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「さてと・・・ロードルデルフ王国軍の諸君!ここから先はこの俺様、ジン・マキシマが相手になってやる!!死にたくなけりゃ尻尾を巻いて逃げ帰るんだな!!向かって来る奴は命の保証はしねぇぞ!!」
殺気を放ち、魔力を操作して徐々に体を巨大化させて行った。3、5、8、10m、更に魔力を継ぎ込み15mを超える炎の巨人が戦場のど真ん中に顕現した。
『選べ!退却か死を!!』
巨大化した俺の声が戦場に響き渡ると、兵士達は敵味方関係無く散り散りに逃げだしたり、腰を抜かしたり・・・まぁ、いろいろだ。
「見よ!神は我等と聖地をお見捨てにはならなかった!!窮地に陥った我等に炎の神を使わして下さったのだ!!」
「「「「「おおおぉぉぉぉ・・・・・!!」」」」」
何か後ろでガルバデスが勝手な事言ってるけど、まぁ今は放っとくか。兵の士気は高い方が良いしな。
「これより追撃戦に入る!!神敵を討ち、聖地を狙う不届き物に正義の鉄槌をくれてやれ!!」
「「「「「ハッ!主の御心のままに!!」」」」」
と思ったけど、聞き捨てならない事を言い出したので止める事にした。
『ちょっと待てええぇぇい!勝手な事言ってんじゃねぇぞ!いいか、お前等聖皇国軍は王国軍に負けたんだよ!!そして、王国軍に勝ったのは他の誰でもない俺個人だ!!撤退する王国軍を攻撃するなら俺と敵対すると思え!!』
俺のとんでも発言に戦場が静まり返る。
「い、いや、待って下され!ジン殿は我等聖皇国軍に味方して下さるのでは?」
『調子の良い事言ってんじゃねぇぞ!!五年前の事を忘れたとは言わせねぇ!!人の事を追い出しといて、自分達に都合の良い解釈してんじゃねぇよ!俺は聖都に居る兄弟や恩人達の生命と生活を護るために王国軍を止めに来ただけだ!!』
「「「「「ええええぇぇぇ!!」」」」」
『ロードルデルフ王国軍の代表者に話がある!!悪いようにはしねぇから、ちょっと来てくれ!』
「ちょっ!ちょっと待って下されジン殿!!一体何をなさるつもりですか?!」
『うっせぇ!俺の勝手だろうが!お前らは帰って教皇に伝えろ!ジン・マキシマが落とし前付けに来たってな!!』
「クックックッ・・・ジン、余りやり過ぎるなよ・・・ククククク・・・・・」
足元で笑うハルに注意を促されたけど、言われるまでも無い。俺はハルに小声で話し掛けた。
『ああ・・・心配いらねぇよ。それより・・・皆は元気か?』
「ああ、少々面白い事になっているが、特に問題は無い」
『そうか・・・会えるのが楽しみだ・・・・・』
双方の軍が引いて行き、王国軍の中からいかにも大将と言った感じの豪華な鎧を着た騎士が馬を走らせてくる。俺はハルと聖皇国軍を見送りながら魔力を操作し通常のサイズに戻った。
「お初にお目にかかる。私はロードルデルフ王国軍、教導騎士団一番隊隊長アルフレッド・スタインバーグと申します。対話の機会を与えて頂き感謝致します、炎の神の化身よ」
「ジン・マキシマだ。あんたらが俺の事を如何思おうと勝手だが、俺は神の化身じゃねぇから」
「は?・・・違うと?・・・いや、しかし・・・・・」
「まぁ、あんたらからしたら神の化身としか思えないんだろうけど」
困惑するアルフレッドにこれ以上の侵攻は俺が認めない事。やるなら俺が相手になる事を国王に伝えるように告げた。
「む・・・では、オクタヴィス領は我が国の領地として構わないと?もし聖皇国軍が取り返しに来た場合はどの様に?」
「オクタヴィス領は王国軍が勝ち取った物だからそのままで良いに決まってる。だが、これ以上の侵攻を許さない以上、聖皇国軍が攻め入る事も許さない。俺自身は争い事は好きじゃないが、喧嘩を売られて黙ってられる程お人好しでも優しくも無い。兎に角国王陛下にこの件を伝えて貰った上で、後日使者を立てるなりして話し合いで穏便に済ませたい。つーか、何で戦争を始めたんだ?その辺も踏まえて話がしたいんだよ」
「・・・・・なるほど、確かに神の化身では無いようですな。化身であるならば、戦の理由を知らされていない筈は無い。ジン殿、確かに陛下にはお伝え致します。が、使者を立て講和に向けての会談は実現する事は無いかと」
「ああ、それならそれで構わない。が、向かって来るなら容赦はしない。場合によってはロードルデルフ王国その物が無くなる覚悟をしてから挑んで来るんだな」
「ほう・・・神の如き力をお持ちの様だが、人である以上やり方は幾らでも有る。と言っておきましょう」
「なら、こっちも先に言っとくぞ。俺の家族や友人知人に手を出した場合は王家の血を引く奴等は皆殺しだ。一人として例外は無い。喩えそれが戦えない老人や子供でも、男女問わずだ」
「面白い。やれる物なら・・・と、言いたい所だが、先ずは陛下の判断を仰ぐとしよう。では、失礼する」
アルフレッドが俺に一礼して去って行く。俺は暫く後姿を眺めてから、マリー達の下へと歩いて向かった。
「さて・・・おい、カグツチ。お前戦の理由知ってんだろ?何で教えてくれなかったんだよ?」
《そなたが知ればロードルデルフ王国に乗り込んでいた可能性が高いからだ。あの段階で乗り込めばそなたの望む未来は手に入らなかった》
歩きながらカグツチに問いかけた。マリーとの二人旅の時は呼んでも答える事は無かったカグツチだけど、鈴華が生まれてからは話の内容によっては答えてくれるようになった。鈴華は俺達の子供でも有ると同時に、カグツチ達の子供でも有るから、運命が変わり危険が及ばないように助言して貰ってる。と言っても、完全に見通せる訳では無いらしいけど。
「ああ、お前から戦争の事を聞いた時か。確かにここへ来るのと王国に向かうのは大して変わらなかったしな。で、その理由ってのは何だよ」
《・・・・・奴が居るのだ。私と妻を引き離した者がな。奴の狙いは妻、即ちマリーベルよ。戦を引き起こしたのもオクタヴィス領から居なくなった妻を探すため。そして、そなたが連れ去った事と、そなたとこの国の関係を知ればこの地を狙う事は想像に容易い》
要するに俺達みたいな奴が国の中枢に居て、神託だとか言って操ってるって訳か。
「だったら猶更じぇねぇの?さっさとやっちまった方が早いだろ」
《二年だ、二年の時を稼げ。それが最善の筈だ。良いな、何が有っても早まった真似だけはするな。運命の強制力を侮ってはならんぞ》
「相変わらず何が起こるかは教えてくれねぇんだな。まぁ、解ってるよ、余計な事は知らない方が良いんだろ?」
《そうだ。単純な魔力量では奴は私より上だ。だが、宿主と言う面ではそなたの方が勝っている。だからこそ時を待つのだ》
俺が記憶を取り戻した事で、カグツチと離れる事は無くなったから、そいつと対峙しても力を奪われる事は無いが。お互い未来を見ると言うか、感じる事が出来る以上、迂闊に行動しない方が良いと。
「ま、何か有ったら直ぐ教えてくれりゃ何とかなんだろ」
カグツチとの会話を終えてマリー達のもとへと飛んで帰った。空を飛べるのってホント楽だわ。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




