201話 浸食反応
私と池田渚はエーテル地域の奥地に向かっていきながら魔物が何処から飛び出てくるか警戒して進んでいった。
「頭の中にノイズが走る……だが体の調子は通常だ……変な感覚だ」
「確かにノイズが走ってるような気がする、私自身エーテル地域の奥地に向かうのは初めてだからどんなことが起きるのか分からない」
(一度エーテル地域の中にある村に寄り道をして道案内をしてもらうってのもアリか)
「少しだけ寄り道をしようか。エーテル地域の住民に道案内をしてもらおう」
「ここに住んでる生き物は居るのか……?」
「居るぞ、こっちに来てくれ」
私は記憶を頼りにエーテル地域の村に向かっていった。周りが赤紫色でほとんど同じ光景だったが私は迷わずに村を見つけた。
「あれがエーテル地域の村だ。まぁ目に悪いのは慣れだな」
「ほとんどの建材が結晶で作られているのか!?」
「恐らくそうだな……プライバシーとかそういうのは無視してるんだろう」
私と池田渚は村に入っていき、私はとある家の前に向かった。
「確かここだったな……誰かいるか?」
私はドアをノックして誰かが居るかどうか確かめた。すると家の中からふわふわの服に身を包んだサキュバスが出てきた。
「インフォルマチオン、久しぶり」
「……転生者……か」
(寝起きのようだ、かなり気まずいかも)
「どうしてここに来たんだ……?」
「エーテル地域を案内してほしいんだ。エーテルポーションを飲んで1時間は耐えれる」
「分かった……その前に聞いておきたいけど……転生者の横に居るのは男か?」
インフォルマチオンはそう言うと池田渚を見た。
(そう言えばインフォルマチオンはエーテルに汚染されたサキュバスだったな。やっぱり本能には抗えないのかな)
「こう見えて……女だ」
「雄んなの子ということか、残念だ」
インフォルマチオンは残念がって家の中に入ると服を着替え始めた。
「少し待ってろ、寝間着で外を出ると何があるか分からないからな」
(あれで寝間着、なんだかもこもこで快眠で過ごせるかもなぁ)
「インフォルマチオンはサキュバスなのか?」
「池田渚ってサキュバスを見た事無いの?」
「ああ……今まで孤独とほとんど同じだったからな。唯一人が傍にいた時は……花が傍にいた時だ」
「花?」
(もしかして池田渚の友達なのか?だとしたらハナとの関係性はあるのか?)
私は池田渚がふとこぼした人物名を逃さずに聞いた。
「花の話はエーテル地域から出てから話そう、今は今の事を考えていこう」
「……質問させてほしい。花とハナ……TSJ-87-Pとの関係性はなんなの?」
「TSJ-87-Pの個体名を知っているか。なら瑞希にはもうすべてを知られているかもしれないな。僕の事や花の事を……」
池田渚はそう言って少し俯いた。
(何か申し訳ない事を言っちゃったかな……)
「心に触れてしまってごめんね」
「大丈夫だ。だが必ず話さなければいけない事が縮まっただけだ」
そして家の中からインフォルマチオンが出てくると短いダガーナイフを太ももの周りのガーターベルトに挟み込んだ。
「それじゃ、行こうか」
「……なんだか肌面積が寝間着より多い気がするんだけど……防御面で心配なんだよ」
「そうだ、寝間着の方が防御面として優秀だと思うが」
「どうしてそんなことを言われないといけないの?私はエーテルサキュバスよ?簡単なアンチシールド系や最上位のアンチシールドを使えるからこれでいいの」
(慢心で死んじゃいそうなインフォルマチオンだなぁ……でも戦いに関しては背中を預けられそうだしいっか)
私と池田渚はインフォルマチオンの案内でエーテル地域の奥地に向かっていった。そして周りのエーテルが赤紫から紫の色が変わっていくのに気が付き、純度や濃度が濃くなっていることが直感的に分かった。
「うっ……少しだけやばいな」
「ああ……頭が少し痛くなってきた」
(何だこれ……1時間は耐えられるはずじゃなかったか!?)
エーテルの汚染が奥地に向かうにつれて深刻になっていき、ポーションの効能では耐えられないほどになっていた。
「大丈夫なのか!?」
「ポーションの効能では効かない汚染か……!!少しだけ後ろに下がる!!」
「ああ……これは無理だ」
私と池田渚が後ろに下がり、インフォルマチオンは私と池田渚の様子を見に来ると最初に手の指先を見た
。
「大丈夫じゃなさそうだね……」
「手の指先が……変色してるだと!?」
「これが……エーテルに浸食されると言う事なのか!?」
「多分あなたたちが飲んだポーションはグレードⅠのエーテルポーション、ここから奥に入るのなら……グレードⅡのポーションが必要になってくる。そのツルハシ借りてもいいかしら?、代わりに最高純度、そして最高濃度のエーテルを少し採って来てあげる」
「頼んだ……すまないな」
私はインフォルマチオンにエーテル鋼のツルハシを渡し、私と池田渚は壁にもたれかかった。
「私がボロボロのツルハシを転生者にあげ、そして今になってこうして帰ってきた。運命の輪というモノは……人生を楽しくさせるのね」
「ああ……運命の輪……いい例え方だな」
インフォルマチオンはツルハシを使い、グレードⅡのエーテルを飛び越えて勢いよくエーテル地域の中央部に向かっていった。
「……池田渚、すまないな。こんな思いをさせて」
「瑞希もこの事は予想外だったのだろう?顔ですぐわかった」
「さすがにエーテルにグレードがあるのには驚いた……ヴァイスも知ってない情報か……」
私はエーテルロジックスタッフの先端に填められているエーテルを見た。
「そしてこの失敗が……新たなる発展につながる糧になるんだなぁ……」
「それはエーテルなのか!?」
「ああ……もし最高純度で最高濃度のエーテルを手に入れたら……フフッ……楽しいことになるかもね」
エーテルに浸食されている中、私はエーテルロジックスタッフの新たな可能性を発見したのだった。そして数分後、インフォルマチオンが帰ってきて最高純度で最高濃度のグレードⅤのエーテルを粉にして持ってくるのだった。
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