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 突然魔王認定されて一瞬頭の中が真っ白になって呆然としてしまったが、騎士が戻ろうとしたので慌てて止めた。


「あ、おい!ちょっと待て!!今のはロードルデルフ王国からの俺に対する宣戦布告って事で良いんだな?」


「・・・・・正確に言えば貴様とメルクリウス聖皇国だ」


「なるほど・・・それじゃ、俺の敵はロードルデルフ軍だけって事だな。他の国の連中は関係ないから邪魔しないように言っておいてくれ」


「・・・・・は?何を言っている、あれは我が国の―――」


「あ~建前とかそう言うの良いから。知ってんだよ、お前等ロードルデルフが侵略した国から徴収したんだろ?人質取って無・理・や・り。俺を魔王って呼ぶのは勝手だけどよ、何の罪も無い国を襲って国民苦しめた上にその国の兵士に望んでも無い人殺しさせるって・・・どっちが魔王だって話だよなぁ!!ええ、おい!俺はなぁ!そう言うクズ野郎がだいっきれぇなんだよ!!アレフだかアルフだかに言っとけ!俺の忠告無視した事を後悔させてやるってな!!」


「ヒッ!!」


 頭に来てちょっと殺気を放ったら馬が暴れて騎士は落馬して気を失った。


「ありゃ?・・・・・はぁ・・・受け身すら取れねぇのかよ・・・使えねぇ奴だなぁ。取り敢えず武装解除しとくか」


 騎士が身に付けていた剣やら鎧なんかを全部外して馬の背にうつ伏せに乗せ、馬の尻を叩いて皇国軍の陣地に向かわせた。捕虜って事でガルバデスが上手い事やってくれるだろう。


 俺は鎧と剣を持って敵陣に向けて歩き出した。


「聞け!!ロードルデルフからの宣戦布告は受け取った!!俺の敵はロードルデルフだけだ!!他の国の奴は俺と敵対するかどうかはこれを見てから考えろ!!」


 右手に持っていた剣を軽く放り投げて抜き手で刀身を貫き、鎧はソフトボール大に丸めてやった。


「クックックッ・・・・・因みに身体強化無し、だ。これを見てもまだ俺とやり合おうってんなら相手になってやる・・・・・先ずは・・・ロードルデルフ王国軍の諸君・・・覚悟が出来た奴から掛かって来いやあああぁぁぁ!!」


 丸めた鎧をロードルデルフ軍に向かって投げつけた。


「グハッ!」


「あ・・・・・」


「「「「「アルフレッド様ああぁぁぁ!!」」」」」


 俺の投げた丸めた鎧がアルフレッドの兜に直撃して落馬。周囲の護衛っぽい兵士が駆け寄ると、アルフレッドは上体を起こし頭を振った。あの程度も交わせないとかダサ過ぎだろ。


「ぅ・・・・・あ・・・クッ!やれ!手筈通りに始めるのだ!!この私に恥を書かせた事を後悔させてやれ!!」


「ハッ!戦闘開始!戦闘開始!!」


 アルフレッドに駆け寄った兵士が戦闘開始を告げると太鼓が打ち鳴らされ右翼の兵が動き始めた・・・んだけど、向かって来たのは二十人だけで、しかもどう見ても兵士じゃなくて一般人。槍を構える腰が引けてるし、手足も震えてて碌に訓練を受けて無いだろう事は明白だった。


「ハァ・・・本当に救えないっつーか、クズの極みみてぇな奴等だな。あんた等も脅されて仕方ないんだろうけど・・・・・よし!お前等に良い事教えてやる!!良く自分達の布陣を見て見ろ!お前らが本当に戦うべき相手は陣地の中央に居るだろ!!そして総数はロードルデルフの倍以上だ!!全員で取り囲んで一斉に襲えば一人残らず倒せると思うけど如何よ?!」


「なっ!!き、貴様!余計な事を言うな!!お前達!魔王の甘言なんぞに乗れば人質が如何なるか解っているのだろうな?!」


「いやいや、人質ってのは生きているからこそだろ?!殺しちまったらその意味が無くなるんだぜ!何人捕えられているかは知らねぇけど、数人で全ての国民が助かるなら安いもんだろ?!民の為に命を捨てるのも貴族の務めってもんだ!違うか?!なぁ~に、そいつら全滅させりゃ知らせに行く奴も居なくなるんだし、上手くやりゃぁ逃げる時間も稼げるだろ?!いっその事解放軍として活動するなんてのは如何よ!!」


 俺の提案にロードルデルフ王国軍に緊張が走り、周囲の兵士達は動揺して騒めき出した。


「ははははは!!どうせ俺を疲れさせるために兵を小出しにしてきたんだろうけど無駄なんだよ!!何故ならば・・・・・」


 俺は走りながら魔力の炎を纏い宙に浮き、一気にロードルデルフ王国軍との距離を詰めた。


「とっくに射程圏内に入ってんだよ!!」


 ロードルデルフ軍に飛びながら炎弾を撃ち込み、陣形の乱れた敵陣内へと入り込むと炎を消して暴れまくった。


「おらぁ!!おい!お前等もこいつらに仕返ししたいんじぇねぇのか?!ぼさっとしてると俺が全部やっちまうぞ!!」


「あ・・・うおおおおぉぉぉぉ!!あの兄ちゃんの言う通りだ!!やってやる!!一人も逃すなああぁぁぁ!!」


「クッ!貴様等あああぁぁぁ!!」


 最初の一人が上げた咆哮に突き動かされるように一人また一人とロードルデルフ軍へと向かい始めた。一度動き始めればもう止まる事は出来ない筈だ。


「ははははは!良いぞ!囲め囲めぇ!!クックックッ・・・無様だなぁ、おい!!何でもかんでも自分達の思い通りになると思ったら大間違いなんだよ!!」


「下がれ!!一旦下がって体勢を立て直すのだ!!」


「逃がしゃしねぇぞ!!おい!俺に構わず魔法でも弓矢でも良いから撃ち込め!!遠距離攻撃で足止めしつつ包囲だ!!」


 俺の指示が聞こえた数人から矢が放たれると、それに続いてロードルデルフ軍を挟み込むように矢が連続して放たれた。ロードルデルフ軍は盾を持った兵士達がアルフを守る様に囲み移動速度が落ちた。


 飛び交う矢を交わし、打ち落としながらアルフへと向かう俺に合わせるかのように左右の兵士達が徐々に包囲を完成して行く。


「くそおおぉぉぉ!!奴だ!せめて奴だけでも道連れにするのだ!!」


「ははははは!良いぞ!!望む所だ!掛かって来いやああぁぁぁ!!」


 襲い来る敵兵を次から次へと打ち倒し、アルフと数人の隊長格と思しき騎士以外を殲滅し終えるのに然程時間は掛からなかった。


「「「「「うおおおぉぉぉぉ・・・・・・!!」」」」」


 草原に鬨の声が響き渡る。戦いを終えた者達は肩を抱き合い喜び、散って逝った者に涙した。俺は捕えた者達の装備を外して馬の背に乗せると、こちらへ向かって来るガルバデス達の下へと手綱を引いて歩を進めた。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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