一立目
20年後、元東京の駅にたくさんの人で賑っていた。
「行ってきます!」
紺碧の瞳を持つ少女は、母親に手を振りながらそう言った。
彼女が乗る列車は、ハルクヴァール魔法大学行きであり、乗っているのも、その生徒となる新入生たちである。
彼女は、窓の外に見える母親に手を振りながら、自分の席に着いた。
その隣に座る、深紅の瞳を持つ少年は、それを横目に、早く出発してくれと心の中で思った。
しばらくして、列車は走り出した。
数時間後、ロシアの南部にある、ハルクヴァール魔法大学に着いた。
新入生たちは、校内にある、大きな議場に集められる。
前にある壇上にゆっくりと近づく男、教壇の前に着くと、新入生のほうを向いた。
「初めまして、私はこの魔法大学の学長、ダガール・ディボ・マルヘズ・セゴーテルだ。」
何気ない自己紹介を終えると、ダガールは、新入生たちに向け、大学での学びやその意義について話した。
その後、クラス分けがなされ、皆それぞれの教室へと移動していった。
「私が君たちの担任となる、バズー・デン・カハイドだ。これか6年間よろしく。今日のところは解散していいぞ。」
そういわれると、皆各々の行動をし始めた。
赤い目を持つ少年は、自分の寮へ行こうと教室を出ようとしていたところ、呼び止める声が聞こえた。
振り返ると、列車で隣になった、あの青い目を持つ彼女だった。
「私の名前は阿久井・リリサ・バエル。これからよろしくね。」
聞いてもいないのに、突然自己紹介をされて驚いたが、彼も名前を言った。
「俺は、御坂・宏斗・ハヴァール。別に、なれなれしくしなくていい。」
そういって、すぐにその場を去った。
それが誰かの気に障ったのか、どこからか、舌打ちが聞こえてきた。
宏斗は、気にせず去っていった。
それから一週間がたち、大学の北側にある、リファール台地に宏斗たちのクラスは集められた。
「これより、飛行魔法の実技を行う。ここから200メートル先にいる、リズ先生のところまで飛んでもらう。」
カハイドは、リズがいる方向を指しながら言った。
「それでは、始め!」
合図とともに、数人ずつが飛んでいく。
しばらくして、宏斗の番になり、彼も合図に従い、飛んでいった。
同時に飛んだ者たちより、ゆっくりと飛んでいた彼は、ふとわき見をした。
すると、木の下に光る何かを発見した。
近寄って、手に取ってみると、それは鱗のようなもので硬く、鋭いものだった。
後から飛んできたリリサは、彼を見つけると、何をしているのかと、近寄ってきた。
その時、
「ぐおあああああああああ!!!!」
地面にとどろくほどの大きな唸り声を上げた、巨大な何かが姿を現した。
「こいつは…、ピポーフォール!?」
驚く宏斗の隣で、それ以上に驚き、腰を抜かしたリリサがいた。
宏斗はとっさに彼女を抱き上げ、ピポーフォールの攻撃を避け、彼女をたたき起こした。
「おい!何やってる!」
その言葉に、リリサは我に返った。
「何あいつ?!」
困惑する彼女に、宏斗は焦りながらも冷静に返す。
「そんなことは今はいい!早く先生たちを呼んで来い!俺がこいつを止めてる間に。」
「で、でも・・・。」
「いいから、早く!」
「わ、わかった!」
リリサが去ったのを見ると、宏斗は、ピポーフォールと向き合った。
阿久井・リリサ・バエル 青い目を持つバエル一族の父を持っており、自身の目も青い。
御坂・宏斗・ハヴァール イギ・ハヴァールと、御阪宗一の子孫との間に生まれた子。イギと同様に、赤い目を持つ。
ピポーフォール 15種いるマスタークラスのモンスターの1種。かたい鱗をもち、特異な魔法を使うことができる。




