少しだけいいかな?」
「どうしたのじゃ?」
「不審者の行方、分かる?」
「まだこの近くをさまよってるから分かるのじゃ。もしかして追いかけるのじゃ?」
「追いかける。だが私一人だと心もとないからシルヴィアスの手を借りようと思うんだけどいい?」
「まぁ……いいのじゃ」
マーチャは私の提案を受け入れ、そして私の部屋で休息しているシルヴィアスを呼びに行った。
「シルヴィアス、こっちに来るのじゃ」
「魔王様……急にどうしたんですか!?って何ですかその顔はぁ!?!?」
(マーチャはシルヴィアスに向かってどういう顔をしてるのかな……少しだけ気になる)
「シルヴィアスのお友達に力を貸してほしいのじゃ。そのために呼んだのじゃ」
「お友達……あのオオカミの事ですか?」
「のじゃ。儂の話を聞いてくれなのじゃ」
マーチャはこの付近に不審者が居てそいつを捕らえてほしいと言う事をシルヴィアスに伝えた。
「……そう、なら私の友達に力を貸してもらおうかな……でも少しだけややこしいことになってるからみんなに黙っててくれる?」
「どうしてなのじゃ?」
「……先祖返りっていうやつなんだよ」
「先祖返り……?」
私とマーチャはシルヴィアスが言った事が分かっていなかった。
「とりあえずその先祖返りという物を見せてくれなのじゃ」
「いいよ、面白い事が起きてるから……」
シルヴィアスは私とマーチャを連れて森に入っていき、呼び寄せの笛を吹いた。すると周りからがさがさとオオカミが集まってくる音が聞こえてきた。
「多分ちらほらと居るはずなんだけど……」
「オオカミしかいないが?」
「ほら、あそこに居る」
シルヴィアスが指さした方向を見ると人型の何かがいた。
「……人が居るね」
「ああ、人が居るのじゃ」
「あれが先祖がえりをしたオオカミ、もといフェンリルだ」
(フェンリル……耳にした事のない種だ)
「瑞希、フェンリルは知ってるのじゃ?」
「知らない、だから教えてくれる?マーチャ」
私はマーチャにフェンリルという種の事を教えてほしいと頼んだ。
「分かったのじゃ。まずフェンリルとオオカミは似て非なる物なのじゃ。そしてオオカミの祖先はフェンリルということが分かっているのじゃ。それが今になって表れたという事じゃな」
「それでフェンリルって一体何者なの?」
「フェンリルというのは儂がまだ子供の時に森の中の覇者なのじゃ」
「森の中の覇者?」
「森でしか力を発揮できないのがフェンリルなのじゃ。そしてフェンリルとオオカミが子を成していった結果、フェンリルの血が薄くなっていき、どんどんとフェンリルの個体数が少なくなっていったのじゃ」
「まって、どうして個体数が減っていったのか分からないんだけど……もしかしてなんだけど性別が一つしかなかったの?」
「メスしかいなかったのじゃ」
私はマーチャからフェンリルという種の情報を教え込まれた。そしてフェンリルの方を見てみると確かに女性しかいなかった。
(確かにマーチャの言う通りに女性しかいない……でもこの人たちは種としてはなんだ?)
「でもフェンリルの血とオオカミの血が混じってるのならあのフェンリルは一体何なの?」
「先祖返りしているのならフェンリルだと思うのじゃが……怪しい所なのじゃ」
そして私たちはオオカミやフェンリルの力を借りて不審者を探していくのだった。そしてオオカミとフェンリルとの違いがどんどんと浮き彫りになっていくのだった。
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