怪しい陰
宏斗とセーナは食堂で向かい合わせになって食事していた。
そこに謎の女生徒が来る。
「セーナ先生、男子と食べてるー。」
からかうような口調で話しかけ、宏斗の隣に座る。
「オルフェちゃん、何しに来たの?」
「いやだって、先生が男子と2人きりで食べてるんだもん。気になるじゃん。先生、若い男子に手出しちゃだめだよ。」
「そんなんじゃないよ。彼は今日から僕の教え子になる宏斗君。」
「どうも。」
宏斗はあの一件以来、同年代の女子と話すことが苦手になっていた。
「へー、きれいな目してるね。」
宏斗は少し顔を背ける。
「…どうしたの?」
「オルフェちゃん、年頃の男の子にはいろいろと事情があるんだよ。」
その言葉が宏斗に刺さる。
「ふーん、私はオルフェ。これからよろしくね。」
「よ、よろしく。」
「さて、もう遅いしオルフェちゃんは早く寮に戻りなよ。宏斗君は私と来て。」
「やっぱり、先生その気なんだ!」
セーナは頬を膨らませる。
「ふふ、先生そんなことしてもかわいいだけだよ。じゃあ、宏斗君おやすみー。」
オルフェは嵐のように去っていった。
「元気な子でしたね。」
「随分とあっさりとした対応してたけど。」
「い、いやぁ。女性が苦手で。」
「ふーん。」
(に、睨まれてる?)
副学長室
「今日はどうだった?」
「いや、まだ何もしていないというか。」
「そうだよね。まぁ、今日はゆっくり休んで、明日からは厳しくなるよ。」
「はい、わかりました。…ところで、僕の部屋は?」
「実は、学長が用意してくれなかったんだ。」
「へ?」
「いやさぁ、学長早く終わるだろって、そういうの面倒だって。だからごめん、しばらくの間ここで寝泊まりしてね。」
宏斗は床に就き、この半年間を振り返る。
意識が回復してからすぐにハルクヴァールを出て、防御魔法や雷魔法について学んだ。
死にかけたことも何度かあったが、そのたびに学びを広げることができた。
トロスたちは何をしているだろうか、自分よりももっと進んでいるのだろうか。
リリサは…。
宏斗はそれ以上考えるのをやめ、目を閉じた。
翌朝、食堂
宏斗は1人、朝食をとっていた。
そこにオルフェが目の前に座る。
「やあ、宏斗君。寂しそうだね。」
「別に…。」
「そっけないなー。でも、私そういう人好き。」
宏斗の胸が騒ぎだす。




