心情を読む
宏斗とリリサは教室に入る。
トロスは2人が入ってきたことに早くに気付く。
「よお宏斗、元気だった…。」
宏斗の顔は暗く沈みきっていた。
「おい、宏斗に何があった?」
トロスはリリサに問いかける。
「今は…、聞かないほうがいい。」
「そうか…。」
食堂
リリサは宏斗の隣に、トロスは2人の向かいに座る。
3人は言葉を交わさず、無言で食べ進める。
「トロスさん!」
そこに誰かがやってきた。
「あの、今日は魔法発動時における空間の歪みについて教えてほしくて…。」
「メレーナ、今は…。」
メレーナはその場の雰囲気を感じ取る。
「あ、ごめんなさい。」
メレーナは去っていった。
「あの子、1年生?」
リリサが聞く。
「ああ、履修科目が同じでただ教えているだけだ。」
再び3人は沈黙する。
しかし、宏斗は半分も食べ終わらぬうちに席を立つ。
リリサも慌てて追いかける。
トロスは手を止め、その場から動けなかった。
中庭
宏斗はベンチに座り、中央の噴水を眺めていた。
真冬にもかかわらず、噴水は勢いよく噴き出ている。
火が落ちてきて、少しの月明かりが噴き上がる水しぶきを照らしている。
宏斗は食堂でのトロスの様子を考えていた。
途中に話しかけてきたメレーナという少女、トロスの関係性を。
宏斗は2人が付き合っていることに感付いていた。
しかし、トロスは濁した。
そのことが宏斗の頭から離れない。
柱の陰から宏斗の様子を見守るリリサは、彼の思考を読み取っていた。
学長室
「あいつと日をずらしたのは、言い争いを見たくないからか?」
居丈高にリーファは言う。
「そうではない。向こうでもいろいろあったんだ、それであいつを呼んだ。それに、お前が帰ってくる日が違っただろ。」
「100で返そうとしてくるなよ。からかっただけだ。」
「それで、何かわかったのか?」
「バスの考え通り、奴らは超結界を使っていた。通りであの膨大な魔力が読めないわけだ。」
「もし、ここの結界を超結界で中和されたら、俺たちに打つ手はなくなるだろうな。」
「戦う前から卑屈になってどうする。まだ未知数なことが多いんだから、奴らにも穴はあるだろ。それに、あのリベリアンって男の素性もよくわかっていない。」
「ああ、それについては俺も調べた。奴はここの卒業生で、第四次大戦時に壊滅したある集落の出身らしい。その集落は金色の目を持つものが多くいた。奴以外は全滅したが、なぜか奴だけ生き残った。」
「どちらにせよ、奴が悪魔側についているということは、人間に強い恨みがあるということだろう。」




