雷鳴
「だいぶ慣れてきたな。」
「まだまだですよ。」
「いや、素手で触れられるほどになれば上出来だ。次は少し強くするとしよう。」
「一つ質問いいですか?」
「なんだ。」
「これで本当に雷魔法が使えるようになるんですか?」
「…可能性を増やしているだけだ。使えるかどうかは君がどこまでこれに耐え、その身に雷の性質を刻めるかにかかっている。今ある最終目的はパラレイアの討伐であって、これは過程にすぎない。奴のかたい殻を破れるのは、雷のように一瞬で攻撃を当てることができるものしかない。すべて君次第だ。」
「わかりました。では、お願いします。」
数週間後
「雷は狙った軌道で出せるわけではない。そこに達するには途方もない時間を費やさなければならない。君にはそれが足らないので、魔法として発動できるようにすることから始めよう。」
『ヴェーフェールラーベン』
イラマイルの手から明るく光る無数の線が広がる。
「4段程度の魔法だが、当たれば高確率で気絶させることができる。雷魔法は攻撃魔法において、最上位に位置する。そのため、低い段級であっても高火力を出せる。これは雷魔法の中でも最も簡単に発動できるものだ。やってみろ。」
「はい。」
『ヴェーフェールラーベン』
しかし、宏斗の雷は指先から少し出るくらいで、イラマイルほどのものではなかった。
「あ、あれ?」
「大丈夫だ。最初はそんなものだ。徐々に慣れていけば、いずれ私のようになる。まずは、集中して雷を想像してみろ。」
宏斗は目を閉じ、自然に起きる雷を想像する。
「そこには何がある。ただ光が伸びているだけか。それとも…。」
直後、宏斗の指先から雷が伸び、だんだん大きくなっていく。
「これが…。」
「まさか一発で出せるとは。さすがハヴァールの子だ。」
「イラマイルさん、これで…。」
「だが、雷を発生させられるようになっただけでは意味がない。魔法として発動できるように、もう少し訓練が必要となる。しかし、雷魔法は魔力の消費が大きすぎる。今日からは君ができるところまでやることにしよう。」
「お疲れ様です、イラマイルさん。順調ですか?」
「まずまずといったところだな。だが、ハヴァールの子というだけあって筋はいい。私が必要となるのもあと少しだけだろう。」
「やっぱりイギさんもそれくらいの実力があったてことですかね。」
「私はウズさんにこれを教えてもらったのだ。大学にもいっていないような私で会得できるなら、ハヴァールの血を引く彼にできないわけがないだろう。」
「でも、なんでうちの学長は使えなかったんだろう?」
「彼女は気性が荒いからな。ウズさんも手を焼いたそうだ。ハファイルですら、彼女を抑えるのに苦労したほどだ。あれを受け止めれる者を私は知らない。」
「でも、学長案外旦那さんとは仲がよかったみたいですよ。」




