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「これは一体如何言う事だ?!お前達はなぜ踏み込まない!!」
「だ、団長・・・その、カルヴァドス殿が終わるまで入って来るなと・・・・・」
「なっ!・・・・・解った・・・私が話を付けて来る」
エデン商会を囲む衛士達がラインハルトを避けてエデン商会までの道が開くとラインハルトが中庭へと足を踏み入れた。
「グハハハハ!其方も中々やるでは無いか!」
「あら、あなたに褒められるなんて光栄だわ」
上機嫌で話をする二人の足元に転がる五十人近い男達を見てラインハルトは額に手を当てて溜息を付いた。明らかにやり過ぎだ。死者は居ない様だが、手足が有り得ない方に向いている者もいる。
「・・・・・ハァ・・・カルヴァドス殿、一体何が有ったのです。態々私を聖都から追い出した事も含めて説明を」
「クックックッ・・・我は約定に則り仕事をしたまでよ。それと、追い出したとは心外だ、我がここを動けぬので其方に行かせたまでの事よ」
「ならば何故衛士達に手出し無用と?ただ暴れたかっただけなのでは無いのですか?」
「・・・・・偶にはこうして力を見せつける事も必要だと思ってな。これから先このような事が又有るかもしれんであろう?クックックッ・・・・・」
「ほう・・・では、これでこの家が襲撃に会う事は無くなると・・・そんな訳が有るかあああぁぁ!!次回からは察知次第先ずは我々に任せる事!!貴方が手を出すのは我々だけで護り切れない時だけにして貰います!!それと、ベルフォード!今回は規模が規模だけに正当防衛として不問にするが、今後暴れるのであれば貴様にもきっちり取り調べをさせて貰うぞ!!」
「なによ、あたし達は襲われたから反撃しただけじゃない。ねぇ~カルヴァドス」
「左様。我等に何ら落ち度は無い・・・が、まぁ次回からは気を付けるとしよう。グハハハハ!!」
「クッ!・・・こいつ等ぁ・・・・・衛士隊!賊を捕え、最低限の治療してから地下牢にぶち込んでおけ!全て吐くまで私が取り調べを行う!!一人も逃がすなよ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
普段と違う乱暴な口調のラインハルトに驚き戸惑いながらも賊を連行して行く衛士達。ラインハルトはベルフォードに「私が気に入らないなら何時でも相手をしてやるから掛かって来い」と言い残して帰って行った。
* * *
ガルバデスから現状を聞いた俺は陣地内の戦場となる平原寄りにテントを張って野営の準備をした。
「じ、ジン殿、天幕や食事でしたらこちらで用意致しますが・・・・・」
「ん?ああ、俺の事は気にしないでくれ。慣れた物の方が落ち着くしな。それより兵士達休ませてやれよ。俺が来た以上、監視や警戒もする必要ないからさ」
「いえ、そう言う訳には・・・・・」
「ずっと気を張ってたらいざって時に役に立たないだろ?休める時にきっちり休ませてやれって。今んとこ向こうさんにヤバそうな奴は居ないからさ」
遮蔽物が無いから草原の向こうの気配が良く解る。戴した魔力も殺気も感じない。ただ数が多いだけだから今直ぐ襲って来たとしても何とでもなる。ガルバデスは怪訝な顔をしながらも兵士達に休息を取るように指示を出した。
その日はロードルデルフ軍の襲撃は無かった。まだ集結中なのだろう。夕食を作り、テントで一人で食べた。ガルバデスに御一緒にと誘われたが、気を使われながらのおっさんとの食事とかマジで勘弁して欲しい。まぁ、久し振りの一人の食事は味気ない物で、乗っても良かったかなとも思ったが、この五年間の幸福を再確認出来たので良しとしよう。
そして深夜、時間で言うと三時過ぎに十人程が俺の寝ているテントに近付いて来るのを感じ目を覚ました。やれやれ、元オクタヴィス領兵か?レスターかバカ息子の仇討のつもりかね?まぁ、寝静まった深夜にってのは良い選択だな。相手が俺じゃ無ければだけど。
踏み込まれてテントを壊されるのも嫌なので、自分から出て行く事にした。
「こんな時間に何の用だ?そんな物騒なもんぶら下げて遊びに来ましたって事はねぇよなぁ・・・クックックッ・・・・・良いぜ、相手してやるから掛かってきな。お前らの怒りも、憎しみも受け止めてやるから全て吐き出すが良い!!」
こいつ等も本当は解っているんだと思う。悩んで悩んで行き場の無い様々な気持ちをぶつける場所を探していたんだろう。
襲い掛かる殺意と言う名の凶刃を交わし、一人、また一人と打倒して行く。
倒されては起き上り、また倒されては涙を流し咆哮を上げて向かって来る彼等が立ち上がれなくなる頃には空が白み始め、朝日が昇ろうとしていた。
「じ、ジン殿、これは一体・・・・・」
部下から報告でも受けたのか、ガルバデスに背後から声を掛けられた。
「ああ・・・準備体操に付き合って貰っただけだからこのまま寝かせてやってくれよ。そうだ、目を覚ましたら伝えといてくれ『これからはその気合と根性を国民のために使ってくれ』ってな」
「・・・いや・・・・・は、はい・・・・・」
ガルバデスも俺が襲われた事は解ってるんだろうけど、襲われた当人にこう言われちゃ咎める訳にも行かねぇだろ。実際ここまで俺相手に根性見せたのはこいつ等が初めてだしな。
「さて、良い感じに温まったし行くとしますかね。ガルバデス、俺が死ぬまで何が有っても出て来るんじゃねぇぞ。邪魔しやがったら唯じゃおかねぇからな」
「あ・・・わ、解りました」
俺にデコピンを食らった時の事でも思い出したのか、青ざめた顔をしたガルバデスを置いてバッグを背負って草原へと歩を進める。草原の中央に座ってバッグの中から取り出したカロリーバーとスポーツドリンクで腹を満たした。
「お~いるいる。しっかし、すげぇ数だな。一体何人集めたんだか・・・・・ん~・・・三、四ヶ国かな?鎧見た感じだと」
バッグから対物ライフルに付いていたスコープを取り出して敵陣を眺めた。中央のロードルデルフ軍と明らかに違った鎧を着た集団が幾つか見えた。支部長の言っていた通り征服した国の兵士を使っているみたいだ。あ、騎馬が一騎こっちに来た。なんか話でもあるのかね?
「教皇と手を組み聖地を奪いし魔王ジン・マキシマよ!我等ロードルデルフ正教教導騎士団が貴様を討伐に来た!!大人しく聖地を明け渡せ!!」
「は?」
何か知らん間に魔王にされてたよ。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




