外殻
「本当にあれと戦わせるとはな。」
「学長こそ、僕たちを止めれたでしょ。」
「イギの残した防御魔法の結界でもつと思うか?」
「そのことなら大丈夫ですよ。新たに作りましたから。」
「内側から破れたらしまいだぞ。」
「くっ。」
宏斗は最初こそ善戦していたが、学習していくパラレイアに苦戦を強いられる。
「こいつ、普通のパラレイアじゃないな。いったいどうなってる。」
その個体の異常さに宏斗は気づき始めた。
「あのパラレイア、普通の個体なのか?」
「よくお気づきで。あれはこの時のために捕らえたパラレイアでして、通常個体であれば防御に徹していますが、あれは攻守両面の魔法を遜色なく使える個体です。」
「まさかイギの息子を殺す気か?」
「そんなわけないじゃないですか。ダガールさんに言われたじゃないですか。次につなげる必要があると。」
「…次?」
「あれ?聞いてませんでした?」
リーファは気まずそうに目をそらす。
「はぁ、学長ちゃんと人の話は聞いておいてくださいよ。」
「こういう時のためにお前たちを連れてるんだ。」
「僕たちをメモ用に使わないでくださいよ。…次っていうのは、サーハルドラスディのほうにって言うことですよ。」
「はぁぁ、あいつのとこにー!?」
「彼の成長は早いですから、あと数か月でパラレイアを倒せるほどになれるでしょう。」
「そうじゃなくて、なんであいつのとこに!?」
「ただ、学長の教えたことをちゃんと活かせられるかが重要になりますね。」
リーファは無視されたことに拗ねてしまった。
「やりすぎじゃない?」
「別に、学長がいつも話を聞かないからこうなるんだよ。」
「うっ。」
その言葉がリーファの心に刺さる。
パラレイアはすでに、防御魔法を使わずその硬い殻だけで、宏斗の攻撃を防ぎ始めた。
「どうなってる。俺の魔法が殻に弾かれてるのか?」
そう言っている間にも、パラレイアの攻撃は力を増していく。
「これ以上はこっちがもたない。…もう一度あれをやってみるか。」
宏斗はパラレイアの強力な攻撃を防御魔法を駆使しながら間合いを詰める。
「思い出せ、あの時の間隔を。突発的な力の増大、あれがもう一度出れば。」
パラレイアの懐まで入った宏斗は、左半身を大きくそらし勢いのまま殴った。
「ぐっ!」
直後、宏斗の左拳は激しく出血し始めた。
痛がる宏斗へ、パラレイアは容赦なく攻撃を浴びせる。
「危ない、危ない。」
宏斗が気を失いかけたころ、ボルトラが割って入った。




