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気を失った俺が運び込まれた部屋は神殿内の一室だそうだ。俺達は部屋を出て直ぐ近くを歩いていた神官に話し掛けた。
「ちょっと聞きたいんだけど、教皇さん達は何処に居る?」
「ジ、ジン様!お身体の方はもう宜しいので?」
「ああ、問題無い・・・・・で、何処に居るか教えてくれるか?」
なんか豪く畏まってるけど何でだ?
「聖下でしたら宮殿へお戻りになられました。ガルバデス様の治療をするに当たり、こちらでは不便ですので」
「そうか、ありがとな。後で行って見るよ」
「あ、あのっ!聖下や殿下方をお助け頂き有難う御座いました。神殿関係者一同、ジン様に感謝しております」
「助けたのは俺じゃなくてガルバデスとラインハルトだろ。俺よりも身体を張って助けたあの二人に感謝してやってくれ」
「勿論で御座います。ですが、ラインハルト様も仰っておりました、ジン様の指示がなければ助けられなかっただろうと」
「そんなの・・・結果論でしかねぇよ・・・・・」
そもそも俺の指示でガルバデスが動いたのかどうかも俺はしゃがんでいたから見えてない。一射目は外れてガルバデスに当たっただけかもしれないし、二射目だってそうだ。狙撃ポイントはおそらく街の外壁、南門の上だろう。あそこ以外に斜線が通る場所なんて無いがかなりの距離だ、試射無しで当たるとは思えない。一射目が試射を兼ねていて二射目が本命だったんだと思う。
しかし・・・俺以外にも地球人が居たんだな。厄介なもん持ち込みやがって。弾はどうしてんだ?俺のバッグみたいに元に戻るんだとしたらかなり厄介だな。早急にけりをつけないと。
「ライエル、後は頼むぞ。俺は犯人を追うから、お前達は家に帰れ」
「えっ?!ちょっと待ってよ、ジン兄さん!」
「心配すんな!必ず帰る!」
俺は神殿を出て南門へ向かって駆け出した。今は少しでも奴に対する情報が欲しい。必ず捕まえて色々聞き出してやる。俺と違って何か指令を受けているんだろうからな!
南門の前には大勢の人が集まっていた。門が閉じられていて門番の衛士達に詰め寄る人が何人も見える。神殿の事件で犯人を逃がさない為に閉めたのかな?俺は周囲を見渡した後、近くに居た男に声を掛けた。
「すみませ~ん。一体何が有ったんですか?」
「・・・ああ・・・門の上で見張りの兵士が二人、死んでいたそうだ」
「それって、神殿の狙撃事件と関係有るんですかね?」
「さぁなぁ・・・・・距離が遠過ぎるし、別の可能性も有るんじゃないか?俺には解らないな」
「ははははは・・・しらばっくれてんじゃねぇよ、お前がやったんだろ?硝煙の臭いぷんぷんさせやがって。他の奴は騙せても俺の鼻は誤魔化せねぇぞ。聞きたい事も有るし、面倒なんで大人しく捕まってくれや」
馬鹿かこいつ。現場近くをうろつくとか訳解んねぇよ。それに狙撃なんて言葉こっちにねぇっての。
「・・・・・チッ・・・俺からも一つ聞きたい・・・何故神殿側に付く。貴様も選ばれた者なら解る筈だ」
「生憎と俺は何も聞かされてねぇんだ。その辺の事も含めて話して貰うぜ」
じりじりと下がりながら距離を取ろうとする男に一歩ずつ近寄って行く。良く見りゃチノパン穿いてるし、着ているシャツも地球産の物じゃん。銃は背中のバッグか?俺のと同じ様にマジックバッグになってるんだろうな。
男は視線でフェイントを掛けて路地へと駆けだしながら、腰に下げていたナイフを右手で抜きながら投げ・・・させなかった。俺は一瞬で間合いを詰めて男の右腕を掴んでナイフを奪い、左手でバッグを掴んで男を蹴り飛ばしてバッグを奪った。狙撃の腕から軍関係者だと思ったんだが大した事無かったな。
「グハッ!・・・ちくしょう!バッグを返せ!お前も地球人ならこいつが如何言う物か解ってんだろ!死にたくなけりゃバッグをこっちに投げて寄越すんだな」
男は直ぐに立ちあがると、懐から拳銃を出して脅してきた。
「ははは・・・そいつは止めといた方が良いぞ。俺の後ろから来たお前さんのお友達に当たっちまうからな・・・・・ほぅ・・・こいつは懐かしい気配だ。おい、アキラ!こいつに俺の事教えてやれや!」
俺の背後を取ろうとしていたのは、日本中を回ってた時に暫く厄介になっていた武術家だった。
「・・・・・ジェイ、止めとけ。こいつは拳銃じゃ倒せない。お前の狙撃が失敗したのもこいつが居たせいだろう・・・槇嶋仁、同じ日本人の誼で今日の所は見逃してくれないか?」
「おいおい、晶ちゃんよ、正義の味方のお前さんらしくねぇ台詞じゃねぇか。こいつは騎士団長弾いてんだ、どんな理由が有ろうと、その落とし前はきっちり付けて貰わねぇと、だろ?それとも何か、向こうに隠れてる他のお友達三人共々纏めて面倒見てやっても良いんだぜ」
こいつは見た目も言動も男だが、実は女なのだ。
「クッ!その呼び方は止めろと言った筈だ!ジェイ、済まないが退かせて貰う。運が悪かったと諦めてくれ」
「ちょっ!ちょっと待ってくれよ!俺を見捨てるってのか!」
こいつ邪魔だから寝かせとくかと、一瞬で間合いを詰めて左回し蹴りを放ち地面に叩き付けてやった。
「お前は暫く寝とけ。おい、晶・・・俺の友人知人に手ぇ出したら如何なるか・・・言わなくても解ってるよなぁ。他の連中の手綱はきっちり握っとけよ」
「・・・・・ああ、善処する・・・近い内に話がしたいのだが、構わないか?」
「勿論さ。俺も聞きたい事が有るしな」
晶達を見送り、ジェイの襟首を掴んで路地を出て宮殿へと向かおうとしたら、路地を出て直ぐに衛兵に止められた。人間引き摺ってたら止められて当たり前だったわ。
「えっ?!こ、この男が犯人なのですか。それで、その・・・こちらに引き渡しては頂けないので?」
「ああ、悪いがこいつは俺が直接宮殿へ運ぶ。俺の居ない所で処分されたり逃げられても困るんでな。教皇聖下と話もしたいし」
「そうですか・・・ジン殿には必要無いとは思いますが、形だけでも護衛を付けさせて貰っても宜しいでしょうか?」
「ん~・・・まぁ良いか。あんた等が居れば引き摺ってても問題ないだろうしな。それに、あんた達にも色々有るんだろうしな」
狙われたのは教皇で、団長のガルバデスやられてんだし、面子とか有るだろうしな。
俺はジェイのボディチェックをして、衛士達に囲まれて宮殿へと向かった。豪い目立つなこれ。名前だけじゃなく顔も売れてしまうなぁ・・・もうここじゃ平穏には暮らせないかもしれん。冷蔵馬車が出来たら旅暮らしに戻ろうかなぁ。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




