239話 不審者
私とラビィたちが話をしているとマーチャが家から出てきた。
「とても人の言葉が上手になってるのが家の中から聞こえてきたのじゃ」
「……ばばーあ」
「あっ!」
(マーチャに対して言おうと思わなかったけどこの子たちが言っちゃった……どうなっても知らないっと)
私はマーチャの事をババアと言ったラビィたちを見守った。するとマーチャは予想外の行動をとった。
「こらこら、そういうことをいいでなさんな~」
(まじか……マーチャが怒らずにラビィたちに注意をした……私だったら確実に怒っていたぞ……)
「いいのか?怒らなくても?」
「いいのじゃ~別に儂の年齢は人間からしてみればババア同然なのじゃから」
「でもこの子たちはラビィっていう種族なんだけど……」
「別にいいのじゃ~」
マーチャはラビィたちがババアと言ったことに腹を立てていなかった。
「それで瑞希、少しだけ伝えておきたいことがあるのじゃ」
「どうしたの?」
「儂な~こっそりこの高原周辺に儂の魔力をほんの少しだけ撒いていたのじゃ」
「つまりこの空気にマーチャの魔力が少しだけ漂ってるの?」
「そうなのじゃ。その意味は何じゃと思う?」
「……身体能力を高めるため?」
「違うのじゃ。正解は高原に入った不審者をいち早く特定させるための物なのじゃ」
「特定……まさかここに来た理由って!?」
「そういう事なのじゃ。あと少しでこの近くに来るのじゃ」
マーチャが伝えに来たのはこの周りに何者かが近づいてきているという情報だった。
「敵対的な感じなの?」
「分からない、じゃがこっちに近寄ってきているのは確実なのじゃ」
(つまり敵か味方か分からないと言う事か)
私はマーチャに人が来る方向に顔を向け、エーテルロジックスタッフに魔法をストックし始めた。
(さて、敵か味方か……)
そして魔法をエーテルロジックスタッフにストックし始めて数分後、全く敵にいない事に少しだけ不安感をあおられた。
「マーチャ、本当に居るんだよね?」
「居るのじゃ。そこに」
マーチャが指さした場所、そこは一本の木だった。
「もしかして裏に居るのか?」
「多分居るのじゃ」
「……少しだけ行ってくる」
私は何かが木に隠れているのでその場所に向かうことにした。
(……誰か居るのか?)
私は木の裏を確かめてみたら人はいなかった。
「マーチャ、何もいないけど?」
「瑞希がその木の近くに向かうにつれて何かが逃げていったのじゃ」
「……つまり逃げられたって事なのね」
「のじゃ。でもまた現れるかもしれないのじゃ」
「その時は教えてほしい」
「分かったのじゃ~」
私はマーチャに不審者が近づいてきたら教えてほしいと伝え、そしてラビィたちを家の中に連れて行ったのだった。
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