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 昼食後はライエルに料理を、ミリーとエレナには接客用語を書いた紙を渡して覚えさせた。その後ろでハルがピョコピョコ飛び跳ねているのが笑える。


「このピーラーって凄げぇ・・・・・こんな簡単に皮剥きが出来るなんて・・・・・」


 驚きながらジャガイモの皮を剥くライエルの横で俺は剥き終わったジャガイモをスライサーで薄切りにしていった。ポテチを作るためだ。日本に居た頃は、何故か時々食べたくなって色々な味の奴を買ったもんだ。因みにライエルにはコロッケを作らせている。


 そんな感じで三人の指導をしたり、ハルをからかったり、魔導具や調理器具なんかの案を纏めたり、店で売る商品の開発をしたりして二日程経ち、組合から派遣されて来た職人達と話し合って翌日には庭の整備や売店の建築が始まった。


「そうですか、それで御庭に業者が来ているのですね。私からも仲の良い貴族令嬢に話をして置きましょう。以前頂いたお菓子を食べてみたいと言う方も多かったので、皆喜ぶでしょうし」


「う~ん、余り一度に大勢来られても困るけど、客が来ないのも困るしなぁ。まぁ宜しく頼むよ」


 遊び・・・一応仕事だった・・・・・まぁ家に来たアンジェリカに庭を仕切って何をするのか聞かれたので教えたら、そんな答えが返ってきた。


 この時俺は、アンジェリカや隣人の貴族家と俺の知名度を全く理解していなかった。そのせいで、開店から一週間豪い目に会う事に為ったのだが、それはまた後日に。


「はい。後一月半で聖誕祭ですが、それに間に合うと良いですね」


「聖誕祭?そんなお祭りがあんのか?」


「ああ、そうでした、ジン様はこちらに着たばかりでしたね。我等が主神で在らせられる創造神様が我々人間を御創りに為られたのが、丁度夏季に入る直前の週末なのです。毎年三月の最終週は聖都を上げての御祭りをするのですよ」


 因みにこの世界の暦は週が五日で一月が六週間の三十日。一年は十ヶ月の三百日だ。そしてこの国では、春季が二月と三月の二ヶ月で、夏季が四月から七月までの四ヶ月。秋季が八月と九月の二ヶ月で冬季が十月と一月の二ヶ月となっている。雨季や梅雨と言った物は無く、山間部以外では殆んど雨は降らないが、川や地下水等の水源が豊富な上に汲み上げる魔導具のお陰で水の心配は無いのだそうだ。


「ジン兄さん、今度は上手く出来たと思うんだけど如何かな?」


 そこにライエルが試作品を持ってきた。


「お、いい感じに焼けたじゃないか。これなら売り物に出来そうだな」


 ベーキングパウダーの代わりにメレンゲを入れたスポンジケーキなんだが、上手く膨らんでくれて良かった。後は果物やホイップクリームで飾り付けすれば売れると思う。問題は生クリームの調達だけど、自作するしかないのかな?アルバートさんの所で遠心分離機って作れっかなぁ。


 試作のお菓子と料理を食べてホクホク顔で帰るアンジェリカとハルを見送った翌日、俺は西地区へと向かった。


 先ずはライアンさんの所へ靴の進捗と、新しい調理器具の発注だ。


「こんちわ~・・・って、珍しく込んでるな」


「いらっっしゃいませ~」


 何か見た事ない女性がカウンターに居て客の対応してて、店を間違えたのかと思ったが、俺の頼んだ調理器具が売れているために、一人では店を回せなくなったらしい。


 靴の方は後数日で出来上がるそうなので調理器具だけ頼んでアルバートさんの所へ向かった。


「やあ、ジン君・・・いや、ジン様の方が良いかな?今や時の人だし、言葉使いも変えた方が良いでしょうか」


「止めて下さいよ、アルバートさん。今まで通りでお願いしますって」


「ははは・・・冗談ですって。それで、今日はどんな案を持って来てくれたのかな?」


 俺はサスペンションやベアリング等の書かれた紙をアルバートさんの前に出して説明を始めた。


「ほうほう、どれも興味深い・・・特にこのベアリングはかなり応用が利きそうですね」


「それでですね、一億出します。採算度外視で冷蔵馬車を一台作って貰えませんか?四頭引きで車輪も魔物の皮を巻くとかして壊れ難くするとか、耐久性を重視した創りでお願い出来ませんか」


「い、一億・・・それだけの価値が有ると思っているんですね?良いでしょう。可能な限り軽く、そして・・・そう簡単に壊れない物を作って見せましょう!」


「宜しくお願いします。後ですね、今家の庭に売店を作っているんですよ。そこで使うコンロやオーブンに冷蔵庫とかも頼みたいんですけど」


「に、庭に売店?これはまた面白そうな事を始めましたね。解りました、二、三日中にお伺いいたします。いやぁ、ジン君が来てから毎日が楽しくてしょうがない。うちの職人達も新しい技術に嬉しい悲鳴を上げてますよ」


「力になれているなら俺も嬉しいですよ。それじゃ、宜しくお願いします」


 アルバートさんの所を辞去し、組合へと向かった。新型コンロと冷蔵庫の商品登録がされているので会員証の更新と、支部長に聞きたい事が有ったからだ。


「ちょっと聞きたい事が有って寄ったんだけど、マジックバッグって手に入らないかな?容量は然程大きくなくて良いんだけど」


 ちょっと話をするだけだから応接室では無く、支部長の執務室にお邪魔した。机に向かったまま顔だけこちらに向けて、ポカンと口を開けている支部長がちょっと可愛く見えた。


「え・・・あ、ああ、ジン様でしたか。突然誰が入ってきたのかと思いましたよ・・・・・ははははは・・・それで、マジックバッグでしたな?現状手持ちですと大樽六つ程の大きさでよければ五千万メルで有りますが、時間停止ではなく遅延なのですよ。それでも良ければ如何ですか?」


「遅延ってどれ位なんだ?それにも寄るぞ」


「凡そ一月で一日ですな。この大きさで遅延だと、この値段でも買い手が中々おりませんので買って頂けるとありがたいのですが・・・・・」


 1/30日か中に入れるのは牛乳がメインだし問題ないかな。


「解った、買うよ。良い職人送って貰ったし、南支部にも貢献しないとな」


「おお!ありがとう御座います!あ、因みにジン様は今年の納税額が支部内では現状一番となっておりますのでその手数料だけでも十分貢献しておりますよ」


 そう言や六億以上払ってたっけ。まぁ良いか、こいつに大人しくして貰うためにも多少は金を使っとかないとな。


 組合を出て食材を買い漁って家に帰り、数日間ライエル達三人の指導をする日々を過ごした。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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