強さ
研修前日、大学隣の森林の開けた場所。
「ここで、お前のその腐った顔、ぐちゃぐちゃにしてやるよ。」
「はぁ…、いつまで付きまとってくるんだ、やりたければ好きにすればいいさ。その前に、名前を聞いていなかったな。」
「人に名前を尋ねるときは、自分から名乗れ。」
「御坂・宏斗・ハヴァール。」
「ストラスト・トロス。堅牢のトロス様だ!」
トロスは、宏斗に向かってくる。
(こういう相手は、まず自分の得意な技から仕掛けてくる。)
宏斗は、そう読むと体をそらす。
しかし、トロスは予想外にも、一般的な炎魔法を使ってきた。
(無詠唱!?早すぎて、魔力の揺らぎを感知しきれていなかったか。)
「どうした!よけるだけか!本気でこねぇんなら、もっと火力を上げてやるよ!」
『エキスプロフラム!』
広範囲に爆炎が広がる。
宏斗は、後退しながら防御魔法で防ぎきる。
『ブラムフィット!』
爆炎が晴れると同時に、強烈な炎が宏斗に襲い掛かる。
「くっ!」
気づけば、2人は結界外に出てしまっていた。
「仕上げだ!コンプレッ「よお、楽しそうなことしてんな。」
2人は、声のするほうを向く。
「どうした、悪魔を見るのは初めてか?」
(まささ、結界外に出てしまっていたか。)
「おい、お前!邪魔すんなら殺すぞ!」
(この馬鹿!)
「ふん、お前には興味ねぇな。俺は、こいつに興味があるんだ。」
宏斗を指さす。
「その目が、その目が欲しいんだ。おとなしくよこせ。おとなしくすればお前も、こいつも命は助かる。さあ、早く。」
「おい、くそ悪魔。」
悪魔は振り返る。
すると、結界に閉じ込められていた。
「な、なんだこれは!」
「はっ、これは”コンプレッジファニス”俺が作り上げた魔法だ。」
トロスは、誇らしげに言う。
「ちっ、魔力が吸い取られる。仕方ない、あれをやるか。」
『デスペルト』
悪魔の背後から巨大な影が立ち上る。
驚いたトロスは、結界を外してしまう。
「いい結界だった。俺が魔力を枯渇させられるとはな。まあ、せいぜい生き延びるんだな。」
「こいつは、プロフィシエントクラスの…、くっ、考えてる暇はない。おい!逃げるぞ、結界の中へ!」
「こんなやつ!俺が倒してやる!」
「馬鹿、やめろ!」
とっさに体が動く。
「うぐっ!」
トロスをかばい、モンスターの攻撃が背中を擦る。
「何してんだ!はっ…。」
モンスターの攻撃がすぐ目の前まで迫ってきていた。
終わったと思った瞬間、目の前で、モンスターの腕が落ちた。
そして、そのままモンスターも真っ二つになった。
宏斗が空を見上げると、シューイチが浮かんでいた。
「何してる、ここは結界外だ。」
降りてきたシューイチは、そう言う。
「すみません、シューイチさん。」
宏斗は痛々しい背中をかばいながら、言葉を返す。
「すぐに大学に帰って、治療してもらえ。」
「はい。」
無詠唱 魔法発動時に、詠唱を破棄すること。しかし、魔力の揺らぎで感知されるため、近接戦闘以外では、効果はない。また、詠唱を破棄すると、魔法の威力も落ちる。
プロフィシエントクラス モンスター階級の一つ。マスタークラスの一つした。




