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初っ端から色々有ったが、宮殿内のでっかい会議室?みたいな所へ通され教皇や貴族達と席に着いた。
「少々行き違いと言いますか齟齬が有りましたが、五年前の件では大変申し訳ありませんでした。そして許されるならばご助力願いたいのです。勿論報酬は可能な限りお望みに沿う形でお出ししますので、如何か宜しくお願い致します」
「ふ~ん・・・可能な限りねぇ・・・・・それはこの国の貴族達の総意って事で良いのか?五年前みたいな事になるなら今度は大人しく逃げるなんて事はしねぇぞ」
「勿論です。ここに居る皇族並びにこの国の貴族家当主の総意で御座います。五年前リヒテル・オクタヴィスに追従した者達は捕えましたのでご安心を。ラインハルト、例の物をジン様に」
ああ、カルヴァドスが言ってた昨夜の騒ぎってこれか?甘いこいつにしては思い切ったな。それだけ追い詰められてるって事か。まぁ解るけど。
ハルから渡された本を開いて読んだ。何かオクタヴィス家の歴史が書かれてたけど、だから如何したって話だ。千三百年とか八百年とか、そんな昔の事とか如何でも良いだろ。今を生きる俺達には関係無い事だ。
「で、こんなもん読ませて俺に如何しろってんだ?オクタヴィス領を取り返して、そこの領主をやれってんならお断りだぞ」
そんな事になったらオクタヴィス家と同じで子々孫々領地を護ってハイデガルド王国と戦い続ける事になっちまうじゃん。
「その件も含めてジン様のお望み通りになさって下さい。結果この国が、民達が救われるのでしたら多少の事は目を瞑ります・・・と言っても、貴方様を止める事の出来る者などおりませんが」
「成程ねぇ・・・理解もしてるし覚悟も出来てるって訳か・・・・・まぁ、俺からの要求はガルバデスか、ラインハルトから聞いてんだろ?」
「はい。ですが、地位や金品と言った目に見える報酬も必要なのではと」
「そりゃあ、国民に対するあんたらの面子とかの都合だろ。金は国を丸ごと買い取れる位有るし、その地位を護る力も有る。名誉なんて言わずもがなだ。俺が欲しい物は平穏な日常だけなんだよ。だから俺の邪魔をするな。俺があんたらに要求するのはそれだけだ」
まぁ国を救った功労者に何も出さないってのは国民が不満に思うし、反乱の種にもなりかねないってのは解るよ。でも、いらない物を褒章とか言われてもね。
「・・・・・あ、あの・・・今、さらっととんでもない事を仰いましたよね?国を買い取れるとかなんとか・・・・・」
「ああ、百兆以上になると会員証の表示がおかしくなるんだよ。お陰で一体幾らになってんだかさっぱり解らん。まぁ、この街に居られるようになるんだし、ぱ~っと派手に使う予定だから、そのうちちゃんと表示されるかもな」
「ひゃ、百兆・・・・・そ、それだけお持ちでしたら私どもがお支払い出来る額など、とても褒章とは言えませんね・・・はは・・・ははははは・・・・・」
引き攣った笑みで乾いた笑い声を上げる教皇。まぁ、気持ちは解る。訪れた町や村で変わった魔物とかの話を聞いては討伐しまくったんだけど、俺もここまで金になるとは思いもしなかったしな。
「まぁ、その事に関しては何か考えとくよ。お互い友好的な関係を築くためにも、そっちの面子も立てないとな。表向きはそっちが上位になるんだし」
この辺が落とし所だろう。でも何にするかな・・・勲章って柄じゃないし、新しい家が出来たら部屋に飾る盾とかで良いか。
「それではこの国の守護をして頂けると言う事で宜しいでしょうか?出来ましたら今後の行動についてお聞かせ願いたいのですが」
「当面は街でのんびり向こうの動きを待つよ。動きが有り次第ガルバデスから知らせが来る筈だから、来たら追い返しに行く。本気だしゃ国境まで半日も掛からないから心配はいらないよ」
奴の狙いがマリーだと言うのなら俺の存在は無視出来ない筈だ。国境で俺を引き付けてマリーを攫うなんてのはカルヴァドスが居る以上不可能だしな。二年後に何が起こるのかは解らないが兎に角時間を稼ぐ。可能ならばハイデガルド王国を味方に付けたい所だ。向こうが俺以外を狙うなら俺がハイデガルドに出向いてロードルデルフから解放してもいいかもしれないな。
「そんな訳だから前線の方から街の周辺の警備に兵士を回した方が良いと思うぞ。少数で商人と護衛に偽装して侵入してくるかもしれないからな。特にハイデガルド側の海沿いは注意した方が良いと思うぞ」
海岸沿いを夜中に小舟で数人ずつとかなら簡単だろうし、巡回してる兵士を倒して装備を奪って街に侵入するとか遣りようは有ると思う。
「成程・・・御助言有難う御座います。直ぐにでも手配致しましょう」
「そうしてくれ。それじゃ俺は帰るけど、何か有ったら連絡宜しくって事で」
俺が席を立つと全員が席を立ち「こちらこそ宜しくお願いします」と言って頭を下げた。
「・・・・・いや、そう言う仰々しいのはもう良いから」
言っとかないと街中でもやりそうだよなこいつら。ほんと止めて欲しい。さて、帰りますかね。
思ったよりサクッと終わったので昼前には家に着き、昼食を食べながら皆に報告。ハルも誘ったのだが、ガルバデスに報告書を出さなきゃいけないとかで、騎士団の執務室へ行ってしまった。騎士団長だもんなやる事は多いか。あ、ベルが居るから気を使ったのかも。
「まぁ、そんな訳で問題無くこの国に受け入れて貰えたから、午後には商業組合に行ってくるよ」
「わ~い!みなさまとおわかれしなくていいんですね!やった~!!」
「ああ、第一関門突破だ。後はロードルデルフ王国がこの国を諦めるまで追い返すだけだな」
「ジン兄さん・・・簡単そうに言ってるけど大丈夫なの?俺はそれだけが心配だよ」
「何も問題無いな。普通の人間相手だったら何万人居ても俺の相手にならねぇよ。勿論油断や過信はしないから安心しとけ。寧ろ搦め手を使って来る方が心配だ。俺が街に居ない時は気を付けてくれ。まぁ、カルヴァドスが居るし大丈夫だと思うけど、敵はロードルデルフだけとは限らないからな」
神妙な面持ちで頷く皆を置いて商業組合に行き、各種手続きをした。買い取ったのは以前ハルが住んでいた東側の家だ。大まかな図面を支部長に渡して、後日大工等の職人が来た時に細かい所を詰めようと言う事で話が決まった。が、既に大工だけでも五人の親方とその弟子が三十人近く集まりそうだと聞いて、親方同士で喧嘩になるんじゃないかと心配しつつ家に帰ったのだった。そういや西側に住んで居たらしい騎士の事全然知らねぇや。ははははは・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




