知りたい
「ワーガス、急いで回復魔法を!」
『ヴェレスラーチ』
『ドレストローネ』
『ダーストリフチェ』
肺までえぐられた箇所を、複数の魔法を重ねて治療していく。
しかし、宏斗は意識を失い、しばらくの間目を覚まさなかった。
数日たって、自室で寝込む宏斗。
そこに、誰かが扉をノックする。
「…誰だ?」
「…宏斗君。」
リリサの声がかすかに聞こえる。
「…なんだよ?」
「…大丈夫?」
「心配しなくても、全く問題ない。…それより、帰ってくれ。」
「…っ。」
リリサは服の裾を強く握り、涙を抑える。
「…ごめん…なさい。」
そのまま、彼女は去っていった。
宏斗は悲しい気持ちをこらえ、目を閉じた。
年は変わり、1月。
大学交流会が開かれる。
これは1週間開催され、5つある魔法大学の成績上位者や新入生ら数名がハルクヴァール魔法大学にやってくる。
その中で、ひときわ脚光を浴びる人物がいる。
サーハルドラスディ魔法大学から来た、魔人の教師パムールだ。
「へっ、またお前のことを見る奴らがいるな。」
「まったくです。いったいいつになったら慣れてくれるのやら。」
「それはお前が、あと千年生きればわかる。」
交流会では、魔法の技術を見せ合ったり、新入生同士で親睦を深めたりすることを目的としている。
学長室前廊下
「悪いなバスノーチス。どうも奴ら、この結界内に入る術を多く持っているらしい。」
「ダガールさんはそう思いますか。私はほかに要因があると思いますが。」
「ほかに要因?何か心当たりがあるのか?」
「例えば、魔人とか。」
窓の外で歩いているパムールを見る。
「それはない。彼らは自分たちの地位を脅かすような真似はしない。」
「私もそう思いたいのですが、リヒタイルの一件以来、私はどうも信用できなくなっている。」
「そうは言っても、どうすればいいんだ?」
「まずは様子見でしょう。ハヴァールを守る必要がある以上、こちらもあまり大きくは出れない。」
「シューイチも完全に付きっ切りにはなれないからな。結界魔法についても詳しく教えるべきだろうか。」
「それよりも、回復魔法か防御魔法を教えるべきでは?」
「それもそうなんだが、彼には回復魔法の際はないらしい。防御魔法に関しても、従3位で進めなくなっている。」
「それならリーファに教わればよいのでは?」
「そうしたいのはやまやまだが、あいつと相性が合う奴なんて、イギ以来会ったことがない。」
「彼の子なら大丈夫だと思いますが。」
ワーガス 本名リヒド・イ・ワーガス・バルド。ハルクヴァール魔法大学副学長。大学創設以来、ダガールに仕えてきた。とある件がきっかけで、左手を損失し、左半身に火傷の跡がある。
リヒタイル ハファイルが亡くなるきっかけを引き起こした魔人。リベリアンにそそのかされ、イーダルトヴァッス魔法大学生の時に、ほか生徒を大量に殺傷した。




