死を観る
アルファサールの大穴
「今回の件、よい成果だったと私は思うぞ、ラスノヴァ。」
「褒めてもらうのは嬉しいけれど、私はまだ満足してない。愛はもっと美しく散らないと。」
「素直に喜べばよいものを。」
「まあそう言ってやるな。君なりのやり方があるのだろう?」
「ええ。今度は盛大に華を散らして魅せましょう。」
ラスノヴァはその場を去っていった。
「何か言いたげだね。」
「あれで本当に良いのでしょうか?私には到底理解できません。」
「ふんっ。理解する気もないくせによく言う。」
「何が言いたい、グレイ。」
「返ってこない答えをお前は求めるのか?お前の趣味の悪さには俺も理解できんが。」
「同胞の死体を貪り食っていた者が何を言う。趣味が悪いのは貴様の方だ。」
「よしたまえ君たち。家族が喧嘩をすることを私は好まない。皆同じ血であろうと、思考や思想はそれぞれだ。それで対立するのも致し方ないが、私はそれを許さない。」
「申し訳ありません。リベリアン様。グレイ、貴様も頭を下げろ。」
「いいさ。私はそれぞれの考えを尊重する。君たちにも、君たちなりの考えがある。だから私は無理強いはしたくない。」
「承知しました。」
サーハルドラスディ魔法大学
「また、誰かの死を見てしまった。僕は何度これを繰り返さなきゃならないんだろう。2000年生きて、楽しかったことより、こういう人の死が記憶に焼き付いて仕方ない。自分の不甲斐なさが嫌になる。」
「私は直接関わったわけじゃないですけど、人の温もりが冷めていくあの感覚は一生忘れないでしょう。」
「数えきれないほどの死を見てきて、今でも自分を責めたくなる。こうやって身近な人が亡くなると余計にね。」
「それよりも今は、宏斗君が心配です。」
「今回の件は、簡単に立ち直れることじゃない。今僕たちに何かできることはないよ。」
「わかっています。でも、こういう時誰かが側にいないと、自分を忘れてしまう。自分を責めて、殺したくなってしまう。私はそんな彼を見たくありません。」
「彼に今必要なのは、心の余裕だよ。あなた一人に何かできるとは思わないけど、僕が居ても同じだからね。だから、僕も何かできることをするよ。」
「その必要はありません。」
「え?」
「私は、彼の本心を知っています。だから、私に何もできなくても、彼に寄り添うことはできます。」
「そっか。じゃあ、無責任だけどあなたに任せるね。」
「はい。」




