第九章 旧友とフラグと懐かしき人 その三
ホテルのお洒落なバー。このバーは夜景を楽しめるようにと壁が全面ガラス張りとなっており、照明も最低限の光源のみである。そして景色が一望できるようソファとテーブルが配置され、カップルには人気なお店だ。
小鳥遊がお勧めするレストランで食事をした後、会計で割り勘を主張した涼子と奢ると主張した小鳥遊。涼子は付き合ってもいない男性……というか奢られるということ自体が慣れていないし気分もよくないので、「じゃあ次はない。」と言うと小鳥遊が折れた。そして次のちょっと飲むバーについては奢らせてくれ、男の顔を立てさせてくれと言われ仕方なしに頷いたのだったが、思いのほか高級感漂う場所につれてこられ自分の敗北を悟った。
「で、そうしたら同僚がさ。」
小鳥遊が楽しそうに仕事の話をする。その様子に涼子は酒を飲みながら耳を傾け相槌を打つ。
「あ、つまらない?」
「うん?」
「仕事の話。」
ふと涼子の反応が薄いのを気にしてか小鳥遊が問う。その問いに涼子が首を横に振った。
「別につまらなくないよ。まあ仕事の詳しい話はわからないけど、小鳥遊君が仕事好きなんだなってことはわかったよ。」
自分も仕事は好きだ。職場にも人間関係にも恵まれている。ある意味、小鳥遊と自分は同類なのだ。自分は趣味で、小鳥遊は仕事で婚期を逃した同類。
「彼女にふられてからは仕事一本だったしな。」
涼子の言葉に自嘲気味に笑う小鳥遊。そんな小鳥遊に涼子は問いかける。
「でもモテるでしょ。」
むしろモテないわけがない。イケメンで仕事ができて、気遣いもできる男性だ。涼子の同い年のいい男はすでに売れている。残るのは問題ある人間だけだ。
涼子の言葉に小鳥遊は苦笑する。
「そんなことないよ。仕事だけの堅物みたいに思われてそうだ。」
「あはは。私だったらほっとかないのに。」
「……それは本当か、早川。」
涼子のふとでた言葉に小鳥遊が反応した。その異性の顔に涼子の酔いがさめる。雰囲気が変わった彼に、自分の心臓が大きく跳ねることがわかる。
「俺、久しぶりに早川に会った時ほっとしたんだ。」
「ほっとした?」
首を傾げる涼子に小鳥遊が続けた。
「昔から変わってないって。」
「や、さすがに老けたよ。」
「そうじゃなくて……」
すかさずツッコミを入れる涼子に小鳥遊は苦笑する。
「雰囲気っていうのかな。早川は昔から独特の雰囲気があるっていうか、なんかこう言葉にはしにくいんだけど。」
「それって人を変人って言いたい? それとも高校時代から成長してないって言いたい?」
「違うって。落ち着くんだ。無理しなくいいって思える。」
睨む涼子に小鳥遊はそう言いつつ手に持っていたグラスをテーブルの上に置く。そして涼子を真っ直ぐと見つめた。
「……もし、早川がよかったらこれからもずっと会ってほしい。もちろん、男と女という意味で。」
彼がゆっくりと自分との距離を詰める。二人座っても余裕のあるソファだが、小鳥遊が涼子の領域を侵していく。
「涼子って呼んでいいか?」
そして彼の顔が涼子の顔をもっとも近づいた時、涼子がびしっと彼の頭にチョップを入れた。
「これが現実ならね。」
涼子がにやりと笑う。そして彼の肩を押して退かせると立ち上がった。
「……は?」
いきなりの拒絶に小鳥遊は固まる。だがそんな彼を意にかえさず、涼子はガラス張りの壁に近づく。見下ろせば、綺麗な夜景が広がっていた。
「これが現実ならって言ったのよ。小鳥遊君?」
そう言って振り返る。背中をガラスに預け、動けないでいる彼を見下ろした。
「涼子、なにを……」
意味がわからいという表情をする小鳥遊に涼子は苦笑しつつ、ポケットから銀古美の懐中時計を取り出し見つめる。
「本当にうまくできている世界ね。うっかりはまりそうだったわ。」
そう呟いて懐中時計を力強く握る。弱気になった時の自分を奮い立たせるように、覚悟を決めたあの時のように。この懐中時計はいつも彼女の側にあった。
