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夢のせいで最悪の気分で目が覚めた。だが、悩んでも仕方が無いと、重い足取りで朝食を作りに調理場へ入るとライエルがメモ帳片手に待っていた。
「おはよう、ジン兄さん。朝食は何にする?」
解らない事を悩んでも仕方ないか。その時が来るまで、やれる事をやっとかなきゃな。
「そうだな・・・今日の所は簡単な物にしとこうか。トーストにベーコンエッグとサラダにスープで良いだろ」
「それ位なら俺だって出来るから任せてくれよ!」
ライエルは言うだけの事はあって中々の腕前だった。卵を割った事が無くておっかなびっくりだった事を除けばだけど、親父さんの所で見て学んできた事が窺えた。こりゃぁ教え甲斐が有るな。
「今日は全員で出かけるから、食事が終ったら直ぐに準備しろよ」
朝食を食べながら、今日の予定を話した。
「何処行くの?ジン兄ちゃん」
「バート商会に行って昨日の報告と、その後は商業組合だ。可能なら商会を設立してお前達を商会員として登録する。お前達三人の身分証が必要だろ?その辺を支部長と話し合おうかなって」
「「「お~」」」
朝食を終えて全員でバート商会へ。門の所に居た衛兵にハルが来たら昼頃には帰ると言伝を頼んでおいた。
「おはよう御座います、バートさん。俺のせいで迷惑掛けて済みませんでした」
「おはよう、ジン君。それは良いのですが、昨日置いて行ったタイラントボアなんですが・・・・・」
「あ、昨日置いて行った物はお詫びなんで受け取って下さい。後、貴族達とも話が付いたんで、後で謝罪に来ると思います。え~っと後は・・・あ、猪は後五匹持ってますけど如何します?リザードマンの方もですけど、必要な時は何時でも言って下さい」
「そ、そうですか・・・後で謝罪に・・・・・ま、まぁ良いでしょう。ブラウンボアの方は取って置いて貰えますか?今回みたいな事が何時有るか解りませんので。その代わりリザードマンを十匹頂きます。狩れる方が余り居ないので、まだまだ需要が有るんですよ」
バートさんにリザードマンを売り、配達に行くヒースとニックを見送って、バートさんに再度頭を下げて商業組合へと向かった。
商業組合に着いてカウンターに向かうと「これはこれは、マキシマ様。ようこそお越し下さいました。本日はどの様な御用件でしょうか」と、揉み手で知らない男が近付いて来たので、アイアンクローで締め上げた。
「てめぇ、支部長から聞いてねぇのか?俺の個人情報を簡単に口にすんじゃねぇ、俺の名はジンだ。用が有るのはてめぇじゃねぇ、支部長に取り次げ、直ぐにだ」
涙目で頷く男に耳元で囁き手を放してやると、慌てて走ってカウンターの奥に入って行った。こりゃあ支部長にも言っておいた方が良いかな。
応接室に通されると支部長が既に居たので、敢えて座らないで文句を言った。今直ぐ帰っても良いんだぞと言う意思表示だ。
「おい!俺の個人情報は漏らさない様に言って有った筈だぞ!何だあいつは!俺を家名で呼びやがったぞ!マキシマなんて俺以外に居ねぇだろうが!部下の教育位ちゃんとしとけ!次に来た時に変わってなかったら、用が有る時は東支部に行くぞ!」
家は南地区でも若干東寄りなので大した手間にはならないのだ。
「も、申し訳有りませんでしたあああぁぁぁ!!」
取り合えず謝ったので、追い込むのは次の機会にして本題に入ろう。
「それで、本題なんだけど、俺って会員になったばかりじゃん。それでも商会を立ち上げたり、会員を雇ったり出来るのか聞きに来たんだけど」
「え・・・ああ、それでしたら問題ありません。本来は実績の精査等が必要なのですが、ジン様は販売額、納税額共に規定を超えていますし、商品登録による定期的な収入も御座いますから」
「それじゃ、頼むわ。会員は俺と後ろに居る三人な」
ライエル達は会員登録用紙に、俺は商会登録用紙に必要事項を記入して行った。商会名か・・・ジン商会って語呂が悪いけど、マキシマ商会じゃなぁ・・・間違い無く問題が起こるから何か別の・・・・・
書き終えた書類を支部長に渡した。
「ふむふむ・・・『エデン商会』ですか・・・・・失礼ですが、何か意味がお有りなのでしょうか?」
「ああ、俺の故郷の言葉で『楽園』とか、そう言う意味なんだ」
「ほぉ・・・なるほど、従業員を含めて、訪れた人々が幸せになる商会になるのでしょうな」
「まぁ、そうなると良いけど。ああ、それと家に腕の良い大工と造園業やってる職人を派遣して貰いたいんだけど、頼めるかな?」
「勿論ですとも。二、三日中に伺う様に手配致します。他に何か有れば何時でもお越し下さい」
ライエル達の会員証と登録した商会証を受け取り家に帰った。この商会証は登録した商会員なら誰でも使えるカードなんだそうだ。俺個人の会員証から十億メルを商会の資本金として移動しておいた。ここから俺を含めた商会員に給金を払ったり、仕入れの代金を払ったりする事になる。何をやるかって?家の庭に露店を出してお菓子や軽食でも売ろうかなと。序に庭も整備して、東屋やベンチやテーブルと椅子も置いて寛げる様にすれば、噂を聞いた人が集まってくると思うんだよな。主に貴族達だろうけど。
まぁ、上手く行くかは解らないけど、別に赤字でも良いんだ。ライエル達に仕事を与える事が目的なんだから。
帰りの道すがら、三人に何をやるのか話をした。
「ライエル、これから大変だぞ。この商会が大きくなるかは、お前の頑張りに掛かってるんだからな。勿論、売り子として働くミリーとエレナにも貴族相手でも問題無い接客を覚えて貰うからな」
「「「えぇ~・・・・・」」」
「ははははは・・・大丈夫だって。聖下と殿下やハルとその部下達もうちで飯食ってんだ。それに御向かいさん達もいる。必ずとは言わないが、ライエルが有る程度の物を作れるようになればいけると思う。俺が出来るだけ力に為ってやるけど、最後に物を言うのはお前達の頑張りだと思うぜ」
「・・・・・そうだよな・・・ジン兄さんに何時までも頼ってばかりじゃダメだもんな・・・・・俺頑張るよ。ジン兄さんが出掛けても問題無く店を回せるようになるからさ。ミリーとエレナも力に為ってくれ!」
「「うん!私達も頑張るよ!」」
家に着くと丁度ハルもやって来たので、昼食にお好み焼きを作って食べた。改良ソースがいい感じだ。
皆もいい加減俺の作る物に慣れて来たのか、初めて見る奇妙な食べ物でも躊躇無く食べているのがちょっと可笑しかった。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




