202話 ハイグレードのポーション
数分後、インフォルマチオンが私と池田渚の元に帰ってくるとツルハシを返してきた。
「これ、返すわ」
「それでどうだった?このツルハシで掘れたか?」
「とても掘れた。グレードⅠのエーテルが入っててグレードⅤのエーテルを掘れるなんて思わなかった」
「それで……エーテルは掘れたのか?」
「ええ、粉でしか取れてないからどうとも言えないけどね」
インフォルマチオンが懐から取り出した物は濃紫色の粉だった。
「エーテルの粉なのか?」
「ええ、これを後3本掘ってきているけど……」
(もしかしたらこのツルハシをアップグレードしてもっと硬い物を掘れるようにしたら……!!)
「あとグレードⅤのエーテルポーションを造るのなら私の手も必要だから、ほら早く連れていきなさいよ」
「もしかして家に行こうとしてるのか?」
「もちろん、グレードⅤのエーテルポーションは専門職じゃなければ作れない。だから早く連れてけ」
私は立ち上がり、仕方なくインフォルマチオンの傍に歩いて行った。
「池田渚も来て。醸造中にポーションの効能が切れたら悲惨だからね」
「分かっている。だがこの場所の景色をよく見ていて綺麗だなと思っていただけだ」
私は二人を呼び寄せ、転移魔法を使って家に帰ったのだった。
家に帰ってきた私と池田渚は醸造施設にインフォルマチオンを招き、グレードⅤのエーテルポーションを醸造する準備を整えることにした。
「フェアシュタント、少しだけここを使わせてくれないか?」
「何か作るのか?って後ろの奴……ツルハシを渡してきた奴だ!」
フェアシュタントは私たちとエーテル地域に行った時にインフォルマチオンと遭遇していて顔見知りなのだ。
「ここがポーションを醸造している場所なのね、設備は整ってるから大丈夫そう。なら材料を集めてきて。ホワイトドラゴンの鱗とブラックドラゴンの鱗とカラゴエの枯草が欲しいかな」
「……カラゴエの枯草ってどこに生えてるんだ?」
「基本的には気温が高い場所にあるけど最近は街で面白い味がすると言って飲み物に加工する人間もいるらしい。まぁ私が言った中で難関すぎる材料はホワイトドラゴンの鱗とブラックドラゴンの鱗だね」
「……いや、その二つの方が簡単に手に入るんだけど」
「そうなのか?なら集めてきてくれ」
私は醸造施設を後にするとリョウの家に向かっていき、思いっきりドアをノックした。
「……居るのか?」
ドアの前で待っているとブラックドラゴニアンの子がドアを開けた。
「……なんだ?」
「リョウは今何処に居るの?」
「あいつなら出かけている。俺を置いてな!」
このブラックドラゴニアンはリョウが体に宿している最初の勇者の紋章を狙ってた。だが返り討ちに遭い、そして今は修行の身なのだ。
「ちょっとごめんね」
「なんだ?体の輪郭を撫で……ぬおぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
私はブラックドラゴニアンの体から少しだけはみ出ている鱗を引き抜いた。するとブラックドラゴニアンが力なく倒れ、少しだけ痙攣していた。
「鱗を抜かれるの……気持ちいい……」
(ヴァイスは鱗を抜かれるの嫌がるけどこいつは快感に感じるのか……少し気持ちが悪いな)
「用はこれだけだから、それじゃ」
私はドアを閉め、次にホワイトドラゴンの鱗、もといヴァイスの鱗を手に入れるために交渉しに森に向かった。
「ヴァイス、何処に居るんだ?」
「ここだ、ちょうど木材が出来上がる直前だった。何か用か?」
「鱗、欲しいんだけど……もらえない?」
「いいぞ、部屋に入って袋から取っていいぞ」
「ありがと~ね~」
ヴァイスは抜けても一日経てば生えてくる習性を活かし、鱗をスパスパ抜いていて必要になった時に重宝する。
「いや~助かるなぁ~」
私は家に入り、ヴァイスの部屋を軽く漁り、そしてホワイトドラゴンの鱗を手に入れたのだった。
(しかしこれをどのようにして使うんだろう……まさかこれを粉々にして飲ませるって事なのか……!?)
ブラックドラゴンの鱗を見ると抜く光景がフラッシュバックしてますますポーションを飲む気が失せてきた。
「……もう過ぎ去ったことじゃないか」
(あとはカラゴエの枯草だけ。一旦この鱗をインフォルマチオンに届けてから街に行く事にするか)
私は一旦醸造施設に帰り、鱗を置いてから街に向かうことにした。
「インフォルマチオン、鱗は確保できたから後はカラゴエの枯草を買ってくる」
「分かった、しかし貴重な鱗をこんな簡単に……どんな奴がこの付近に住んでるんだ?」
「ホワイトドラゴニアンとブラックドラゴニアンが近くに住んでるからね」
インフォルマチオンは私の言葉に驚いているようだった。そんな顔を見ながら私は街に向かい、カラゴエの枯草を買いに向かうのだった。
(しかし鱗ってそんな高価なのかな……)
ヴァイスの部屋にあった鱗の数はぱっと見で150枚以上はあり、一斉に市場に流出したならば経済は崩壊するだろう。そんな妄想を私は頭の片隅で思っていたのだった。余計なことを考えている内に街に辿り着き、カラゴエの枯草を売っている店を探していった。
(カラゴエの枯草は何処で売っているのかな。一番ありそうなのは食料品店、次点で道具屋かな)
私は食料品店に向かい、カラゴエの枯草は何処にあるか聞いた。
「ごめんなさーい、カラゴエの枯草が何処にあるか分かりますか?」
「カラゴエの枯草ね……少し待っててくれない?」
店員はカラゴエの枯草を探しに店の奥に入っていき、少し時間が経つと枯草を持ってきた。
「これかい?」
「……これがカラゴエの枯草なんですか?」
「そうだよ!銅貨20枚ね!」
(とても安い、良心的だなぁ)
私は銅貨20枚を払い、カラゴエの枯草を手に入れた。そして私は転移魔法で家に戻り、インフォルマチオンにカラゴエの枯草を渡した。
「これですべての材料がそろった、これからグレードⅤのポーションを醸造するよ!」
「……どうしてこの枯草が必要だったんだ?」
「グレードⅡまではギリギリ飲める味、だけどグレードⅢからは耐えられないの。だから美味しい味にするためにこのカラゴエの枯草が必要なのだよ」
(いやグレードⅡの時点で地獄のような味だったというのは喉の奥に収めておこう……)
私はフェアシュタントの名誉のためにポーションが地獄のような味だったことを隠した。そしてインフォルマチオンがポーションを造り始め、辺りにはお茶の匂いが漂い始めた。
(なんだかお茶の匂いがする……いい香りだ)
そして出来上がるグレードⅤのエーテルポーションは今までにもないほどに美味で効能は3時間続くと言うおまけ付きの物が出来上がるのだった。このポーションがあればエーテル地域に長く居られることは間違いなしなのだ。
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