「早川涼子は三十四歳で死んだ。私はハーシェリク。グレイシス王国第七王子、ハーシェリク・グレイシス。」
世界に亀裂が入った。まるで硝子のコップに入った日々の様に世界は停止し、いくつもの亀裂が走る。
「……いつからだ。」
さきほどまでとは打って変わって感情消し去った小鳥遊が問う。否、正確にいえば、小鳥遊という存在を象った別の何かだ。
(いつから、か。)
所々違和感があった。そして何かを思い出そうとすると遮るかのようにおこる頭痛。それにこの世界はなにもかも涼子にとって都合が良すぎた。
あの雨の日にすごく好みのイケメンの同級生に再会。しかも彼女なし。
傘が壊れたら雨が止んだり、品薄のゲームが手に入ったり。
使い切ったはずのキャベツが冷蔵庫にまだ残っていたり、誕生日プレゼントも諦めていた物がプレゼントされたり、後輩が率先して自分の仕事をやってくれたり……
全てが都合良すぎたのだ。
「……まあはっきりしたのはあの時だけど。」
「あの時?」
小鳥遊だったモノに風景と同じように亀裂が入った。そんな彼に涼子は悟ったような瞳を向ける。
「教えてあげない。ありがとう、いい夢がみられたわ。」
涼子がそう言った時、自分とその周囲の僅かな範囲を残し、世界が砕け散り闇が広がった。
(体重計に乗った時に気が付いたなんて言えるわけない。)
絶対誰にも教えられない。あの時乗った体重計がスーパーモデル並みの理想的な体重を表示し、現実よりかなり少なかったということを。
所々ハーシェリクの記憶と重なり思い出しかけてはいたが、現実との圧倒的な差異を認識したのはあの時だった。その衝撃が阻害していたなにかを打ち破り、これが現実ではないと認識させた。
(絶対誰にも言うもんか……)
そう心の中で決意しつつバラバラと世界が崩壊していく様を見ながら、涼子はため息を漏らす。
「さてどうするか。シロさんの言う通りなら元に戻れるはずなんだけど。」
シロの魔法の授業で精神操作魔法に囚われたら、という授業を思い出した。
「魔力があるだけで操作系魔法に囚われる確率は軽減される。魔力は精神……心の鎧だと思えばわかりやしだろう。つまり魔力のないお前は鎧を着ていないのと同じだ。そういう意味ではおまえは操作系魔法にかかりやすいと言える。だが自分の意志さえ持っていれば易々かかったりはしないから安心しろ。」
万が一、とシロは言葉を付け足す。
「もし魔法にかかったら破るには核となるものを見つけろ。それさえ見つけてしまえば並みの魔法士ならすぐ解ける。」
その言葉通り、これが魔法だとわかって試しに頬を思いっきり叩いてみたが魔法は解除されなかった。しかも痛みまで本物のように痛かった為、激しく後悔した涼子である。
そしてこの魔法の核は予想した通り小鳥遊だった。
(きっとこれは私が心の奥底で望んでいたことだったんだな。)
崩壊していく世界を眺めながら涼子は思う。
もしあの時交通事故で死なず、もとの世界にいたままだったらこういう出会いがあったかもしれない。
誰かと出会い、付き合い、結婚をして、母になり……そういう普通の人生があったのかもしれない、と。
クロとオランと離ればなれになって不安になっていたことも一因だろうが、自分でも気が付かなかった心の奥底の願望を、自分の弱い部分を魔法で突かれた。
自分の願望だから全てが自分の都合のいいように進んだ。
これが魔法だとわかった後も、つい懐かしいこの幻の世界に留まってしまった。
だが幻は幻でしかない。
(私にはやるべきことがある。)
手には懐中時計。幻の世界でもこれが自分の指標となってくれた。
(ありがとう、ルゼリア伯爵……)
「さて、どうしたものか。」
そう言って涼子は自分の身体を見下ろす。まったく変化が見られない。むしろ足元の床の部分は、ジリジリと範囲を狭めてきている。
シロの言うことが正しければ、この魔法を仕掛けたのは並みの魔法士ではないということだ。
いやな予感しかしない。
(まさか失敗した場合は対象者を殺す系? もしくは閉じ込める系?)
