華奢な娘
『ダーラントリスター』
鈍い音と破裂音が響き渡る。
宏斗はついに、パラレイアの殻を破った。
「やった!」
しかし、殻を一部破った程度で倒せたわけではなかった。
「ぐっ!」
『ベントレイド』
イラマイルが間に入る。
「イラマイルさーん。」
遅れてボルトラも来た。
ボルトラはパラレイアを結界に閉じ込める。
イラマイルはパラレイアの殻の破片を拾う。
「よくやったな。倒せなくても、殻を破っただけで上出来だ。」
宏斗は嬉しくなった。
「どうやら間に合ったみたいだな。」
背後から誰かが話掛ける。
「ええ、何とかね。それにしても、予定より少し早くないですか?ワダルグさん。」
そこには、身長が4mほどの大男が立っている。
「うちの学長が急かしてるんでね。もう十分だろ、イラマイル。」
「ああ。」
「さて、お前が宏斗だな。」
「は、はい。」
「ついて来い。」
宏斗が連れてこられた場所は、サーハルドラスディ魔法大学。
学長室前
ワダルグは扉をノックする。
「学長、連れてきたぞ。」
「入れ。」
言われるがまま、2人は中へ入る。
「随分早かったな。」
「学長の見掛け通り、筋はあったみたいだ。」
ワダルグはソファに堂々と腰掛ける。
「ふん。で、あいつには会ってきたのか?」
「いや、顔も見せなかったな。」
「まあいい。」
ガエンは宏斗を見る。
「お前には構築魔法ではなく、体術を教えろと言われた。」
「学長に、ですか?」
「そうだ。どうせ、シューイチが拒んだんだろ。お前には得物がなさそうだしな。だから、こいつがお前に体術を教える。」
学長室の隣から、ゆっくりと姿を現す。
「女性?」
「何か問題でもあるのか?」
「い、いえ。でも、こんな華奢な方が俺に…。」
「学長。彼、僕のこと見下してます?」
「さあな。だが、お前がこいつに教えることに変わりはない。」
校庭
「まずはお前の素質を見る。」
2人は向き合う。
「僕の名前はセーナ。よろしくね。」
「はい。」
「2人とも構えろ。」
宏斗はこぶしを握り、構える。
しかし、セーナは腰に手を当て立っているだけである。
「始め!」
合図とともに、宏斗は間合いを詰める。
依然として、セーナは姿勢を変えない。
目の前まで来て、宏斗が拳を振り上げる。
それをセーナは、左手にナイフを持った状態で受け止める。
「…柄?」
セーナは刃先ではなく、柄の尻で受け止めていた。
「ふふ。」
ワダルグ 本名ワダルグ・デスト・ファルハージ。サーハルドラスディ魔法大学の副学長。身長が4mと、学長のガエンより高い。
セーナ 戦争孤児で、本名がない。サーハルドラスディ魔法大学の副学長。2本のナイフを得物としている。1つは赤いナイフで、親しい人物の血肉からできたもので、もう1つはある人物からもらったもの。年齢はダガールよりも…?




