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ジェイを引き摺りながら衛兵をぞろぞろ引き連れて宮殿へと入った。特に凝った創りとか、装飾華美と言う訳でもなくて、やっぱこの国貧しいんじゃないか説が俺の中で再浮上した。いや、無駄遣いしないのは良い事だよ、うん。
通された応接室?も、装飾は最小限で国賓を招いても失礼にならない程度で好感が持てた。
ジェイを椅子に縛り付けて、入れてくれたお茶を飲み、ジェイのバッグの中身を俺のバッグに移動した。何だこいつ、歩く武器庫かよ。コンバットナイフにハンドガンが三丁、サブマシンガンとアサルトライフルが二丁にアンチマテリアルライフルが一丁。これだけでも凄いのにロケットランチャーと迫撃砲が二丁?ずつだ。他にも予備のマガジンとか、コンバットレーションまで有りやがる。こいつ一体何もんだ?幾ら何でも個人の所有量とは思えないぞ。
ひょっとして、晶達にも渡してんのかな?もしくはこっちに持って来たとか。あり得るな。魔物のうろついてる世界だし、武器を持ち込んでるか魔法が使えるとか、他に何かチートスキルを貰ってるかもしれないな。その辺気を付けとこ。
そうこうしているうちに教皇が護衛を連れてやってきた。
「ジン殿・・・この度は御助力頂きありがとう御座います。貴方のお陰で私達親子は救われました。今回の働きに応じた褒章を用意致しますので後日お知らせに参ります」
「いや、別に褒章とかいらねぇよ。それよりも、ガルバデスは大丈夫なのか?それと・・・ラインハルトはどうしてる?あいつの事だから落ち込んでんじゃねぇのか?」
「ガルバデスは一命を取り留めましたが、腕の方は如何にも・・・ラインハルトには跡を継いで貰いたいのですが、今のままでは・・・・・」
「そうか・・・・・目の前で父親の腕飛ばされてんだし、暫くは仕方ない・・・か・・・・・それでこいつが犯人なんだけど、スキルと言うか魔法とか封じて牢屋に入れといて貰いたいんだけど出来るか?」
「封じる事は出来ます。ですが、本来あのような事件を起こしたのであれば死罪なのですが・・・何か生かして置く理由でもお有りなのですか?」
「こいつ・・・と、他にも四人程いるんだが、色々聞きたい事が有ってな。それに、こいつら俺と同じ異世界から来たんだよ。上手い事仲間に引き込めないかなと思ってさ」
教皇は渋い顔をしたが、俺の話が終わるまでは生かして置いて貰う事になった。まぁ、晶とは話が出来そうだし、他の奴は如何なっても構わないけどな。
今はドタバタしているので尋問は二日後にと言う事でジェイを預けて自宅へと帰った。子供達も皆無事で一安心だ。
翌日は普通に店を開いてのんびり過ごしていたんだが、昼過ぎに宮殿から使いの者がやって来て、直ぐに宮殿に来て欲しいと言う。この人は呼んで来てくれと言われただけで何も聞かされてなかったので仕方なく出向く事に。
宮殿の応接室で出されたお茶を飲んでいると教皇とアンジェリカ、それと皇后?皇妃?と皇太子が連れ立ってやってきた。
四人が席に着き、使用人がお茶を出すと近衛を含めた俺達以外の人が全員部屋を出て行く。不用心・・・だが、それだけやばい話って事か?昨日の褒美にアンジェリカを、とか言われても断るけどな。
「先ずは改めてお礼を。先日は御助力頂きありがとう御座います。お陰様で私達、並びにこの国は救われました。それとガルバデスも安定致しましたのでご安心を」
礼を言うと共に頭を下げる一同。これを他の人に見せる訳にいかないから外させたのかな?
「いや、それはもう良いって。ガルバデスも無事なら良かっただろ。それで本題は?何かやばい事になってんだろ?」
「そちらについては謝罪・・・と、出来ましたらご助力を願いたいのです。その・・・昨夜、ジェイ・・・と申しましたか、彼の者が殺害されました・・・・・こちらの不手際で大変申し訳ありません」
「は?!え?・・・殺された?・・・牢屋に入れたんだろ?誰に?何でだ?内部の犯行しか有り得ないだろ?」
あんな事が有って街中ピリピリしているし、警備も何時も以上に厳重だ。外部から侵入して、なんて考えられない。
「間違いなく魔術拘束を施した上で牢に入れたと報告を受けました・・・そして犯人も捕らえた、と言いますか、自ら牢に入っております」
「何だよそれ?意味解かんねぇよ。誰だよ、つーか会わせろそいつと」
「その・・・・・ラインハルトが犯行を認めておりまして・・・私共としても如何したら良いものかと。気持ちは解らないでも無いのです。私も狙われた訳ですし、実の父親を片腕にされ騎士団長としては命を絶たれたようなものですし・・・・・」
「・・・・・あんの・・・大馬鹿野郎がああぁぁぁ!!今直ぐ俺をあいつの所まで案内しろ!」
「は、はい、それはそのつもりでお呼びしたのですから勿論です。が、本人が『罪人として法に則り裁いて欲しい。犯罪奴隷として扱うか、死罪に』と申しておりまして・・・・・」
何考えてんだ。あまりに短絡的過ぎるだろ、あの馬鹿。
「で、如何したもんかと、俺を呼んだと。俺に如何して欲しいってんだ?言っちゃなんだが、あんたの言う事なら何でも聞くんじゃないのか?」
「命令する事は出来ますが、それが彼の為に成るとは思えないのです。ですので、ジン殿に預ける、と言うは如何かと」
ん?ああ、表向きは罰として解雇して、うちで鍛え上げて有事の際に派遣する流れか?結構な有名人だし、奴隷にって訳にもいかないんだろうから、有りっちゃ有りか。
「解った。けど、先ずはあいつと話をしてからだ。出来れば二人きりで話がしたい」
と言う訳で、ハルの居る独房へと案内された。ハルは簡素なベッドに腰掛けて項垂れていた。
「よう。気分は如何だ?随分落ち込んでんじゃねぇか」
「・・・・・何しに来た・・・説得には応じんぞ。帰って聖下にお伝えしろ、私の気は変わらん。父上の替わりなんぞ務める気は無いとな」
「何だ?親父を超えたいんじゃなかったのか?だったら・・・・・」
「私は!私は正々堂々と勝負して勝ちたかったのだ!貴様に何が解る!尊敬し憧れ・・・ずっと背中を追い掛けて来た目標だったのだぞ!!それがあんな・・・・・奴を殺した事が間違っていたとは思っていない!だが罪は罪だ、私は正当な裁きを受ける!それだけだ」
「そうか・・・まぁ・・・解らんな。俺は孤児だし、三歳までの記憶も無い。それに・・・憎しみで人を殺した事も無いしな」
「・・・・・人を・・・殺した事は有るのだな・・・・・」
「ああ・・・最初に殺したのは十三の時だ。言って無かったか?国とか裏社会から逃げてたって」
あの夢が俺の記憶なら三歳の時が最初なんだろうけど。と、苦笑いした。
「戦うのが嫌で逃げていたと記憶している。だから・・・・・」
ハルは意外そうな顔をして目を見開いていた。
「・・・そうだな、その通りだ。良い機会だから昔話でもしようか。誰にも話した事が無いから家の子達にも内緒にしとけよ」
俺はそう言ってハルの正面の床に座り、色々な事から逃げ続けていた自分と向かい合うためにも語り始めたのだった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