あり得る、すっごくあり得ると涼子は冷や汗を垂らす。
よくよく考えれば罠がそう簡単に解けるわけがない。
どうしようかと思考を巡らせている間に足元がぐらりと傾いた。床が砕けた硝子のようにパラパラと落ちていくと同時に、一瞬の浮遊感の後奈落の底のような闇へと落下する。
(落ちる……!)
その時手に持っていた懐中時計が光り輝きだした。余りの眩しさに瞳を閉じた次の瞬間、誰かに抱きとめられる。恐る恐る涼子が目を開けると、そこには懐かしい顔があった。
「お待たせしました、我が君。」
「ルゼリア……伯爵?」
はい、と彼が頷く。整えられた浅黄色の髪、間近で見て初めて知った暗い群青の瞳、精悍な顔つきをした懐かしい人が微笑んでいた。
「強力な精神操作魔法を打ち破るなんてさすがです。」
そう言いつつルゼリアが手を振る仕草をすると床が現れる。そこに涼子を降ろしながら、涼子の身体を頭からつま先まで確認する。
そんなルゼリアに涼子は混乱しつつ何か聞こうと頭をフル回転させる。
「伯爵、なんだか思ったより若いです? というか年下ですか?」
しかし混乱しきった涼子はとてもどうでもいい質問しかでなかった。
涼子の意表をつく質問に、ルゼリアは一瞬呆けたがくすりと笑う。
「あの時の私の肉体はやつれていましたからね。今は魂だけの存在ですから年相応なのでしょう。我が君こそこんなに素敵な女性だったとは思いませんでした。」
そう微笑むルゼリア伯爵に、涼子は大げさに肩を上下させた。
「まさか伯爵からお世辞言われるなんて思わなかったわ。可愛い王子の中身がこんなおばさんでがっかりしたでしょ。」
「いいえ。」
涼子の言葉をルゼリア伯爵は即座に否定する。
「たとえどんな姿であろうと我が君はあなただけです。」
「……ありがとう。」
偽りのない言葉に涼子は少々赤面する。伯爵の真っ直ぐな言葉はとても照れるのだ。そして一つ納得した。
「ああ、伯爵がずっと私に合図を送っていてくれていたんですね。」
あの幻の中であったハーシェリクの記憶の断片。ジーンやクロ、父やヴィオレッタ、オランにシロ。それがあったから自分は気が付くことができた。
「私はきっかけを、魔法の綻びを広げる為の手助けしたまで。全ては殿下のお力です。」
この姿で殿下と言われてもなんだか違和感があるなと思いつつ涼子は首を横に振る。
「いいえ、もしルゼリア伯爵が助けてくれなかったら、私はあの居心地のいい世界に囚われていたかもしれない……あちらにはやり残したこととか後悔とか多いから。」
だからこの幻が現れたのだろうと涼子は予測する。人は後悔しやり直せるならやり直したいことが多い。きっとこの魔法はそんな人の弱い部分を突く魔法だったのだろう。
(思った以上に私はあちらに未練がある。)
涼子は自分の胸に手を置く。
この世界で生きていくことは覚悟している。だが、それとは別に未練はある。きっとこの未練は現世が終わるまで抱えて生きていくものだろう。忘れたくても忘れられない、とても重く邪魔なのに決して手放せない大切なモノだ。
「我が君、一つお伺いしてもいいですか?」
そんな涼子に伯爵は問いかける。
「なんでしょう?」
そんな彼に涼子は首を傾げてみせた。
「我が君はなぜ、そこまで王国の為に尽力してくれるのですか?」
「なぜってどうしてです?」
さらに涼子は首を傾げる。
「我が君の故郷はこの世界でしょう? こちらの世界とはあまりにも……」
ルゼリアはそこまでいって口を閉ざす。
