気づき
数週間たって、宏斗は訓練に慣れてきていた。
「…休憩だ。…だいぶ慣れてきたな。」
「まだまだですよ。後退しながら防御魔法を放つのが精一杯ですから。」
「いや、10分も耐えれば上出来だ。私が教えることはもうないな。次の段階に移行してもらおう。」
「…次の段階?」
「次はこいつらに教えてもらう。」
リーファが指をさした方向から背の高い男女が歩いてくる。
「やっとお呼びですか?」
「ああ。お前ら後を頼む。」
「え?待ってください。何の説明もないんですか?」
「そいつらが教えてくれる。私は疲れた。」
そういってリーファは校舎のほうにスタスタ歩いていった。
「悪いな。あの人は案外めんどくさがり屋なんだ。」
「いや、なんとなくはわかってましたけど…。」
「おい、自己紹介しろよ。」
「え~、僕から~?」
「どっちでもいいだろ。」
「じゃあそっちからすればいいだろ。」
「あの~、何してるんです?」
「ほら。」
そういって、肘で突く。
「こほん。え~僕がボルトラ、彼女はエストラス。学長は説明下手だから僕たちについてはあんまり言ってなかったっぽいね。」
「おい、役職を言ってない。」
「それはそっちが言えばいいだろ。」
宏斗は思った。
(リストエイリッヒって、喧嘩っぱやい人多いな。)
「見ろ、あの子の顔。私らを死んだ魚の目で見てるぞ。」
「それはそっちが説明しないからだろ。」
「なんだ、その言い方。」
長引く喧嘩の最中、宏斗はあることに気付いた。
「あのー。」
「「なに!」」
「いや、2人って結婚されてるんですか?」
エストラスとボルトラは顔を合わせた。
「はぁ、やっぱり気づかれたか。」
「さすがにハヴァールと御阪の血を引く子だな。感が鋭い。」
「…?」
「君の言うとおり、僕たちは夫婦だ。しかも、副学長で夫婦なのはほかの大学にはいない。」
「なのに、そんなに仲が悪いんですか?」
「いやそういうわけじゃないんだけどさ…。」
2人はいきなり恥ずかしそうにする。
宏斗は再び思った。
(めんどくさいなここの人たち。)
「そんなことは置いておいて、早速訓練の内容を教える。」
「はい。」
「私たちとの訓練は…、あれを倒すことだ。」
エストラスの指さすほうには、中型のモンスターが見える。
しかし、中型といえどそれはマスタークラスのモンスター、パラレイアだった。
「…え。」
ボルトラ 本名ドウラ・パルス・ボルトラ・レクシール。リストエイリッヒ魔法大学の副学長。イギの代からおり、幼馴染であるエストラスと結婚している。身長240㎝。
エストラス 本名ハウラス・エストラス・レクシール。ボルトラと同じく、副学長。身長230㎝。
パラレイア マスタークラスに属するモンスター。超硬質な殻に身を包んでおり、大概の魔法をはじくことができる。また、魔法を使用することができ、特に独自的な防御魔法を備える個体がいる。




