208話 遠回しの催促
家に帰ってきた私は池田渚にハイスペック動力コアを渡した。
「そういえばあなたがアンドロイドを造る時、動力コアが必要だよね」
「そうだ」
「聞いておきたいことがあるんだ。動力コアをどこから調達してたの?」
「動力コアは作れるる、だがこれほどまでに精密に作られた物は職人じゃなければ作れないだろう」
(作れるんだ……でも池田渚が作れるのはスタンダードの動力コアっぽいな)
池田渚はハイスペック動力コアを持ちながら何かを考えていた。
「……これをもっとアップグレードしたいんだけどな、あいにく僕は職人じゃないからむやみに触ると壊れる。職人に頼んでハイスペックをもう一つ上のランクに引き上げてもらいたいな」
(だとしたらあの時職人が住んでる家を教えてもらうべきだったか……)
「これだけでも発電機を作れない事はない。やってみる」
池田渚はハイスペック動力コアを研究施設に持っていき、私も池田渚の後をついて行った。
「ついてくるのか?」
「ああ、どのようにして電力を取り出すのか見たいからね」
「そうか、設計図はもうすでに頭の中に入っている。後は加工するだけだ」
(加工か……材料はあるのかな)
そして研究施設の中に入っていき、開口一番私はこんな事を言った。
「まるで異世界だ……」
「いやここ異世界だろ」
私は異世界に居るのに異世界になじみすぎて元の世界の事を異世界と言ってしまった。池田渚がさっとツッコミしてくれたおかげで間違いに気が付いた。
「そうじゃん……ん?」
(待てよ、異世界の住民からしてみればこの建物の雰囲気は異世界と感じるだろう。だけど私からしてみるとこの世界自体異世界だけどこの建物はどことなく帰ってきた感が……)
私は余計なことを考え始め、池田渚は私の無駄な考えを一蹴した。
「異世界の物でこの建物が建てられたから異世界の物でよくないか?」
「……確かに」
「はぁ……少しだけ集中させてくれ」
池田渚は倉庫から紙を取り出してくると設計図を書き始めた。
「こんなもので動くだろう。必要なのは鉄板と銅、金にエーテルだ」
「持ってきたらいいの?」
「持ってきてほしいな。鉄板は……この角材の長さでいいだろう」
池田渚は欲しい材料を私に持ってこさせようとしていた。
「おおよそ1m四方の鉄板ね。分かった」
「2枚持ってきてほしい、頼んだ」
私は池田渚に頼まれた材料を調達しに資材置き場に向かった。
「ヴァイス、少しだけ頼まれてくれない?」
「角材を持ってどうしたんだ?」
「この角材の長さの鉄板を作ってほしいんだ」
「鉄板で良いんだよな?」
「ああ、あと銅と金、そしてエーテルが欲しい」
「分かった分かった。急がなくてもいいぞ」
ヴァイスは私を静止させながら鉄のブロックを手元に集めていった。
「とりあえずこいつらを溶かして鉄にする。鋼じゃダメだったのか?」
「分からない、でも鉄板を持ってきてほしいって言ってた」
「そうか、なら型を作るから待ってろ」
ヴァイスはエーテルレンガを持ってくると通常の炉の出口に並べていった。
「瑞希、少しだけ聞きたいことがある」
「何を聞きたいの?」
「機械とは何だと思う?」
「機械とは……なんだか専門の人にそんな事聞かれると言いにくいなぁ……楽になるための物?」
「人の作業を楽にするための物だ。私はこう思うんだ。野ざらしでは忍びないなと」
(あっ、これ工房を建ててほしいと催促してるんだ……マーチャに頼むか)
私はヴァイスの愚痴を受け流しながら作業の手伝いを行った。そして動力コアを使う発電機はとても効率が良く、私たちが普段使っている雷の石式の発電機が屁のように感じてしまうのだった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想・レビューをお願いします!