主の記憶で垣間見た世界。こちらとは比べられないくらい文明が発達し、貧富の差が少なく皆が平等だった。国家間の武力的な戦争もほとんどなく、無意味な殺生もわずかであり、光や食べ物、人が溢れた豊かな世界。そんな世界で育ってきた彼女にとって、自分たちの世界はとても貧相に見えるだろう。
「うーん、あんまり考えたことなかったなぁ。」
だがルゼリア伯爵の問いに涼子は唸りながら答える。
「考えたことがない?」
「ええ。」
どんなに頭を捻っても記憶を辿っても涼子の中に答えは見つからなかった。
「だって私はあの世界で王国に生まれて育った。生まれた場所や家族の為になにかしたいと思うのは普通じゃないですか?」
気負うこともなく、さも当然のように言ってのける涼子。
その普通を一体どれくらいの人々が思い行動に移すことができるのか、とルゼリアは思う。
(ああ、だからこの人は……)
伯爵はその場で膝をつき涼子の手を取る。それはまるで騎士が姫君に誓をたてるような仕草だ。
「我が君、やはり貴方は最高の主です。私の人生、貴方に出会いえた事が一番の幸運でした。」
「いや、一番の幸運は奥さんとお子さんに出会えたことにしなさいよ。」
伯爵の言葉に涼子は苦笑してツッコミを入れる。そして涼子も膝をおり、伯爵と視線を合わせた。彼にずっと言いたかった言葉があった。
「ルゼリア伯爵、私も貴方に出会えたから気が付くことができました。貴方があの時、命を賭してくれたから私も覚悟ができました。」
涼子はルゼリア伯爵の手を両手で握る。
「本当に、ありがとうございます。」
そして涼子はふと苦い顔になる。
「あと伝えなくちゃいけないことがあります。」
「我が君?」
首を傾げる伯爵に涼子は言葉を紡ぐ。
「貴方を死に追い詰めた人の一人、グリム伯爵なんだけど……」
「……ああ、彼のことですか。」
「貴方を死に追いやった彼だけど、彼は……」
変わろうとしている、と涼子は言いかけて口を紡ぐ。
新年会でグリム伯爵にあった後、クロに彼について詳しく調べてもらった。あの助言を信じたかったが、すぐに信用するほど自分はお人よしではない。嘘や自分達を嵌めようとする罠かもしれないと疑ったのだ。だが予想はいいほうに外れた。ルゼリア伯爵の元領地であり現グリム伯爵の領地は、彼が管理することによりいい方向へと向かっていた。多くの伝手のあるグリム伯爵は、その伝手を使って領民の為にいろんな努力をしていた。栄養の少ない土地でも育つ作物の種や肥料を手に入れたり、街道の整備をしたり、税を緩和したり……結果、今年の冬も問題なく、むしろ領民達は安心して冬を越す事ができたそうだ。
彼は変わろうとしている。そして自分が犯してしまった罪を深く反省し、償おうとしている。だがそれをルゼリア伯爵に伝えてどうしようというのか。
許してやってくれ、などとは口が裂けても涼子は言えなかった。
「我が君、悲しそうな顔をしないでください。」
話す事が出来ずにいる涼子にルゼリアは話しかける。
「私は妻子を奪われた原因になった彼は許すことはできません。」
その言葉に涼子は顔をさらに歪める。そんな涼子にルゼリア伯爵は微笑んでみせた。
「だけど我が君の言うとおり人は変わることができる。確かに彼は罪を犯しましたが、私が彼を憎むことと、彼が罪を償うこと別です。彼が地の底に来る前に気が付くことができたのはよかったことでしょう。最後は自分のことばかりとなり苦労をかけた領民達が、グリム伯爵の統治の元で幸せになってくれるなら、それは素晴らしいことです。」
