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戦闘は終わったけど、今日の所はこのままここに残って帰るのは明日にでもしようと思う。解放した連中の事も有るけど、何より捕虜にした連中と話がしたかったからだ。捕まっている各国の要人の居場所とか、聞き出せたらと思っている。まぁ、そう簡単に話す訳無いのは解ってるけど。
で、連中が目を覚ましたと連絡が来たのは夕方近くで、晩飯の支度をしている時だった。
「ん、解った・・・けど、態々ガルバデスが言いに来なくても他の奴に任せりゃ良いじゃん」
「はぁ、それはそれでジン殿に失礼なのではと思いまして。尤も今回は他にもお話したい事も御座いまして、夕食でも摂りながらお話し出来たらと」
「あ~・・・それもそうか。あんたの分も用意するから、ちょっと待っててくれ」
捕虜以外にも解放した連中の事とか聞いとかなきゃだしな。ガルバデスと共にテントに入って食事をしたんだけど、見た目厳ついおっさんなのにテーブルマナーが凄ぇ。流石貴族家当主だな、参考にさせて貰おう。
「・・・・・この五年間に何度かライエル君の料理を食する機会が有ったのだが、ジン殿の料理は彼とは違った味わいが有りますな」
「まぁ、料理としての完成度はあいつの方が上だしな。それで、解放した連中を如何するのかは決まってんのか?」
「彼らに関しては聖下にご報告を申し上げたので聖都からの連絡待ちです。ですが、流石にあの数を受け入れるのは無理と判断されると思われますな。捕虜の方は取り調べは行いましたが、戴した事は聞けませんでした。敵方とは言え貴族を拷問に掛ける訳にも行きませんし、司教の肩書を持つ者なら尚更手を上げる訳には・・・・・」
そう言や教導騎士団とか言ってたな、教会付きの騎士団だったのかよ。
「まぁ、その辺は何とでもなるだろ。戦争吹っ掛けといて怪我したから責任取れとか意味が解らねぇよ・・・俺としてはあいつらと話がしたいんだけど可能か?」
「それは勿論可能と言いますか、ジン殿が捕らえた訳ですからご自由になさって構いません。ですが、余り酷い事をされるとこちらの立場が不利になるので、そこだけは気を付けて頂きたい」
「ああ、そこは心配いらねぇよ。拷問なんてしなくても、自分から何でも素直に話してくれると思うぞ」
「は?・・・そ、その様な事が可能なので?」
「簡単だろ。休みなく自分の身長と同じ位の穴を掘らせて埋めさせるとか、同じ所をぐるぐる歩き続けさせるとか、兎に角全く意味の無い単調な事を延々と続けさせりゃどんな奴でも心が折れるもんだ」
例の言う事を聞かせる首輪だと嘘は付けるからな。多少時間が掛かっても、心を折って自発的に協力して貰えるようにした方が良い。
「・・・・・何だよ、そんな嫌そうな顔すんなよ。ちゃんと死なないように水分とか取らせるから大丈夫だって」
「いえ、反対している訳では有りません・・・その、自分がやらされている所を想像してしまいまして・・・・・」
「あ、あんたの時みたいに朧使って額弾きまくってからの方が効果的かな」
「ヒッ!!あ・・・あれは勘弁してあげた方が・・・・・やり過ぎれば気が触れてしまうやもしれませんし・・・・・」
「ん~・・・そうか?あいつら大した事無いからあの怖さはあんた程解らないと思うんだよなぁ・・・・・」
朧の怖さと言うかヤバさは強ければ強い程に解るんだよな。俺も師匠と対峙して初めて朧の怖さを思い知ったし。つーか、何で勝てたのか俺にも良く解らないんだよなぁ。あの時の師匠より俺が勝ってた所が有ったとは思えないし、師匠が手を抜いた様には見えなかったし。
「まぁ、その辺は上手い事やるよ。ああ、後な、明日か明後日には旧オクタヴィス領からロードルデルフの連中が来ると思うから監視だけしといてくれるか?」
「そ、そんなに早くですか?まさかそこまで早く兵を集められるとは思いませんが・・・・・」
「ああ、ちゃうちゃう。攻めて来るんじゃねぇよ。ちょっと前に斥候だか伝令だかが向こうの陣地手前まで来て帰って行ったから、他国の連中が寝返ったのもロードルデルフが負けたのもバレたから」
「なっ!・・・と言う事は、何某かの交渉に来ると予想しておられるのですな?」
「十中八九間違い無くな。交渉と寝返った連中に対しての布告とかかな?旧オクタヴィス領が如何なってるのか解らねぇけど治めている奴はいるだろうし、そいつに出来る権限で何か言って来ると思う」
「確かに。国王に報告は上げるでしょうが、指示を待つだけとは思えませんな」
「まぁ、何にしても今日の所は終わりだ。ああ、捕虜の連中は眠らないように交代で見張っておいてくれ。眠ったら離れた所から棒で突くとかして起こすんだ。何が有っても近寄らないように言い含めるのも忘れないようにな」
「え・・・・・それは最早拷問では?」
「一晩徹夜させる位大した事無いだろ。俺なんて五日は軽いぞ」
「いえ・・・ジン殿の基準で言われましても・・・まぁ、私でも三日位は・・・・・」
何かさらっと酷い事を言われたけど、確かに普通の人とは基準が違うよなと納得してお開きとなった。明日はアルフ達で遊ぶとしますか。
* * *
一方聖都ではガルバデスからの知らせを受けた教皇とラインハルトが解放された者達の処遇で頭を悩ませていた。
「問題無く勝利した事は喜ばしいのですが・・・困りましたね・・・・・一度に三万人近くも受け入れる事は出来ませんし、何より他国の兵士を国内に入れる訳には・・・・・」
「はい、防衛、防諜上の観点から兵士の受け入れは出来かねます。ですが、せめて徴収された一般人だけでも・・・と言いたい所ですが、それも現実的な数では有りませんし・・・あ・・・いや・・・しかし・・・・・」
「どうしました、ラインハルト?何か良い案でも思い付きましたか?」
「はあ・・・とても『良い』とは言い難いのですが・・・おそらくはジンがかなりの量の食料を持ち歩いていると思うのです。問題はそれを買い上げる金銭が足りるのかと言う事なのですが・・・・・」
「ふむ・・・三万人が数カ月、もしくは数年、ですか・・・・・陣地周辺を開墾して畑にするとしても収穫は早くて半年から来年以降になるでしょうし、それまでとなると一体幾らになるのか・・・・・こうしていても仕方ありません、取り敢えず大臣に算出させてみましょう。全てを救う事が出来ずとも、可能な限り救う事を主も御望みでしょうし」
「解りました。では、その様に父上に報告させて頂きます」
ラインハルトが報告書を書くために教皇の下を辞去すると、教皇は執務机に向かい溜息を付いた。
「ふぅ・・・あの様子では何も考えてなさそうですね・・・・・私から手を打った方が良いかもしれません」
数枚の書類にサインをして机の上を軽く片付けると、教皇は執務室を後にした。
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