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聖都を出て暫く行くと前に十人程の団体が街道の補修工事をしていた。轍に土を盛って踏んだりハンマーのような道具で叩いたりして固めている。へ~、こうやって補修するんだ。
「ご苦労さまで~・・・・・」
労いの言葉を掛けようとして途中で止めてサッと顔を背けた。何か顔見知りが居たからだ。
「あん?・・・ああ~!おい!ちょっと待て、こら!無視すんじゃねぇよ!」
誘拐犯のスキンヘッド一味だったよ・・・ついてねぇ・・・・・
見張りの兵士さんに頼んでちょっと話をさせて貰ったら、こいつら労役で聖都周辺の街道整備しているんだそうだ。
「俺等も騙されたから同情の余地は有るって事でな。まぁ、その・・・あれだ、迷惑掛けてすまなかったな。お嬢ちゃん達にも伝えといてくれ、直接会って謝りてぇんだが、何処に住んでるか知らねぇし・・・・・」
「一応伝えとくけど、住んでる所は教えねぇぞ。流石に信用した訳じゃねぇからな」
「ああ、そりゃ当然だ。俺等で手分けして探すつもりだ。勿論手は出さねぇから心配すんな。これでもそこそこ名の通った冒険者だったんだぜ」
「え、だったって事は・・・・・」
「まぁ、資格剥奪って奴だ。自業自得だし、それなりにコネもあるから専属の護衛か、獲物の直接取引で食っていくつもりだ。問題はそれまで如何食い繋ぐか、だけどな。がはははは・・・・・」
話してみたら本当に騙されてただけで反省もしているし、刑期を終えてから街中で会ったら飯でも食おうぜと言われた。何か気さくな兄ちゃんだったよ。
彼等と別れた翌日、湿地帯に着いて早速靴を試してみたが問題なさそうだ。走る、止まる、回転運動に前後左右への加重移動も難なくこなせる。本当に後は耐久性だけだった。
これなら前回より多くても対応出来ると湿地帯を駆け回り、見つけたリザードマン達を次々と倒して行った。あ、倒すのにスパイクは使ってませんよ。鱗や皮に傷が付いちゃうからね。
リザードマンを狩る事二日。結構な数を狩れたし、そろそろ他の獲物でもと、更に奥へと向かった。バートさんがサラマンダーが居るとか言ってたしな。
因みに湿地帯での野営は買ってきた椅子とテーブルを使っている。人間慣れれば何処でも眠れるもんだよ。まぁ、誰かに見られたら驚くんだろうな。何でこんな所でテーブルの上に人が寝てるんだよ!なんてな。
で、翌日。明らかにリザードマンとは違う大きな気配を察知した。
「・・・・・何だあれ?あれがサラマンダー?蜥蜴と言うより大山椒魚か?いや、手足の生えた鯰かな?髭生えてるし・・・ん~?指が吸盤みたいに為ってるからヤモリか?それにしてもデカイな」
まぁ、何かヌメヌメした体表の両生類っぽい感じの奴が居た。全長は15m位で体高は2m。全体的にずんぐりとしたフォルムで円らな瞳がキュートなゆるキャラ見たいな奴だった。デカ過ぎるけど。
今までの経験上、変わった攻撃をしてくるだろうし、初見な上にこんなサイズの奴と戦った事が無い。(当たり前か)が、生物である以上、頭か心臓を潰せば倒せる筈だ。って心臓どこやねん・・・・・
回り込んで背後から・・・だと頭が遠過ぎるな。身体の上に乗ろうにも表面がぬるぬるしてて滑りそうなんだよな・・・スパイクを突き刺すのは無し・・・・・補足されちまうが横・・・いや、斜め後ろから行くか。
木々に隠れながら足音を立てないように、そろそろと近づいて行くと尻尾を左右に振ってきた。え、見えてんのか?何かこう、反射的に蝿を払う様な感じだったが、間違い無く俺に反応していたと思う。
ああ、目玉が顔の横についてんだもん死角なんて殆んど無かったか。でも、明確に俺を敵として認識している訳じゃなさそうだ。人間なんて小さ過ぎて蝿と変わらないってか?舐めやがって!俺を間合いに入れた事を後悔させてやる!
先ずは機動力を削る為に後ろ足の関節を狙った。全体重を乗せた前蹴りを放つと尻尾を振ってきたので、表面を転がるように力を逃がして反対側に着地し、後ろ足を蹴る。流石に脅威に思ったのか身体の向きを変えようと、身体を回し始めたが俺の方が速いわ!
二発目の蹴りで片足を潰した。大型の生物はその自重を支える足が弱点って相場が決まってる。チッ、尻尾が邪魔で反対側に回れねぇ。仕方が無いので前足だと、身体の横を駆け出し、前足に蹴りを入れようとした所で奴が首を回して口を開いた。何か仕掛けてくる!
反射的に飛び退き、水の上を滑って逃げたが正解だった。奴の開いた口腔から水鉄砲・・・いや、そんな生易しいもんじゃない。水大砲が放たれ轟音と共に地面が抉られたのだから・・・・・
マジかよ・・・あれ掻い潜って頭を潰さにゃ為らんの?
兎に角狙いを付けさせる訳にはいかんと、奴の頭に対して横方向に移動しつつ距離を詰めようとしたが、中々詰められない。このままだとそこ等中穴だらけになって動き難くなってしまう。やはり頭は後回しにして足からだと、残った後ろ足から潰す事にした。
潰した足を狙う振りをして尻尾の攻撃を交わし、反対側に回り込んで足を蹴り潰して距離を取る。蛇や蜥蜴程身体が柔らかくないのが救いか。背後に首は回らないらしい。問題は如何やって頭に近づくかだ・・・・・危険だがやるしかない・・・か。
奴の前足に向かって斜め後ろから全力で駆け出した。奴が身体を捩って口を開けた瞬間、前へと飛び込み、放たれた水大砲と頭の下を抜けて立ち上がると同時に全力で飛び上がった。
「うおおおぉぉぉりゃあああぁぁぁ・・・!!」
奴の目玉に蹴りを放つ。一瞬、奴と目が合った気がした。
俺の蹴りが奴の目玉を捕らえ、その足が太腿の半ばまで埋まる。
「ギョアアアァァアアアァァアアアァァァ!!」
叫び声を上げて暴れる奴の頭の中を膝から先を動かして掻き回してやった。大抵の生物は目玉の奥に脳が有るもんだ。
「グハッ!」
暴れる奴に木に叩きつけられ振り落とされ、更に前足で踏まれそうになったが、転がって交わして距離を取った。この程度でやられるかよ!
奴は周囲に体液を撒き散らしながら暴れ続け、動かなくなるまで一時間位は掛かったと思う。頭の中掻き回されてんのに、なんちゅう生命力だよ。
俺はその間、ダメージを抜く為に視界範囲ギリギリまで離れて、椅子に座ってスポーツドリンクとカロリーバーを飲み食いしていた。他の冒険者とかは如何やってこいつ倒してんだよ。やっぱ魔法か?死ぬまで凍らせとくとか、やり様は有るのかもなぁ・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




