233話 魔王のおしごと
数日後、家でゴロゴロと怠惰な時間を過ごしているとマーチャが部屋に入ってきた。
「瑞希、とても暇そうなのじゃ」
「マーチャはどうなの?暇なの?」
「儂は一応魔王なのじゃ、仕事が山のようにたまってて毎日激務なのじゃ」
(そういえばマーチャは魔王って言われてるんだよな……でもその風格は日を追うごとに削れていってるような……)
私はマーチャが魔王だという事を少しだけ忘れかけていた。
「これって?」
「仕事の束なのじゃ……全く……儂に仕事を振って……儂も瑞希のようにのんびりしたいのじゃー!」
「マーチャ……がんばって。私にはその仕事の内容が分からないから」
私は簡単にマーチャを突き放した。それと同時に窓ガラスが割れる音が聞こえ、誰かがネオプラズマの事を追いかけているようだった。
「待って!体の一部をサンプルにするだけだから!」
「やめて~!!」
(フェアシュタントがネオプラズマを追いかけまわしてるのか……止めてもいいけど放置しておくか)
「瑞希、止めないのじゃ?」
「楽しそうだし止めない」
「なら儂も止めないのじゃ~」
そしてマーチャが紙に書かれた文字を読み始め、二つに分け始めた。
「これは不許可、これもこれもこれは……許可なのじゃ」
「これって何なの?」
「魔族たちの要望を振り分けてるのじゃ。じゃが書かれるのは個としての欲望だらけの物なのじゃ。じゃから儂が許可か不許可かを振り分けてるのじゃ」
「例えばどんなものが許可されるの?」
「城に仮眠室を作ってほしいとか休暇とかなのじゃ。逆に不許可になりやすいのは……こういう私利私欲にまみれた物なのじゃ!!」
私は不許可になった物をマーチャに見せつけられた。
「……確かに口には言い出せないほどに酷い物だね」
「のじゃ……じゃからこういう物は書かないようにと言ってるのじゃが……種としての性からは逃れられないのじゃ」
「ん?これって何なの?」
私は紙の束から少ししか見えない文字が気になった。
「……瑞希、これを見てみるのじゃ」
「なになに?突然空から石が降ってきて獣人のような耳を生やした生物が飛んできた石にしがみついていた……?」
「何を言ってるのか分からないじゃろ。儂にもわからなかった」
「だよね……」
「でもこれは少し気になるのじゃ……少しだけついてきてくれるのじゃ?」
「そもそもこれを書いた人物はいったい誰なのか気になるね」
こうして私とマーチャはこの文章を書いた魔族に出会いに行くのだった。そしてこの文章に書かれていることが本当かどうか確かめに現場に向かうのだった。
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