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 ガルバデスに聞くと伝令はまだ来ていないと言う事なのでやる事も無いし、お茶でも飲んで適当に話でもしながら待つ事にした。


「まぁ、そんな訳で捕虜達の食費は俺が持つから普通に食わせてやってくれ。あ、貴族だからって特別扱いしなくて良いぞ、他の兵士達と同じ物で良いからさ」


「解りましたが、王国の連中が納得するでしょうか?」


「納得するしないじゃないだろ。どうせ確かめる術は無いんだし、兎に角『死んだ』と言うか、俺が殺した事にしとけばいいだろ。向こうの連中には魔王呼ばわりされてんだし、王国軍は全滅させたとか言っとくよ」


「はぁ・・・ジン殿がそれで良いのでしたらそう言う事にしておきます。しかしですな・・・解放された者達は隠す事が出来ませんから向こうが何を言って来るか・・・・・」


「そこは教皇さん次第だろ。受け入れるなら『うちの国民だ』で済むし、無理なら『戦争難民だ』とでも言っとくか」


「・・・・・ジン殿・・・万単位の難民なぞ聞いた事も有りませんが・・・・・」


「ははは・・・何事にも初めてとか例外は有るから。無理が有ろうとそれで通すしかねぇだろ」


 とか何とか話をしていると「聖都より伝令が戻りました」と、天幕の外で見張りをしていた兵士の声が聞こえた。


「お話し中失礼します。聖下よりこちらを預かってまいりました」


「うむ、ご苦労だったな。其方は休むと良い」


「ハッ!失礼致します!」


 伝令がガルバデスに教皇からの手紙を渡し、伝令が出て行くとガルバデスは手紙を読み始めた。


「む・・・・・ジン殿、聖下は兵士以外の一般人を可能な限り受け入れたいとお決めになったようです。兵士に関しては最低限の食糧支援はしたいとの事ですが・・・そこでジン殿がお持ちの食料を買い取らせて頂けないかと・・・・・」


「ん~可能っちゃあ可能だけどよ、俺の持ってる食料・・・出せるのは肉だけだけど、三万人近いんだし何日持つか解らねぇぞ」


「聖下の御考えでは各町や村に振り分けた後、こちらに残る者達に町の南北を開墾させて成長の速い豆や芋類を育てさせる御積りのようです。現在大臣達と調整中だとか」


「収穫出来るまでの繋ぎか・・・・・上手く行けば最短で三ヶ月位で軌道に乗ると?」


「そこまで楽観視はしておりませんな。国中から支援を募り、一年で軌道に乗ればと御考えのようです」


「それなら俺も力になるぜ。取り敢えず保存出来るように加工させよう。兵士達には開墾作業している連中の護衛でもさせときゃ良いし」


 取り敢えず格国の代表を集めて教皇の決定を伝え、町の南北の開墾をさせるために振り分け等をする事になった。この件に関して俺が口を挟むのも違うとガルバデスの下を辞去し、自分のテントに戻る事にした。


 そして翌日。予想通り旧オクタヴィス領から使者?がやって来た。二十人程の兵士と貴族っぽい格好の奴と神職っぽい格好をした奴だ。


「おいおい、人に喧嘩売っといてたったそれだけとか舐め過ぎだろ。俺は三万の兵を蹴散らしてんだぞ?」


「わ、我々は戦いに来たのでは無い!捕虜となっている者達の返還交渉に来たのだ!」


「捕虜?そんなもんは居ねぇよ。ロードルデルフ軍は俺が全滅させたしな。まぁ、居たとしても交渉なんてする気はねぇからとっとと帰るんだな」


「なっ!何故だ?!何故交渉に応じん!」


「じゃぁ、お前等は捕えている各国の要人を返す気は有るのか?無ぇんだろ?他国の人質は返さないけど自国のは返せなんて虫の良い話が通ると思ってんなら、お前等の頭ん中は相当奇麗なお花畑なんだろうなぁ」


「き、貴様あああぁぁぁ!!」


 俺の挑発に貴族っぽい奴は顔を真っ赤にしながら腰の剣に手を掛けた。


「抜けよ。抜いた時点で交戦の意志有と見做して一人残らずぶちのめしてやるから」


「くそっ!」


「そうそう、今直ぐ死にたくなけりゃ大人しくしとけ。尤も俺の忠告無視して聖都を直接狙った以上、こっちからも攻めさせて貰うけどな。国王に言っとけ、舐めた真似した事を後悔させてやるってな!!」


 貴族っぽい奴が剣から手を放して俺を忌々し気に睨みつけると今度は神職っぽい奴が前に出て来て話し始めた。


「少々宜しいでしょうか。貴方は捕虜は居ないと申しておりましたが、彼らは捕虜では無いのですか?」


 と、解放した連中を指さして言って来た。やっぱり突っ込んで来たか。まぁ隠せるもんじゃないし、隠す気も無いんだけど。


「あ?何言ってんだ?何処の世界に捕虜を捕えもせずに自由にさせる国が有るんだよ。あれが捕虜に見えるとしたら、かなり目が悪いか頭がいかれてるかのどっちかだから治療して貰った方が良いぞ。あいつ等は戦争難民だ。お前等があちこちの国で国民を虐げてるから逃げだして来たんじぇねぇか。教皇聖下は慈悲深いお方だから逃げて来た彼等をこの国に迎えるつもりらしいぞ。同じ神に仕えてる筈のお前等とは違ってな」


「ふむ・・・我々は神敵を討ち、神の教えを正しく伝え導いて来ただけなのですが・・・・・魔王殿からはその様に見えるのですか」


「クックックッ・・・良く言うぜ・・・神の望みとか理由を付けて人殺しを平気でする奴らに魔王なんて呼ばれたくないね。何にしてもだ、喧嘩を売って来たのはそっちで、俺は買っただけだし忠告もした。さっきも言った通り近い内に遊びに行ってやるから楽しみにしとくんだなぁ・・・ハハハハハ!!」


 笑いながら軽く殺気を放つ俺に恐怖を感じ、青い顔をして去って行く使者達を見送ってガルバデスに報告をした。こいつら捕まえても良いんだけど、それだと次が直ぐに来ちゃうからな。そんな事になったら何時まで経っても家に帰れないし。


「ま、そんな感じで予定通り追い返したから一旦俺は帰るよ」


「解りました。では、動きが有り次第お知らせすると言う事で」


「ああ、宜しく頼む・・・って言うか、向こうが侵攻準備を整える前に、俺が先に向こうに攻め込む事になるだろうけどな」


 報告を終えて王国軍を憐れむような顔をしたガルバデスの下からテントを片付けに行き、空を飛んで聖都へと向かった。帰ったら先ずは風呂に入って牛乳を飲もう。そうだ、マリーと鈴華と一緒に入るのも良いな。兎に角二、三日は家族団欒を満喫しよっと。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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