教育
「私がここの学長、リーファだ。私はダガールとは違って、厳しめにやるからな。逃げ出すんじゃねえぞ。」
広い校庭の真ん中で、胸を張るリーファを見て、宏斗は思う。
(ちっさいな。)
「なんだ、私の顔に何かついてるか?」
「い、いえ。これからよろしくお願いします。」
リーファは講義をせず、実践で教え始める。
「はぁ…、はぁ…。」
「どうした!体力ねえな!」
容赦のない攻撃を、防御魔法だけで耐えしのぐ。
しかし、目覚めたばかりの宏斗は体力がなく、すぐにばててしまう。
それでも、リーファは攻撃を緩めない。
「ぐっ…!」
気が緩んだ瞬間、宏斗は鼻を殴られる。
ぽたぽたと流れる血。
「なんで顔面ばっかり…。」
「奴らはお前の目を狙ってる。顔面を狙われるのは必然だろ。そんなこともあいつは教えてなかったのか。」
宏斗は回復魔法で何とか鼻を治した。
「はぁ、いったん今日は終わりだ。明日も同じことをするから、覚悟しとけよ。」
リーファの言っていた通り、翌日も同じことをする。
それは、数週間たっても変わらなかった。
いくらやっても、伸び悩む宏斗。
「お前、才能ないな。私の息子以上に才能がない。」
「はぁ…、はぁ…、息子いるんですか?」
「なんだ、私が結婚してないとでも思ってたのか?」
宏斗は訝しげな顔をする。
「なんだよ。その性格で誰が好きになるかって顔だな。」
「い、いえ。」
「物好きな奴もいるんだよ。けど、あいつといるときだけは本当の自分でいられたな…。」
「着飾ってるんですか?」
「この性格で着飾ってると思うか?違えよ。そういうことじゃなくて、好きな奴といるときは誰にも見せたことない自分になれるってことだよ。」
「へぇ~。」
「なんなんだお前。調子こいてんじゃねえぞ。」
「でも意外ですね。いつもは強がっているようで、裏では甘い女性だなんて。」
「別に甘かねえよ。ただ、あいつが私なんかを好きになってくれただけで…。大体、巨人のくせにこの小さい体を無理やり扱うし、やめろって言っても全然やめねし…。」
「え?旦那さん巨人なんですか?」
「この小せえからだで、巨人の子供が産めねえと思ったのか。腹痛めてちゃんと産んだわ。」
「お子さんはどっちらに?」
「どこに行ったかなんて知らねえよ。」
「いやそうじゃなくて、どっちの大きさに…。」
「ああん。無駄話こいてねえで、さっさと訓練しろ!」




