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「それじゃ十日程で帰りますけど、こいつ等の事よろしくお願いします。親父さん、ライエルが生意気言ったらぶん殴って構いませんから」
「ちょおっ!ジン兄さん、そりゃねぇよ!」
「ははは・・・それじゃ行って来るけど、真面目に働けよ」
「「いってらっしゃ~い」」
ヒースとニックは先に仕事に行っているので、残りの三人に見送られて北西の山に向かった。
今回は東地区を回って北門から出て西に向かった。西地区はアルバート商会とライアン修理工房が有るけど、あんな事が有ったばかりだし、ちょっと避けたかったのだ。あのおばはん逆恨みとかしてそうだし。
帰ったら商業組合に行こうと思っている。六人分だと宿代も馬鹿にならないし、家を借りるか買おうかなと。(まぁ俺は殆んど居ない訳だが)バート商会近くに良い物件が有ればなぁ。でも、最低六部屋だろ・・・結構な金額が掛かりそうだなぁ・・・・・
ま、まぁ靴が出来ればリザードマンで荒稼ぎ出来るし、ちょっと大きめの家位直ぐに買えるだろ。
何て思ってた時期が俺にもありました。
予定通り十日程で戻って来てバート商会に獲物を売って(売却総額二百六十万メルになった)商業組合に話を聞きに行ったんだが、結果として土地建物の売買は行っているが、バート商会周辺での物件は無く、少し離れた南門近くの物件で最低ラインの五千万メル。中央広場よりだと八千万メルはかかるそうだ。(バート商会はどちらかと言うと中央広場より)この物件を借りる場合は月の家賃(三十日)が二十万メルと、宿に泊まるよりは安いし楽に払えるのだが、この金額を払うなら狩場に長期滞在して一気に稼いで買った方が良いだろう。借りる場合の契約は六ヶ月単位だって言うし。
ちょっと落ち込みながら靴の進捗を聞きにライアンさんの工房に行った。
「やぁ、ジン君丁度良かった。さっき靴が出来たんで、明日にでもバート商会に行こうと思ってた所なんだよ」
「おお!ありがとう御座います!それで、前金で足りましたか?」
「あ~・・・すまん!後十五万メル貰えるかな?あの軟らかさを出す為にもう一足同じ物が必要で・・・その・・・・・本当にすまん!」
「いえいえ、謝らないで下さい。ライアンさんが納得出来る物が出来たのなら、間違い無く良い物でしょうし、問題ありませんよ」
「そう言って貰えると助かるよ。あ~、使かってみて改善して欲しい所とか有ったら言ってくれ。可能な限り直すからさ」
「解りました。その時はよろしくお願いします」
まぁ十五万メルなら猪二匹でお釣りが来るし、問題ない。明日一日ゆっくりして、明後日に湿地帯に向かおう。
「ジン兄ぃ!おかえりなさ~い!」「お疲れ様!ジン兄ちゃん!」
可愛い女の子に迎えられる幸せ。う~ん、癒される。
「ただいま二人共。おかみさん、親父さん、何か問題は無かったですか?」
「問題はねぇよなぁ」
「そうね、問題は無かったわ」
「何すかその含みのある言い方は?何か有ったんですね?ライエルがやらかしたとかですか?」
「・・・・・お帰り・・・ジン兄さん・・・俺ってそんなに信用無いですか?ジン兄さん酷でぇよ・・・真面目に頑張ってたのに・・・・・」
「冗談、冗談だって!で、何が有ったんです?」
「いや、ここ数日の事なんだがな、食事客が三割程増えてんだよ。うちの娘と合わせて若い子が三人になったからみてぇなんだ」
「そうなのよ。このまま安定するなら三人共雇っても良いかなって。ライエル君の頑張りが息子の方にも良い刺激になってるみたいだし」
「おぉ~じゃぁ暫くは様子見で、良かったらそのまま使って貰えるとありがたいですね」
三人とも雇って貰えると良いなぁ。あれ?それなら住み込みの方が良くないか?もしかしたら家を買わなくて済むとか?まぁその辺はその時になってからで良いか。
部屋に入って作って貰った靴を確認した。何て言うか、靴底に円錐の金属の付いた安全靴みたいな感じだ。靴底の部分の内側に金属が入っていて、爪先から土踏まずの手前までと、そこから踵までの二つに分かれていると言ったら解り易いだろうか。こうする事で柔軟性を出しているんだと思う。スパイクは一本で親指の付け根を中心にした円錐で高さは2cm程。ここを中心に回転し易くなっている。回し蹴りに対応させたのだろうか?室内で試す訳にはいかないので、宿の裏庭で軽く試してみたが、かなり良い感じだ。後は実践での耐久性次第だなと、部屋に戻った。
部屋で魔力操作の訓練をしていると、ヒースとニックが帰って来て夕飯に行こうと誘われたので一階に降りた。二人共なんか雰囲気が変わったな。上手く言えないけど、自信が付いたのか落ち着いた感じがした。この分だと直ぐに俺の手を離れそうで、ちょっと寂しいような、嬉しいような。
食堂に着いて席に座ると他の三人もやって来た。おかみさんと親方が気を使ってくれたらしい。久しぶりに六人揃っての食事は楽しかった。良く考えたら普段は俺だけ一人なんじゃね?まぁ、日帰りで稼げる所も無いし仕方ないけど、そう考えるとちょっと寂しいかな?
「ええ~!そんな直ぐに行っちゃうの?!もっとゆっくりしたら良いのに・・・・・」
とは、ミリーの言だ。明後日に狩りに行く事を告げたら拗ねられた。エレナは何か俯いてるし。
「ジン兄さん、今日沢山獲物バートさんに売ってたじゃん。あれって結構な金額になったんでしょ?そんなに稼ぐ必要あるの?俺とヒースも稼いでるんだし、数日休んでも良いじゃん」
「ん~・・・まぁそうなんだけどさ・・・・・お前達の日用品とかも買わなきゃいけないし、何より皆で住める家を買おうかなって思ってさ。でも、ライエル達がここで雇って貰えるなら、住み込みの方が良いのかなぁ・・・・・まぁ、取り合えず溜めるだけ溜めてからかな」
「家って・・・そんな簡単に買えると思えないんだけど・・・ジン兄ぃ・・・無理しないでね」
「ははは・・・大丈夫だって。その為にライアンさんに靴を作って貰ったんだし。心配いらねぇよ」
「おまえら、心配する気持ちは解るけど、あんまり我侭言って困らせるなよ。ジン兄さんの強さはこの間見たじゃねぇか。俺はあんな真似出来る人見た事ねぇよ。それに、俺達の為に狩りに行くんだ、無事に帰ってくるに決まってる。そうだろジン兄さん」
「そ、そう言や、俺の事抱えて走った後、空飛んでたし・・・ジン兄さんが負ける所なんて想像出来ないや」
ライエルのお陰で皆納得してくれたのは良いけど、俺の事化け物を見るような目で見るのは止めてくれ。マジで心に刺さるから!大体、空は飛んでねぇよ!そんなに高く飛べないっての!
翌日は食料品等を買い足したりして準備を整え、更に翌早朝、皆に見送られて湿地帯へと向かった。今回は二十日程の予定だ。さあ、リザードマンにリベンジと行きますか!いや、負けてないけど。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




