ルーフェス祭
時は立ち、7月。
「お前が死んでから何年たったんだろうな。この祭りもとうに2千回を超えた。成長していった奴らも、世界で活躍してる。お前の思いはいろんな奴に受け継がれてるぞ。」
「ダガールさん、お母さんの像を見て高揚しないでください。」
「はぁ、フェルラン。俺は人妻に興奮を覚えないし、死人にも何の高ぶりもないぞ。」
「そんなこと言ってないで、開会宣言してきてください。」
「その前にあいさつに来ただけだし、めんどくさい感じに持って行ったのお前のほうだろ。」
寮の窓から聞こえてくる祭りの音に、宏斗は翌日のことを考え、悶々としていた。
すると、部屋の扉を誰かがノックする。
「おーい宏斗、一緒に外でよーぜ。」
その声はトロスだ。
「外って、祭りにか?」
「いや、そういうわけじゃない。俺は祭りが苦手なんだ。みんなもう外に出てるし、暇なんだよ。」
そういうことならと、宏斗はトロスと外に出た。
「お前も祭り苦手なのか?」
「ああ。」
そっけない反応に、トロスは宏斗が何か隠しているのではと疑念に思った。
昼になり、2人は食堂へ行く。
「うーわまじか。」
そこは人でごったがえしており、座れる場所がない状況だった。
そんな中、宏斗はリリサを見つける。
彼女もまた、宏斗を見つけた。
しかし、目が合うとすぐに顔をそむけた。
「どうする?」
「うーん、大学の外で空いているところはないのか?」
「あー、それなら一軒だけ知ってる。やってるかはわからないが。」
2人はそこを目指し、食堂を後にした。
日が落ちてきて祭りの1日目が終わり、2人は解散した。
寮に戻った宏斗は食堂でのことを思い出し、いやな思いをさせてしまったのではないかと考えこんだ。
2日目。
祭りの音で目を覚ました宏斗は、時間がすでに昼前に差し掛かっていることに気付いた。
宏斗はあの後、リリサのことを考えて眠りにつくことを忘れていて、結局眠りについたのは日が昇り始めたころだった。
そのことに焦りを感じ、急いで身支度をして外に出た。
リリサは人気のない中庭のベンチに座っていた。
宏斗は息を切らしながら謝る。
「はぁ…、はぁ…、すまない。遅れた。」
「遅いよもう。来ないのかと思った。」
明るく返事をするリリサの顔を見ると、あの瞳がうるんでいた。
言葉を返せずにいる宏斗を見て、リリサは明るく気遣う。
「そんな顔をしてないで、早く行こ。」




