彼
「それより、オルフェ。」
「ん、何?」
「隣にいる人、彼氏?」
オルフェは顔が赤くなる。
「そ、そんなんじゃないよ。」
「ああ、自己紹介が遅れたな。俺は宏斗、ハルクヴァールからの留学だ。」
「ふーん。付き合ってるの?」
「だからそうじゃ…。」
「いや、別に。」
即否定されたことで、オルフェは落ち込む。
「こんなところに何を学びに来たの?」
「学びに来たというより、修行だな。」
「ところで、オルフェはへこんでるの?」
そういわれて、宏斗はオルフェを見る。
「どうしたんだ?」
「別に…。」
「大丈夫だよ。早まる必要はないよ。」
「だから違うって…。」
「具合でも悪いのか?」
「宏斗君が悪いんだよ。」
「…?」
「あなた、オルフェ以上の鈍感だね。」
「????」
遠くから誰かが歩いてくる。
それにいち早くルルは気づいた。
「ローム!」
ルルは席を立ち、ロームに飛びつこうとする。
しかし、ロームは迷いなくそれを避けた。
「あべっ!」
顔面から勢い良く地面にぶつかる。
ロームはなおも無視し、セーナに近づく。
「ローム君、どうしたの?」
ロームは無言で数枚の紙を差し出す。
「?これは?」
「あいつの課題です。」
「あれ?ルルちゃんもう終わったって…。」
「あいつがそんなことすると思いますか?」
「やっぱり、ローム君にやらせてたのね。」
「ローム、それは言わない約束じゃん。」
「お前が勝手に言ったことだろ。」
「見返りはちゃんとしたじゃん。」
「俺にとっての見返りにはなっていない。」
「ふ~ン。ルルちゃんは自分ばっかりが気持ちよくなればいいと思ってるんだ。」
2人のにらみ合いが逆転する。
「俺、ここから逃げ出したい。」
「宏斗君、私も同感だよ。」
「あっ、そうだ。」
セーナが何かひらめいたように大きな声を出す。
「ちょうどよかった。ローム君、宏斗君のこと手伝ってくれない?」
「宏斗?」
ロームは宏斗を見る。
「嫌です。」
「どうして?」
「なぜハヴァール家の者を俺が教えなければならないんです。彼なら十分素質がある。手伝う必要なんてないでしょう。」
「俺がハヴァールの者だってなんでわかったんだ?」
「その特徴的な目を見ればすぐにわかる。それに、あいつもどうせ気づいていただろう。」
ロームはルルのほうを指さす。
「何々、私の話?」
「断られるのはわかっていたけど、2人は僕のこといじめてくるからさ。」
「それは先生が仕事ができないのがいけないんでしょう。」
「はぅ。ローム君まで…。」
「でも、わかりました。できるだけのことはやってみます。」