そう言うルゼリア伯爵には嘘偽りがないように涼子には見えた。
「ルゼリア伯爵、ありがとう。」
「我が君がお礼をいうことではありません。」
そうルゼリア伯爵が言い終えると同時に、涼子の身体が淡く光り出す。
「……そろそろ時間ですね。」
それは魔法の効果が切れる合図だった。涼子はルゼリア伯爵の手をとり立ち上がる。
「ルゼリア伯爵。」
「クラウスです。クラウス・ルゼリアと申します。我が君。」
そういえば名前を知らなかったと涼子は苦笑する。
「クラウスって呼んでもいいですか?」
「私は貴女の臣下です。お好きにお呼び下さい我が君。それに敬語も不要です。」
頷く彼に涼子は一呼吸おく。そして決心したように口を開いた。
「クラウス、私はもう大丈夫。」
「え?」
疑問符を浮かべるルゼリア伯爵……クラウスに涼子は言葉を続ける。
「私にはクロとオランがいる。家族もいる。だからいつでも家族の所へ行っていいから、ね。」
そう涼子はふわりと笑って見せた。性別も姿形も違うのに、その笑い方が彼の知る王子と重なった。
(貴女は誰にでも、死んだ者ものにまでも優しいのですね。)
だからこそ、王子の周りには人が集まる。誰もが彼の中に希望を見つけるのだ。
「大丈夫です、妻や息子も待っていてくれます。」
むしろ巻き込んだのだから最後まで責任持てと言われそうだ。特に妻からは。
「我が君、これからも苦難は訪れます。だけど我が君なら大丈夫だと信じております。」
「……クラウス、ありがとう。」
涼子はそう言って瞳を閉じる。そして身体が光り輝き、光が消えると同時に彼女の存在も完全に消えた。あたりはクラウスを残し真っ暗な空間が支配している。
「……この先の事も乗り越えられると信じております、我が君。」
一人取り残されたクラウスは呟いた。
ハーシェリクは瞳を開くとそこは四角い部屋だった。中央のテーブルに砕けた水晶のようなものが転がっているだけの、なんの変哲もない部屋だ。いつもの視線の高さにほっとしつつ、掌を見下ろす。それは現世の掌がありさらにほっとした。
そして視線を割れた水晶に向ける。
「精神操作魔法……幻を見せる罠か。」
欠片を拾い上げ覗き込んでみると、魔方式らしき部分が薄く残っているだけでそれもハーシェリクが眺めている間に消えた。魔方式は発動し終えると消える仕様なのだ。
(なんという悪趣味なことをしてくれる。)
欠片を投げ捨てつつハーシェリクは内心毒づく。
伯爵がいてくれたからなんとかなかったが、もしそのまま精神が囚われたままだと考えるとぞっとする。もし精神が戻らなかった場合、自分は生きる屍となっていただろう。
(生きる屍……)
それは心の無い人形と同じ。そこまで考えてハーシェリクは戦慄を覚える。
(武器の搬入、人体強化の薬、操作系魔法の使い手、そして生きる屍となった魔力のない末王子という立場の私。)
ただまだ断定はできない。まだ余っているパーツがある。
そこまで考えてハーシェリクははっとして銀古美の懐中時計を取り出し、時間を確認する。
(よかった。まだ時間はそんなに立ってない。)
魔法に囚われている間に、時間がたっていたなんて冗談じゃない。
ハーシェリクは目の前にある扉を見る。その先に彼らが待っている。
(絶対、助ける。)
ハーシェリクは懐中時計をしまうと扉の前に立った。




