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「・・・・・と、取り敢えず、帰るまではここに居させて貰えないだろうか。た、タダでとは言わないぞ!勿論働くから何でも言ってくれ!」
変な勘違いをしてしまったからか、暫く俯いて考えこんだ後、うちに住む事にした晶。日本人としては風呂と飯は譲れない所だろうからな。そう言って来ると思ってたぜ。
「こっちから言い出したんだし勿論良いぞ。ちゃんと仕事も考えて有る。不器用なお前でも出来る奴だ」
「ほ、本当か!それは有り難い。家事をやれとか言われたら如何しようかと思っていたんだ!」
こいつに家事やらせたら家の中がぐちゃぐちゃになるのが解っててやらせるかよ。こいつの見た目を活かせる仕事が有るんだよね。
「あぁ・・・お前の見た目を最大限に活かせる打って付けの仕事が有る。庭の店のウェイトレス・・・じゃなくてウェイターだ。貴族のお嬢様方がお茶会してるだろ、執事服を着て彼女達が注文したお茶とお菓子を席まで届けるのがお前の仕事だ」
「なん・・・だと・・・・・それは私に男装して女性に媚びを売れと言う事か?!なぜ私がそんな事をせねばならんのだ!」
「いや、今もと言うか、お前が女性物の服を着てる所なんて見た事無いし、客商売で客に愛想良くするのは普通だろ。ん~・・・良し、解った。今店員やってる女の子達と同じメイド服でウェイトレスをやれ。それなら問題無いだろ」
寧ろ晶にとってはこっちの方が嫌がらせになると思うんだが如何だろうか?
「め、メイド服・・・クッ!・・・すまん、執事服の方で頼む・・・・・」
「おう。別に俺はお前に男だと偽って女性を騙せなんて言って無いからな。失礼の無い程度の言葉使いで普通に接客してくれれば良いんだよ。お前なら腕も立つから用心棒代わりにもなるしな」
思った通りだな。こいつ自分でも似合わないって解ってんだよな。着てみたいんだけど似合わないし、比較対象になる娘がいるから着られないと、そういう事だ。
「私には邪神復活を阻止すると言う使命があるからな。それまでの付き合いになるだろうが宜しく頼む」
「儀式の方は俺から教皇さんに話してみるから他の三人にも言っといてくれ。ってか、そいつらは如何してんだ?一応話をしときたいんだけど」
「ジェイの救出作戦を立てるとか言って、昨夜から酒場に入り浸ってる。何だか地元の奴らと意気投合して飲み比べとかしてたぞ。今朝見に行ったらまだ飲んでたから、今頃潰れてるんじゃないか?」
「ああ・・・そのことで謝らなきゃならん。ジェイは処刑されたよ、流石に俺にも止められなかった。すまん」
ハルがやらかした事は伏せておくことにした。が、全くやる気が感じられんな。まぁ、会って間も無いんだし仲間意識も低くて当然か。
「そうか・・・まぁ、国家元首を狙ったんだし、自業自得なんだろうな。傭兵だとか言ってたし、あいもそれなりの覚悟が有っただろう・・・・・」
そんな訳で、取り敢えず残りの三人を迎えに行く事にした。
「で、どこの店だ?つーか、南地区なんだよな?」
「ああ、南門近くの~・・・何て言ったかな・・・まぁ、宿屋の一階にある食堂兼飲み屋だな」
晶の案内で件の宿屋に着いたんだけど。
「いや~本当に良い街だなぁおい!」
「がはははは!そりゃそうよ!ウォーズン様の御膝下だ!この街以上に良い街なんて有る筈がねぇ!」
「ははははは!いい飲みっぷりだ!兄ちゃん達気に入ったぜ!!ほれ!もっと飲め!」
「こんなに旨い酒は久しぶりだ!この街、いや、この国に来て本当に良かった!」
「こっちに来てからロクな事無かったけど、あんたらに会えて本当に良かったぜ!」
おそらくはあいつらなんだろうけど、近寄りたくねぇ~。つーか、一緒に飲んでるのミゲル達じゃねぇか・・・ここってあれか、あいつらが泊まってる日暮し亭とか言う宿屋か?看板見ときゃ良かった。
「おい!お前ら何時まで飲んでるつもりだ!話は纏まったのか!?」
晶が近寄って行ったけど、あの状態で話が纏まる筈無いだろ。何言ってんだこいつ。
「お~アキラじゃねぇか!お前も少しは付き合えよ!」
「話ならとっくに纏まってるぞ~!俺達ちゃこいつらと組む事になったからよ、後の事はお前に任せた!ぶはははは!!」
マジか、不思議と纏まってたよ。つーか、マジでやる気がねぇんだなこいつら。まぁ普通は問答無用で送り込まれて命令されたら反感買うもんな。しかもその後は放置されてんだし。
「ああああぁぁぁ!!ジンさんじゃねぇか!奢るから一緒に飲もうぜ!!あんたにゃ世話になったからな!少し位は恩返ししねぇと!」
「そうそう、あんたのお陰で旨い酒が飲めるんだ、それ位しねぇと罰が当たるってもんだ!」
俺に気が付いたミゲル達が酒を勧めてきたんだけど、それはちょっとな。
「おい、俺に酒を飲ませとうとすんな。力の制御が出来なくなって回りの物が壊れちまうし、お前らも怪我じゃすまないかもしれねぇぞ」
以前一度だけ飲んだ事が有るんだが、その時は大変だった。身体の異変に気が付いた時には既に遅くて、店から出ようとしたら床は罅割れ扉は壊れるし、弁償なんて出来る筈も無くてあちこち破壊しながら逃げ回ったっけ。
「うぇ!ま、マジですか、それ・・・・・」
「おう。それよりだ、そいつらと組むならお前らに仕事を回してやるぞ。お前ら全員うちの商会に入らないか?」
「「「「「なぬ!?」」」」」
「そ、そりゃ願ってもない話だが・・・・・」
「ああ・・・でもよ、あんたにこれ以上世話になったら恩が返せねぇよなぁ・・・・・」
「そんな事気にすんなって。身分証が無くて大変だろ?俺も経験有るから解るんだよ。そっちの三人は如何だ?晶はうちで引き取る事が決まったぞ」
「え、いや、でもなぁ・・・・・」
「ああ、流石にそれは・・・・・」
「今ならミゲル達と組んで真面目に働くって事で住む所も用意すんぞ。従業員用の寮だけど、風呂付だ」
「「「宜しくお願いします!!」」」
あ、やっぱりそこがネックなんだな。日本人じゃなくても地球で都会暮らししてたら風呂無しの世界はきついもんな。
そんな訳で全員うちに連れ帰りつつ自己紹介。自称地の神に呼ばれた元キックボクサーで酒場の用心棒をしていたベルガー。自称水の神に呼ばれた体育教師をやってたクリフト。自称火の神に呼ばれた車の修理工をしていたフィリップ。この三人に晶とミゲル達四人の八人が家の子達の後輩としてエデン商会で働く事になった。
まぁ、ミゲル達を連れてきたせいでミリーとエレナに冷たい目で見られたけど。そこまで嫌わんでも良いと思うんだけどなぁ。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




