教え方
「少し話がそれてしまったね。本筋に戻そう。」
ウズさんの血を受け継いだ君は、雷魔法を使える可能性がある。
しかし、習得にはかなりの時間を要する。
いろいろと時間がない。
だから、君には無理やりでも雷魔法を習得してもらう。
とはいっても、ここにはそれを扱える人がいない。
だからこの人を呼んだ。
そう言うと、扉を誰かが開けた。
ゆっくりと入ってきた人物は、優美なローブに身を包んでいる。
「この子か。」
その人物は宏斗の前に歩み寄る。
「私の名はイラマイル。よろしく。」
差し伸べられた手に、宏斗は応じる。
「彼は政府直属の魔法使いだ。僕たちの知らないこともよく知っている。」
「何をするかはもう聞いたな。さっそく始めるとしよう。」
大広間
「まず初めに、雷魔法は属性魔法だ。属性魔法次第で、相性がわけられる。何かうってみろ。」
「はい。」
『バラデアグ』
「法、水か。悪くはない。だが、この程度では到底戦えんな。」
そういうと、イラマイルは背後に巨大な水の塊を出現させた。
「すごい。無詠唱でこんな…。」
「私は大学に入っていない。だから、そちらのやり方は知らん。加減はできんぞボルトラ。」
「呼んだのはこちらですよ。要求することはありません。お好きに。」
「そうか。では、少々手荒だが耐えてみろ。」
宏斗はその巨大な水の中にうずもれる。
一瞬意識が飛びかけたが、目を開くと先ほどとは別の空間がそこにはあった。
「ここは?」
宏斗の横を何かが通り過ぎる。
「なんだこれは?人?」
「幻術空間ですか。この小ささでよくできますね。」
「正確には幻術空間ではない。結界に近いものだ。雷の性質を利用し、彼の記憶の中へと潜り込ませた。今彼が戦っているのは、私が雷となったものだ。」
「外傷は?」
「追うだろう。しかし、モノを得るということに傷はつきものだ。栄誉あるものだと思えばいい。」
「くそっ。なんて速さだ。視界にとらえた瞬間、どこかに消えてしまう。」
宏斗は実体のない雷に苦戦を強いられる。
「俺の魔法が通らない。このままじゃ…。」
そう考えているうちに、腹部に鋭い衝撃が走る。
宏斗は大きく吹き飛ばされた。
「大丈夫か?」
「やはりこの程度か。だが、これを何度も繰り返せば、いずれ習得できる。」
「けほっ、…何度持って、どれくらいなんですか?」
「それは君次第だ。」
イラマイル 本名イラマイル・エーノ・ベンルティー。ハファイルの友人で、リヒタイル事件の際真っ先に駆け付け、リヒタイルを殺害した人物。世界に数人しかいない雷魔法を扱える者の1人。




